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262章 テオスに疲れ

 30カ所目の場所にやってきた。

 アカネにとって気になるのは、テオスにはっきりとした疲れが見えること。仕事を続けていく余力はあるのだろうか。

「テオスさん、体はどうですか?」

「しゅん・・・か・・・・んいdっどう・・・・を繰り返した・・・・ことで、体力をしょうも・・・・したようです」

 まともに話すこともできないほど、疲れを感じてしまっている。本日の仕事は終わりにしたほうがよさそうだ。

 アカネは瞬間移動しても、疲れを感じることはない。1日100回であっても、1日200回であっても、体を移動させることができる。

「し・・・っご・・・とがおわっ・・たら、じゅう・・・じ・・・kん以上の・・・・・・」

「回復魔法をかけたほうがよさそうですね」

「お・・・おね・・・が・・い」

 テオスに回復魔法を使用する。テオスは人間でないため、どれくらいの効果を得られるのかは未知数だ。

 回復魔法の効果があったのか、テオスは元気を取り戻す。人間以外であっても、効果てきめんのようだ。

「アカネさんの回復魔法はすごいですね。先ほどまでの疲れは、すべてなくなりました。これなら、仕事を続けられそうです」 

 仕事を早く終えてしまいたいところだけど、無理をさせるわけにはいかない。依頼者の生命を守るのも、立派な役割となる。

「テオスさん、今日はここまでにしましょう」

「アカネさんの心遣いに感謝します」

 回復魔法で回復させるよりも、体をじっくりと休ませたほうがいい。そうすることで、元気につながっていく。

「ここではどんなことをすればいいですか?」

「糖分濃度が10パーセントと高いので、糖分を抜いていただけますか?」

 塩分ならわかるけど、糖分はどのようにしてたまるのかな。質の悪いいたずらをするために、大量の砂糖をまいたのかな。

 理屈を考えていてもしょうがないので、水の中の糖分を抜くことにした。

「水の中の糖分を抜きます」 

 糖分10パーセントの水に、糖分除去の魔法をかける。

「魔法をかけ終わりました」

「水の成分を分析するので、表示をお願いします」

 分析魔法をかけると、水の成分が細かに表示される。

「水は問題なさそうですね」

「テオスさん、今日は終わりにしましょう」

「そうですね。今日は終わりにします」

「テオスさん、少しは休んだほうがいいですよ」

「そうかもしれません。これからは休みを増やしていこうと思います」

 誰かのために尽くすよりも、自分の体を守るのを最優先にしたほうがいい。誰かのために体を壊しても、保証をしてもらうことはできない。

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