57章 遅い遅い昼食
10個のおにぎりを食べたところで、シノブに声をかけられた。
「かなり遅いですけど、昼食にしましょうか」
現在の時刻は2時30分。昼食の時間としては、かなり遅いといえる。
マイは自分のおなかを抑える。
「おなかがペコペコだよ」
ホノカも自分のおなかに手を当てる。
「私もおなかペコペコ」
ツカサは空腹のピークを過ぎているのか、
「シノブちゃん、早く食べようよ」
といった。
シノブはある方向を指さす。
「みなさん、うどんを食べませんか?」
うどんはカロリーが高い、栄養を素早く吸収できる、手短に食べられるという、3つの要素を兼ね備えている。遅めの昼食を食べるときには、ベターな選択といえる。
アオイは納得がいかないらしく、
「うどんよりも、ハンバーグを食べたい」
といった。名産品である、ハンバーグを譲れない気持ちが強いようだ。
「ハンバーグ店に並ぶと、夕食になってしまいますよ」
100人くらいの客が、ハンバーグ店の前に並んでいる。全員が食べ終わるのを待っていたら、3~4時間くらいはかかると思われる。
ナナはハンバーグを食べたいといった女性に、
「昼食を食べたあと、みんなで温泉に入るんだよ。ハンバーグ店だと、スケジュール通りにいかなくなるよ」
といった。温泉に入りたい気持ちが強いようだ。
「そうだよ。7人で温泉に入りたい」
マイも温泉に入るのを、心待ちにしていた。
シノブはハンバーグを食べたいといった女性に、
「アオイさんはハンバーグ以外で、何を食べたいの?」
と質問を投げかける。アオイはすぐに答えた。
「回転寿司を食べてみたい」
ハンバーグ店の横に、回転寿司屋があった。外見だけで判断するなら、ごくごく一般的な回転寿司屋のように感じられた。リーズナブルな値段で、たくさんのネタを食べることができそうだ。
アオイの要望に、マイが頷いていた。
「回転寿司は良さそうだね」
ナナも回転寿司に興味を示していた。
「私も寿司を食べたい」
ホノカも回転寿司に前向きだった。
「友達駅の寿司を食べてみたい」
7人のうち、4人が回転寿司を食べたいといった。昼食は回転寿司を食べることになりそう
だ。
「みなさんで、回転寿司屋に行きましょう」
アオイが子供のようにはしゃいでいた。
「やったー。寿司が食べられる」
シノブは柔らかい視線を、アオイに送っていた。