26.まずはお話ししよう!!
『レン、ルリ。こっちの男がバディーの契約者で、これから我らが行く街を治めている者だ。名前はローレンス。そしてこっちの女がフィオーナだ。ローレンスの妻だな。そしてその後ろにいるのが…』
スノーラが紹介してくれます。とりあえず今名前を知ってもらいたい人だけ。後は街に行きながら教えてくれるって。それから街に行ってからでも良いし。1番前にいたカッコいい男の人はローレンスさん。バディーと契約している人で、スノーラが街を治めているって言っていたから、多分偉い人だと思うんだけど。
そして隣の綺麗な女の人が、ローレンスさんの奥さんのフィオーナさん。それから後ろにいる男の人2人が、スチュアートさんとケビンさん。スチュアートさんは他の人とちょっと違う、騎士さんみたいな洋服を着ていたんだけど。やっぱり騎士さんで、騎士団長さんでした。それからケビンさんは、ローレンスさんのお家の使用人さん。
あとフィオーナさんの後ろにいた女の人はメイドさんで、名前はアンジェさんでした。アンジェさん、メイドの服って感じの洋服を着ていたんだけど、その洋服で森を歩いて来たの? 歩きにくくなかった?
そんな事を紹介してもらっている間に考えていた僕。いつの間にか涙が止まっていました。
そして紹介が終わってすぐ、フィオーナさんが話して来たよ。
「あのスノーラ様、レン様の近くへ行ってもよろしいですか?」
ん? レン様? 僕そんな様って呼ばれる程の者じゃないよ。それになんかこう僕に合わない、硬い感じがするし。僕のことはレンで良いよ。僕はフィオーナさんにそう言おうとしました。それでねそう言ったつもりだったんだけど、かなり声が小さくなっちゃって、フィオーナさん聞こえなかったみたい。ん?って顔をしました。代わりにスノーラが言ってくれたよ。
『レンは、様付けが嫌だと。硬い感じがしていやらしい。ただのレンと呼んで欲しいそうだ』
「あら、私は良いのですが、本当によろしいのでしょうか?」
『別にかまわん。確かにこれから共に暮らすのに、様付けはおかしいしな』
「ではこれからはレンと呼ばせていただきます。レン、近づいても?」
僕は小さく頷きます。さっきはビクッとしてごめんなさい。今は落ち着いてるから大丈夫だよ。僕は心の中で謝ります。フィオーナさんが僕のすぐ近くまで来ると、そっと手を伸ばして来て、僕の頭を撫でてくれました。
「初めまして、フィオーナよ。これからよろしくね。今日はあなたに少ないけれど、色々持って来ているのよ。後で一緒に見てくれる?」
「ぼく、りぇん! うん! いちょみりゅ!!」
『ルリも!!』
「ふふ、ありがとう」
それからスノーラに抱っこしてもらったまま、少しお話しをした僕。途中でスノーラが洞窟の中でゆっくり話そうって。どうもローレンスさん達、早くここに来ようとして、夜中もずっと歩いていたみたい。だから今日はこのままここでゆっくりして、明日の朝から移動することになったって。僕とルリ、フィオーナさんが話しをしているうちに、これからの事が決まっていました。
ローレンスさん、フィオーナさん、それからケビンさんとアンジェさんが洞窟に入ります。スチュアートさんは他の人達に支持を出すからって、そのまま洞窟の外に残りました。
でもねこの後、スノーラはゆっくりできませんでした。フィオーナさんとアンジェさんも。事件が起こったんだ。起こっちゃったっていうか、でもそれはしょうがない事だったんだけど。
僕は洞窟に入るとスノーラの抱っこから下りて、先に僕達がいつもご飯を食べたり、寝たりしている場所へ。まぁ僕が歩いているからね。先に進んでても途中で追いつかれちゃったけど。
それからここがご飯を食べる場所とか寝る場所とか、色々紹介していきます。奥の方は内緒。僕達の遊び場所は秘密だよ。
僕は木の葉座布団に座って、ルリもその隣にすぐに座ります。そういえばローレンスさん達の木の葉座布団がない。そう思ってスノーラに言おうとしたら、アンジェさんがカバンの中から丸いクッションを出して来ました。
僕もルリもそのカバンとクッションをじっと見つめます。だって明らかにカバンよりもクッションの方が大きいんだよ。いくら押し潰して入れたって、1個なら入るかもしれないけど人数分は無理。どうやってカバンに入れていたの?
「あら、そんなに見てどうしたの?」
近くにクッションをひいて座ったフィオーナさんが聞いて来ました。だからなんとかカバンの事を聞いたら、このカバンは普通のカバンじゃなかったんだ。そう、何でもいっぱい入っちゃう、魔法のカバンだったの。その人の魔力の量で、入る量は決まるんだって。そんな凄いカバンがあるんだね。
あっ、でも僕達はスノーラが魔法でしまってくるから大丈夫。まぁ、いつかは自分のカバンが欲しいけど、今はいいや。
それからもケビンさんとアンジェさんは色々動いて、僕達の前には今、何かの飲み物が入ったカップと、それからお菓子の乗っているお皿が。本当は机とか椅子とか用意できるけど、僕達が木の葉座布団から動かなかったから、地面にシートを引いてそこに置いてあります。だって今まで木の葉座布団だったから、こっちの方が落ち着くんだもん。
ひと口飲み物を飲んでフィオーナさんが話しを始めました。僕もひと口、零さないように気をつけて飲んでみます。うん、飲み物は紅茶でした。とっても美味しい紅茶だったよ。
「それでスノーラ様、こちらではレンはどのような生活を」
『まぁ、あいつといた時の事を思い出しながら、色々とな』
と、今までの僕の生活を話し始めたスノーラ。その話しをした事で事件が起こったんだ。