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25.ドキドキからの失敗の出会い

 卵とお話しをしながら待っていた僕達。スノーラに言われた通り、静かに待っていたんだけど。やっぱり外がどうなっているか気になるよね。だって初めての魔獣以外、人に会うんだよ。地球の人間と同じかなとか、もしかして獣人もいる?とか、色々考えちゃいます。考えちゃうし、入口の方を何回もチラチラ見ちゃうの。

 それは僕だけじゃなくてルリも一緒で。始めてルリと出会った時、ルリは人間か獣人か、誰かは分からないけど、その人達のせいで大変な事になっちゃって。またいじめてくる人だったらどうしようって、この前僕とスノーラにお話ししてきたんだ。
 もちろん僕もスノーラも、絶対にルリを守るよって約束したよ。それでルリは安心したみたいだけど、でもやっぱり心配だよね。さっきから心配そうな顔して入口の方を見ています。

「しゅのー、まだかにゃ?」

『まだかな』

「しゅこしだけしゅしゅむ?」

『外に出ちゃダメ、だから2歩だけ進む。それならちょっと。スノーラ怒らない』

 うん。それくらいならスノーラ怒らないよね。2歩だけなら大丈夫。2人で頷いて立ち上がると、1歩、また1歩って。2歩だけ歩いて入口の方を覗きます。う~ん、何も分からない。
 最初のザワザワから、途中で静かになって、それからは何も聞こえなくなったんだ。確かに何かはしているみたいなんだけど。スノーラの声も微かにしか聞こえないし。あとは知らない人達の声もちょっとだけ聞こえます。

「もちょっと?」

『うん。あと2歩だけ行く』

 またまた2歩だけ進みます。でも前とほとんど変わりません。と、そんな事をしていたらいつの間にか。えと洞窟入り口はちょっと広くて、それからそのまま少し進むと広い場所に着くんだけど、その進む場所まで、僕達は寄ってきちゃってました。あと2歩ってやってたら、そこまで進んじゃったんだよ。

 その時外から、大きな女の人の声が聞こえたんだ。ビックリしたのと、これじゃスノーラに怒られちゃう。そう思った僕達は、卵の所まで戻る事に。よちよち卵の所まであとちょっと。あとちょっとのところでした。僕、石に躓いちゃったんだよ。それで転びそうになった僕の目の前には卵が。

 卵にぶつかったら大変!! 僕は卵にぶつからないように、少しでもずれなくちゃって。今の僕の体でよくズレることができたと思うよ。僕は卵のスレスレ右側に思いっきり倒れました。
 顔も手も足も、一気に痛みが。もしかしたら中1の僕だったら我慢できたかもしれないけど、今の僕に我慢できるはずがなくて。

「う、いちゃ、ふぇ、うわあぁぁぁんっ!!」

 泣いちゃったよね。そんな僕を見てルリも一緒に泣き出しちゃって。僕が転んで泣いてすぐでした。スノーラが急いで洞窟の中に戻って来てくれたよ。

『どうしたんだ!? 怪我しているじゃないか。ルリ、泣いていないで説明しろ』

 ルリが今までの事をスノーラに説明してくれます。その間も僕は怪我した所がヒリヒリ、ズキズキ。

『はぁ、そうだったのか、大人しくは待っていたのだな。フラフラしなければ完璧だったが。そうだな気になるよな。待っていろ、今我が治してやる。我も一応はヒールが使える。お前ほどではないがな』

 スノーラが僕にヒールをしてくれて、怪我を治してくれました。ヒリヒリもズキズキももう何ともありません。でもなかなか涙が止まらなくて。

『よし治ったな。そういえば、ヒールについてもレンに説明しないといけない事があるな。しかし、まぁ後でも良いか。今はあちらを片付けなければ。レン、ルリ。皆に顔を見せるぞ。レン、泣いていては笑われてしまうぞ?』

 スノーラが人の姿に変身して僕を抱っこして、ルリが僕の頭に乗っかります。それからスノーラが卵をしまって、入り口に向かって歩き始めました。笑われちゃうって言われても、どうにも今の体だと泣くのすぐに止められないんだよ。泣いたまま外に出るけど、みんな笑わないでね。

 そんな事を思いながら、外の光が見えてきて、僕は抱っこされたまま外に出ました。洞窟の中はスノーラの魔法で明るいとはいえ、外とはやっぱり違くて。目を慣れさせるのに少しだけ目を擦ってパチパチします。まぁ、泣いてるからあんまり意味ないけどね。

 僕はそのまま前を見ました。そこにはいっぱい人が。多分そのままで合っているなら、あれは馬車? それからあっちは荷物がいっぱい乗っているから、荷馬車ってやつかな? あとは馬っぽい魔獣もいっぱいだし。それから。

 人もいっぱいいました。バディーとその隣にカッコいい洋服を着ていて、片足を立ち膝にしている男の人と。またまたその隣には男の人に洋服を掴まれている、綺麗な女の人が。それからその人達の後ろにいっぱい人がいました。後ろの人達は、本で見た事があるような、騎士?の洋服を着ていて。体の横に装備しているの、あれって剣? 本物?

 綺麗な女の人がとっても優しい顔をして僕を見たあと、ちょっとだけ体を動かしました。僕は思わずビクッとしちゃいます。それを見た女の人が止まって。ごめんんさい、思わずビクッとしちゃったの。でもそれを言えない僕は、スノーラにしがみ付きました。

『大丈夫だレン』

 僕は顔を上げます。スノーラがニッコリ笑っていました。

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