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316 歌の力?

勇者が行く。しっぽふりふり、歌いながら⋯

ぴゅいきゅい『『だ~めだめ♪』』
『だっさださ~♪』

え~っとぉ⋯

『うふふ。子どもの素直さって、時に残酷なものねぇ~♪』

ハクたちも結葉様もすっごく楽しそうだね~。ちらっ

ずーん。
『モモとスイが酷い⋯』
『ハクまで⋯』

あ~、うん。何も見えなかった!

『『サーヤ、サーヤ』』
「うにゅ?」
サーヤは何も見てないよ?

『ゴラちゃんたちも』
『トレちゃんたちも』
『すごいよ~!』
みゃ~『すごいにゃ!』
「ふあ?」
そっちのことか~。ここに残ったフライたちが、見て見てって呼んでくれます。

「ふおお~。ごらちゃん、とれちゃん、みんにゃ、どうやってりゅにょ?」

ちびちゃんたちは、ゴラちゃんたちが。大人のもふもふはトレちゃんたちが支えてます。

ゴラちゃんとトレちゃんがお手手をふりふり説明してくれます。
ふむふむ?ほうほう。

「しょっか~!あちゃまいい~!しゅご~!!」パチパチパチパチ

ゴラちゃんとトレちゃんが「いや~それほどでも~」ってくねくね照れ照れです。わさわさ音がしてます。

あのね、ゴラちゃんたちは、ちびちゃんたちを二人で両側から支えてます。
小さいからね!あんよをちょこっと地面に埋めて、ちびちゃんたちと一緒に転がらないようにしてるんだって。
頭からちょこっとツルみたいなのを伸ばして、ちびちゃんたちに、優しく巻き付けて更に安定させてるの。すごいね~

トレちゃんは一人で大人のもふもふを二匹支えてます。トレちゃんは、しっかり足を地面に入れて、両脇にかかえるように枝を地面に突き刺してるんだって。
それでも大人は大変だから、お腹の下に柔らかい枝を回してあげて、足に負担がかからないようにしてくれてるって。しかも、ちゃんと、お話が出来るように丸く並んでくれてます。

「やちゃちいね~。いいこ~♪」
なでなでしたら、更にくねくね照れ照れです。かわいい~♪

『⋯ほんと、助かったよ』
『さすがですね』
『ワハハハ!後で俺様と力比べしようぜ!』
スパコーンっ
『いてっ』
『華火!あんたはもっと感謝しなさい!』
『そうよ、まったく』
『ゴラちゃん、トレちゃん、ありがとう』
『『ありがとう』』
さっきまで、がんばって支えてくれてた、大ちゃんたち精霊さんたちもお礼を言ってます。

トレちゃんたちは、大丈夫、気にするな。それより、不測の事態に備えて、自由に動ける子を、二人ずつ残して、あとは畑仕事に戻るねって。何かあったら遠慮なく呼ぶんだよ。って言ってくれてます。

「あいがちょ~!」
めーめーさんたちも、
『め~ぇ。どうもありがとう』
『めめっ。おかげで体が楽になったよ』
他の子たちも、『ありがとう~』って言ってます。

いやぁ~って相変わず照れ照れのゴラちゃんたちに、妖精トリオたちも
『ありがとう~』
『わたしたちも』
『あとでお手伝いに行くね~』
って言ってます。
それに、待ってるね~って手を振って畑仕事に戻って行きました。
サーヤもあとで行くからね~♪


『こりゃあ、いったい?』
『この動物も訳分からないど』
『こりゃあ、トレントだよな?』
『こんなにいるなんて、あるかい?』
『それより、こりゃあ?白くて丸っこいがこりゃ、マンドラゴラか?』
『でも、あんた。マンドラゴラって言ったら、もっとこう、色も違うし細くて、なによりこんなにかわいい顔じゃないだろ?』
ドワーフさん達は、また信じられないものを見たぞって言ってます。

そうなの?

「ごらちゃんは、てんしゃいにょ、まんどりゃ…まんどらごりゃ……ま…うにゅ~」
う~、難しいよ~


『あはは。がんばったね。ちょっと言い難いもんねぇ。マンドラゴラって』
ぽんぽんってしながら、親方のおかみさんが、がんばったねって言ってくれました。
「うにゅ~」
『ワハハ!これからこれから!なっ!』
親方もこれからって励ましてくれます。
「あい」
『それで?てんさいって何だ?』
それはね~?

