52章 緊張感
アヤメと顔を合わせたからか、みんなの表情はさえなかった。
みんなを励まそうかなと思っていると、おなかがギュルルとなった。おにぎり、ポテトチップスだけでは、エネルギーが不足していた。
シノブが前触れなく、大声で笑いだす。先ほどまでの固さは見られなかった。
「アハハハハハ・・・・・」
シノブにつられるように、マイ、アオイ、ツカサも笑い始める。
「アハハハハ・・・・・・、アハハハハ・・・・・・」
笑いの元は、ナナ、ホノカにも広がっていく。
「みんな、どうかしたの?」
ホノカはおなかに手を当てながら、
「緊張に包まれている中で、おなかが鳴ったらおかしいよ」
といった。ミサキは恥ずかしさのあまり、顔が真っ赤になってしまった。
「ミサキさんのおかげで、緊張感から解放された」
マイの一言によって、救われた気分になった。
「ミサキさん、ご飯を食べよう」
シノブが指さしたのは、ベンチだった。あそこなら、ゆっくりと食事できそうだ。
「私がそばにいるので、みなさんはソフトクリームを買ってきてください」
シノブの言葉を聞き、アオイ、ツカサはすぐさま、ソフトクリーム売り場に向かった。勢いが良すぎたのか、ナナ、ツカサはすぐに状況を飲み込むことはできなかった。