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28.お馬さん魔獣とスキップ

 ローレンスさん達が来て、お昼を食べ終わったあと。僕とルリはフィオーナさんと一緒に、外で休んでいる馬の魔獣を見せてもらいに、洞窟の外に出ました。
 あのね、お昼ご飯とっても美味しかったよ。いつの間にか洞窟からいなくなっていたケビンさんとアンジェさん。お昼ご飯のチェックに行っていたみたいで。僕、この世界へ来て初めて、お肉料理を食べました。

 一緒に来ていた騎士さん達がご飯を作って、それを僕達にも食べさせてくれたんだ。始めてのお肉調理は、ワイルドボアっていうイノシシ魔獣の焼き鳥でした。最初見たとき、串に大きなワイルドボアのお肉が3つ刺さっていたんだけど。見た目はとってもなんか硬そうな気がして。僕食べられるかなって、ちょっと心配していました。

 僕が食べるのに、串に刺さっていたら食べにくいだろうからって、スノーラが串からお肉を外してくれて。アンジェさんが用意してくれていたお皿に乗っけてくれたよ。それからフォークとかもちゃんと用意してあって。なんと子供用のフォークまで用意していてくれたんだ。フォークの先っぽにうさぎ魔獣の飾りが付いていて可愛いフォークでした。

 その可愛いフォークを使ったんだけど。あれ? スッとフォークがお肉に刺さったんだ。そのままお肉をかじる僕。僕ね変な声で思わず叫んじゃったよ。

「みみゃあぁぁぁ!!」

 って。それはルリも一緒で。ルリもいつもの可愛い鳴き声じゃなくて、僕と同じでみみゃあぁぁぁ!!って。そんな声も出せるんだね。

 お肉とっても美味しかったです。硬そうに見えたお肉はぜんぜんそんな事なくて、それどころか、1回噛んだだけで、すぐに口の中でほぐれちゃったんだ。それからじゅわってタレが出てきて、そのタレがまたとっても美味しいの。味を決めるのはこの料理を作ってくれた騎士さん達なんだけど、騎士さんそれぞれ味が違うみたい。今日は料理が1番上手な騎士さんが作ったって。

 もうね、パクパク食べちゃいました。パクパク食べて1本でお腹いっぱい。本当はもっと食べたかったんだけど、僕のお腹じゃ1本が限界だったよ。残念。でも今日の夜も同じ騎士さんが作ってくれるみたいだから、とっても楽しみです。

 そしてご飯を食べ終わった僕達は、今馬の魔獣を見るために、外に出てきたんだよ。

「この魔獣の名前はウインドフォースよ。走るのがとっても速い魔獣なの。それからこっちにいるのはハードフォースよ。とっても力持ちで、重い荷物を運んでくれるの」

 ウインドフォースの方は、すらっとした体格で、それからうっすらと綺麗な黄緑色の毛が頭と首の所に。体は白色でした。騎士さん達が良く乗るのはウインドウフォースだって。
 ハードフォースは、とっても大きな魔獣で、ウインドフォースの1,5倍くらい。それからしっぽの毛がふさぁぁぁって。あと体の色は茶色でした。馬車を運んでくれているのはハードフォースだよ。あと体の大きい騎士さんはハードフォースに乗る人もいるみたいです。

「しゃわってい?」

『僕乗ってみて良い?』

「ええ、私の相棒ならおとなしい子だから良いわよ。それからあっちで荷馬車を引いてくれている子なら大丈夫」

 まずはフィオーナさんが乗ってきたウインドフォースの方へ。騎士さん達が僕達をチラチラ見てきたけど、なるべく気にしないようにしました。だってこれからは一緒に行動するんだから、気にしてたらダメでしょう?

「この子の名前はスルース。同じウインドフォースの中でも、さらに走るのは速いのよ。スルース、レンとルリよ。2人を乗せて良いかしら?」

「こんちゃ!」

『こんにちは!!』

『ヒヒ~ン!』

 あっ、そうか。みんながみんな、お話しできるわけじゃなかったよね。今のヒヒ~ンはこんにちわで良いのかな?

「今のはこの子の挨拶よ。それから乗っても良いって。嫌な時は首を横に振るからすぐに分かるの。さぁ、乗せてあげるわ」

 フィオーナさんがひょいっと僕を持ち上げて、スルースの背中に乗せてくれました。ルリはスルースの頭の毛の上に座って。僕は首を撫でさせてもらったんだけど、その時一緒に毛を触ったら、とってもサラサラで気持ちが良かったです。ルリも気持ち良いって。

 スルースから下りたら、2人でスルースにありがとうをしました。そうしたらスルースが両足を上げてヒヒ~ンって。どういたしましてだって。フィオーナさんにお話しできるのって聞いたら、お話はできないけど、なんとなく分かるって言っていました。最初の僕とルリと一緒だね。フィオーナさんはスルースと契約してないのかな?

 次はハードフォースに乗せてもらいます。ハードフォースの背中はちょっと硬い感じがしました。ふわふわの座布団から、ちょっと硬い座布団に変わった感じ? それから体が大きいから、僕がハードフォースの背中に座っても余裕が。やらなかったけど、多分歩けるんじゃないかな?

 両方の馬さん魔獣に乗せてもらってニコニコの僕達。僕はスキップして洞窟の前で待っているスノーラの所へ。スキップっていっても、偽スキップだけど。歩くのも微妙なんだから、スキップなんてまだできません。だからスキップみたいな感じね。その横をルリが、飛ばないでスキップで一緒に戻ります。ルリもスキップみたいな感じね。

 それでスノーラの所に着いたら、クスクス笑っている声が、あっちこっちで聴こえて。振り向いて確認したんだけど、騎士さんもフィオーナさん達も、僕達と逆の方向いていて、誰が笑っているのか分かりませんでした。誰がどうして笑っているの?

「いやだわ、今の何かしら? スキップ?」

「おい、今の」

「何だよ、おい、笑うなよ」

「か、可愛い…」

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