『甜菜ってのは、砂糖の原料だな。おれたちの前の世界ではこいつから砂糖を作ってたんだ。今、さとうきびって別のもんも育ててるけどな』

「う?あっ!おいちゃ~ん」
おいちゃんが帰ってきたよ!

『おう。サーヤ、さっきは悪かったな』
ひょいって抱っこしてくれて、謝ってくれました。

「だいじぶ!」
『そうか。ありがとな』
「あい!おいちゃん、しゃくほう、されちゃんだにぇ」
『釈放⋯せめて解放にしてくれよ。ハクと双子と結葉様がな、迎えに来てくれたんだよ。あのな⋯』
おいちゃん、情けないお顔から、なんか、気の毒にってお顔になって、説明してくれました。


さっきまで

『まったくのぉ。お主はもう少し、自分が規格外なのを自覚しないとのぉ』
『威圧は加減が大事だからなの。勝手に発動してしまうなんて危険極まりないからの』
〖その通りよ。ほら、集中して。サーヤに丹田を教えたのは、あなたとおばあちゃんなんでしょ?〗
〖ゲンさん、力みすぎもだめですよ。あくまで、息をするかのように自然に出来ないと〗
〖皆さん、そんな次から次へと⋯あっ、師匠乱れてますよ〗


『とか、やられてたわけだよ』
「ふへ~」
大変だったんだね~
『まあな⋯そしたらな?』


どこからともなく

『だっめだめ~♪』
ぴゅいきゅい『『だっめだめ~♪』』
『お父さんたち♪』
ぴゅいきゅい『『だっさださ~♪』』


『って、妙に気の毒な歌が聞こえてきてな?』
「あ~」
歌詞が付け足されたんだね。ちらっ

『『うううっ』』
『双子が⋯』
『ハクが⋯』
お父さんたち、かわいそう~

『そんでな?』
あ、つづきですね?


その直後

『気づかないみんなも♪だっめだめ~♪』
『結葉様~?』
ぴゅいきゅい『『だれのこと~?』』
『ん~?さあ?だれでしょうね~?』チラッ


『ってな?明らかにチロ目でこっちを見ながら、結葉様が歌ってたわけだよ』
「ふぉ~」
さすが、勇者・結葉様⋯
『そんで、みんなで慌ててこっちを見たらこの状況だった訳だ』
「なりゅほど~」
それでこっちに来たんだね~


『おいおい。そんでよ?甜菜は分かったけどよ。それがなんでマンドラゴラになるんだよ?』
親方が痺れを切らして話に入って来ました。

『なんでだろなあ?サーヤが種を生み出して、俺が耕した土で育てたらぽこぽこ生まれてきたんだよなぁ』
「なじょ」
『そう、謎だよな』
おいちゃんがそう説明すると

『じゃ、じゃあ、抜く時は無事だったのかい?死ぬやつだっているんだよ?』
『は?死ぬ?』
おかみさん?ぬく?しぬ?なんのこと?

『知らなかったのか!?あのな、マンドラゴラってのはな、引っこ抜くと、とんでもない声を上げるんだよ。その声を聞くとな?よくて気絶、悪けりゃ死ぬんだよ』
『顔だってね?こんなまん丸目玉のかわいい顔はしてないんだよ。むしろ、見たら呪われそうな顔だよ』

へ、へ~?ごらちゃん、かわいいよ?

『こいつら、勝手に土から出てきたぞ?』

『『はあ?』』
おいちゃんが言うと親方たちのお目目とお口がぱっかんです。

『顔に関してもわかんねえよな?そもそもこの世界のマンドラゴラを、知らねえしなぁ』
そうだよね~?

『勝手に出てきて、挨拶してきてな?そんで、なんにも言わずに畑仕事手伝ってくれたんだよ』

『『な、なんじゃそりゃあ?』』

なんじゃそりゃ言われても~
なんだろね?

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お読みいただきありがとうございますm(*_ _)m

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