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305 聖域へ

そんなこんなで自慢の道具を背負ってやって来ました。ドワーフ精鋭部隊。にゃん。

まずはご存知、ドワーフの長、我らが親方。そしてその奥さん、通称おかみさん。
そして、親方の鍛治の相棒、親方の弟とその奥さん。
続きますは、親方の幼なじみ。大工仕事ならなんでもござれ!そして、やはりその奥さん。にゃん。

奥さん方もやっぱり細かい手作業ならなんでもござれな職人集団。まずは敵情視察とこの三組が聖域に降り立った。にゃん。

『誰に説明してんだよ?ニャーニャ』
『ん?なんのことにゃ?』
ニャーニャは、頭の中で言ってみただけ。にゃん。

『そんなことより、すごいじゃないか。見てみなよ、あんた』
『見てるよ。は~話に聞いた時は冗談かと思ったけどよぉ』
光輝く聖域。

『あ、兄貴、俺は夢見てんのか?』
『そこかしこに落ちてる小石が』
『『ミ、ミスリル』』
ガクッと崩れ落ちるドワーフさんたち⋯
『俺たちの』
『今までの苦労は⋯』
『そうだよな⋯』
くぅぅっ
なんか、ごめんなさい。

『ね、ねぇ、私のほっぺたつねってくれるかい?』
『じゃ、じゃあ、私のも頼むよ』
『『せーのっ』』
むぎゅう
『『あいたたた』』
『まじかい』
『夢じゃないんだね』
『そうだねぇ⋯』
奥さんたちは自分たちのほっぺたをつねって確かめている。

『まあ、信じ難いですわよね⋯私はまた眼を閉じますわ。ニャーニャ、何かあったら教えてくださいませ』
『分かったにゃ』
聖域の眩しさに、再び精霊眼を閉じるアイナ様。

『それじゃ、皆さんのところに参りましょうか』
『そうにゃね。みんなどこかにゃ?』
『とりあえず、畑に行ってみましょうか』
『はいにゃ。みんな、こっちにゃよ』
アイナ様たちがドワーフたちを促す。

『あ、ああ』
『分かったよ。さ、みんな行くよ』
『『ああ』』
『『わかったよ』』
みんなで畑の方へ移動すると、何やらかわいい声が⋯いや、歌?


「おおきなくりにょ きのちたで~♪」
何やら銀色の髪のちっちゃい女の子が頭の上に手を広げて歌っている。
「あ~なぁちゃと わたち~♪」
あなたで指さしたのが、妙に低い位置だったような?

まだ距離はあるが目も耳もいいドワーフ一行。


『なんか、ちみっこいのが踊ってるな』
『かわいいじゃないかい』
『舌っ足らずで一生懸命なのもかわいいね』
『そうだね。短い手足をいっぱいめいっぱい動かしてるのもかわいいね~』
『頭のてっぺんに手が届いてないな』
『まだちびっ子だ。これからだよ』
そう言いながら近づく親方たち一行。


「な~かよく あちょびまちょ~♪」
手は胸でクロス~おしりふりふり。
『そんな振り付けだっけか?』
〖そんなの知らないけど、かわいいからなんでもいいのよ~♪〗


『なんか超絶迫力美女が飛び回ってるな』
『親方、あれが魔神ジーニ様ですわよ』
『いつもの光景にゃ』
すっかり慣れっ子になったアイナ様たち。こんなことで驚いていたら後がもたない。

『あ、あれが?』
『魔神様?』
神様像が崩れそうな親方たち。


「おおきなくりにょ きのちたで~♪」
ふい~終わっちゃ~

『わ~い!もう一回♪』
きゅい~『ぼくも~』
ぴゅい~『あたちも~』
『『みんなでやろ~!』』
『『『やろ~♪』』』
みゃ~『ココロもにゃ~』
きゅるるん『『『『『『『やる~』』』』』』』
「あい!」
わ~い♪みんな一緒♪

『やるならサーヤ、今度はもう少し頑張ろうな~』
「あ、あい」
そ、そんな~
〖頑張って~♪あ~かわいい♪〗

「おおき…な、くり…の、きの、ちたで~♪」
『お、惜しいな。サーヤ、がんばれ~!』
〖あ~ん♪がんばるサーヤもかわいい~♪〗
「うにゅ~」
むずかしい~


『おや、急にたどたどしくなったね?』
おかみさんが首を傾げると

『あれがサーヤちゃんですわ。ゲンさんに言われて言葉を直してるのですわ』
『遊びでも容赦ないにゃね~』
首を振るアイナ様たち。

『あれが⋯』
『あれが愛し子様か』
『かわいい子じゃないか』
『あんなかわいい子が酷い目に⋯』
『守ってやらないといけないね、あんた』
『そうだな。守ってやらんとな』
親方たちの目にキラリと涙と、決意が宿った。

『ありがとうございますですわ』
『ありがとにゃ』
アイナ様たちは、やはり親方たちを呼んで良かったと思った。

『よせや~』
『そうだよ~』
照れる親方たち。

『ん?兄貴。あの子の近くで踊ってるの、フェンリルか?』
『色違いのちっこいドラゴンもいるよ』
『いや、周りで見守ってる大人たちもただもんじゃねぇよな』
『そ、そうだね』
ざわめきだすドワーフ御一行。

『あとでご紹介しますわ』
『大丈夫。皆さん優しいにゃ』
みんな驚くでしょうね~
そうだにゃ~

『あ、あれチビちゃんじゃないかい?』
『あっほんとだよ』
『良かった。元気そうだね』
奥さんたちがココロに気がついた。

『さあ、行きましょうか』
『行くにゃ!』


その時、鼻の効くハクが気がついた。

『あ、アイナ様とニャーニャにゃんが帰ってきたよ~』
ぴゅいきゅい『『ほんとだ~』』
『知らない人たちも』
『たくさんいるね』
『『『ドワーフさんだね~』』』
みゃ~『あっ!おやかたにゃ~』
きゅるるん『『『じゃあ』』』
きゅるるん『『『『おむかえにいこう~』』』』
「じーにしゃま、いってい~?」

みんな、キラキラお目目で訴える。この目に勝てるわけがない。

『いいわよ。行ってらっしゃい。ハク、ギン』
『は~い。サーヤ乗って~』
「あ~い!おいちゃん」
『はいはい。ハク頼むな』
おいちゃんがハクの背中に乗せてくれます。
「ココロ~のりゅ~?」
みゃ~『はいにゃ!』ぴょんっ
ココロも準備完了~

『じゃあ、他のみんなは私の背中へ』
ぴゅいきゅい『『ありがとう~』』
『『ありがとう』』
『『『いこう~!』』』
きゅるるん『『『しゅっぱつ』』』
きゅるるん『『『『しんこう~』』』』
『では、行こう。ハク』
『は~い。行くよ~』

「あい!あいなしゃま~!にゃーにゃにゃ~ん」
ぶんぶん手を振るサーヤたち。


『あらあら。お迎えが来たみたいですわよ』
『ハクとギン様と一緒にゃね』

『フェ、フェンリル様を』
『馬代わりかい⋯』

『いつものことですわ~』
『そうにゃね~』
何を驚いてるのか?と思ってる時点でアイナ様たちの基準も狂ってる⋯

『ええ?』
『いいのかそれで⋯』
いいんですよ。気にしたら負けです。


『サーヤちゃん、皆さん、ただいまですわ~』
『ただいまにゃ~』
アイナ様たちも手を振り返します。

さあ!いよいよ、ご対面!

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お読みいただきありがとうございますm(*_ _)m

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