バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

54章 行列

 アオイ、ナナ、ホノカ、ツカサ、マイはなかなか戻ってこなかった。ソフトクリームを入手するのは、大変な作業である。

 ミサキは短時間で空腹に見舞われる。ソフトクリームを購入するだけで、空腹地獄になっても不思議はない。

 たこ焼き店に視線を送ると、かなりの行列ができている。こちらに並んでいたとしても、長時間の待機は免れなかったと思われる。

 ソフトクリーム、たこ焼き以外においても、行列ができていた。何を売っているのかを確認すると、ハンバーグと書かれていた。ハンバーグはソフトクリーム、たこ焼きに続く、第三の名産になるのだろうか。

 ミサキの膝には、シノブの頭があった。

「ミサキさん、とっても気持ちいいよ」

 シノブはいつにもなく、人に甘えようとしている。彼女の姿を見ていると、上司といるようには感じなかった。

「ミサキさん、耳かきをしてほしい」

 耳かきをねだっている姿は、子供そのものだった。

「ミサキさんの作った焼きそばを食べたい」

 カウンター中心であるため、焼きそばを作ることはない。シノブの願いが叶うのは、当分先になりそうだ。

「ミサキさん・・・・・・」

 シノブは瞼を閉じると、すやすやと眠ることとなった。

「シノブさん、おやすみなさい」

 眠っている女性の髪の毛に触れると、理想的な柔らかさをしていた。髪の毛の手入れに、時間をかけているのを感じさせた。

しおり