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国生み伝説と夫婦の絆

 ――新婚旅行、四日目の朝。

「――あー、やっぱり雨降ってる……」

 一足先に目を覚ましたわたしは、まだ隣で寝ている貢を起こさないようにそっとお布団から出て、窓のカーテンを開けた。
 この部屋の窓からは、お天気がよければ一面オーシャンビューが楽しめるらしいのだけれど。しとしとと降りしきる雨のせいで眺めはあまりよくない。

「……ま、雨に降られてのパワースポット巡りっていうのも(オツ)なもんよね」

 さて、朝風呂に入ってさっぱりしよう。――わたしはそのまま室内浴室に向かった。
 源泉かけ流しの浴槽で身も心もピカピカになり、浴衣から洋服に着替えて浴室から出てくると、やっと貢が起きた。

「おはよ」

 わたしは貢にキスをしてから、まだ半分寝ぼけている彼に声をかけた。

「……おはようございます、絢乃さん。早いですね」

「貢も朝風呂入ってサッパリしてきなよ。ついでに着替えてらっしゃい」

「はい。そうさせて頂きます」

 彼が浴室に消えて間もなく、部屋の電話が鳴った。内線のようだ。

「――はい、おはようございます」

『おはようございます、篠沢様。客室係でございますが、そろそろお布団をお上げしてもよろしいでしょうか?』

「あ、はい。大丈夫です。夫は今入浴中ですけど」

『かしこまりました』

 テキパキした仲居さんは、それだけ言うと内線電話を切った。
 ちなみに、朝食はホテルのレストランでビュッフェスタイルの朝食を頂くことになっている。

「――失礼いたします。お布団を上げに参りました」

「はい、どうぞ」

 ベテランと思しき仲居さんは、テキパキと二人分の布団を畳んでいく。

「本日はお出かけのご予定でございましたね」

「ええ。夫の運転する車で、島中のパワースポットを巡ろうと思ってます。あいにくの天気ですけど、これもいい思い出になるかなあと思って」

「さようでございますか。楽しんでいらして下さい」

「はい。ありがとうございます」

 仲居さんは二人分の布団を抱え、リネン室へと運んで行った。

「――ふーっ、いいお湯でした! ……あれ、もう布団片付けてもらったんですか」

「うん、貴方がお風呂に入ってる間にね」

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