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24.なかなか到着しないバディー達(前半レン視点、後半スノーラ視点)

 スノーラがバディーとその関係者が森に来たって言ってから、今日で5日目です。その間、バイバイの挨拶に行ったのに、また遊んでいた僕達。挨拶するのもう少し後でも良かったんじゃない? 魔獣達もまた会いに行った時、どうしているのって顔していたし。あの何とも言えない顔。でも、まぁ、遊べたから良いけど。

 今日もいつも通り朝のご飯を食べます。と、スノーラが顔を上げました。そして洞窟の入り口の方を見て、やっと来たかって。

『2人とも、食事は終わりだ』

 ささっとスノーラが木の実や果物、魔獣を片付けます。それから他の物も片付けるぞって。あのね、もし街に行くなら、慣れている物を持って行った方が良いだろうって。洞窟の中にスノーラが用意してくれた物は、全部持って行くことにしたんだ。木の葉とかは置いていくけど、木の実の籠とか、僕達のおもちゃとか。そういう物を持って行きます。いつみんなが来るか分からなかったから、まだ片付けてなかったんだ。

 どの辺まで来たっていうのは、もちろんスノーラは分かっていたけど。進み具合が毎回違うから、洞窟まで来たら片付けることにしてたの。だって僕達もスレスレまで遊んでいたいし、何もないとね。それにスノーラはすぐに魔法でお片付けできちゃうから大丈夫。今も僕達のおもちゃをささっと片付けちゃいました。

『良いかお前達、我は今からバディー達と話をしてくる。我が呼ぶまでここから出てくるんじゃないぞ。そして静かにしているんだ』

「うん!」

『分かった!!』

『そうだな。卵と待っていてくれ。それなら飽きずに待っていられるだろう?』

 スノーラが僕達の前に、魔法でしまっていた、木の実の籠に入っている卵を出してくれました。僕達は木の葉座布団に座って、卵の前に座ります。

『良し、静かにしているんだぞ。行ってくる』

 スノーラにバイバイする僕達。それからすぐに卵と話を始めました。聞こえているか分からないけど、もしかしたらこっちの声が聞こえているかもしれないってスノーラが。だから最近はたくさん卵とお話しているんだ。

「あにょねぇ、もうしゅぐおでかけ」

『うん! 家族みんなでお出かけ!!』

「まちでくりゃちゅかも?」

『街で暮らす。ルリ、とってもドキドキなの!』

「いっちょにいくからにぇ」

「みんな一緒!! 嬉しいね!!」

 僕達が話を始めてすぐでした。何か洞窟の入り口の方から、ザワザワっていうか、ガタガタっていうか、ちょっと煩い音が聞こえてきて。ルリがみんなが到着したって。あ~、いよいよだよ。ちょっとドキドキ? ううん、かなりドキドキ。変な人達だったらどうしよう。それか意地悪な人達だったら。

 スノーラがまず、ついて行って良いか確かめるって言っていたけど。僕はドキドキだけど、一応施設で色々慣れているから良いけど、ルリやスノーラが何かされるのは嫌だよ。最初は良い人のふりして、後で変わる人もいるし。

 と、そんな事を考えていたら、さっきのガタガタ、ザワザワとは違う煩い音が。というか煩い声が。女の人の声? な、何!?

      *********

『まぁまぁ、早い方か? よく来たな。伝言はしっかり伝えたようだな』

『もちろんだ。俺が伝えないとでも?』

 我はバディーを見た後、その後ろに並んでいる面々を見た。バディーの真後ろにいるのが、バディーと契約をしている者、名前はローレンスだったか。あいつの関係者だ。そしてその隣にいるのが妻か。あとはそうだな、騎士に付き人に使用人とメイドといった所だな。

 ローレンスがバディーと同じ位置まで出てくると、片膝を付き我に挨拶をしてきた。他の面々もそれに続く。

「お初にお目にかかります。私はルストルニアを治めている、ローレンス・サザーランドと申します」

「妻のフィオーナ・サザーランドと申します」

 ふむ、この者達のこの感じ。やはりあいつの関係者だな、久しぶりの感覚だ。あとは暮らしも変わっていなければ良いのだが。

『我からの伝言はしっかり聞いたようだな。それでこれからの事なのだが、我らはお前達の元へ行こうと思っているのだが、お前達はどうだ? 伝言でも注意はしたが、もし我らがお前達の街へ行き、何か不利益を被る事があれば、我は街を消し森に戻るが』

 面倒な話はなしだ。もうバディーに伝えてもらっているからな。ローレンス達の心構えを聞けば、今はそれで良い。向こうに行くと決まったら、向こうでのことはその時々で対処する。

「もちろんでございます。レン様を責任を持ってお預かり、いいえ。家族として私の家へ招き守って行く。そのために準備をしてきましたし、屋敷の準備も整っております。また、もし私達の行動が、レン様にとって不利益と取られた場合の事も承知しております。そして、そのような事にはならないと自信をもっております」

『そうか』

 ローレンスの目をじっと見つめる。そしてフィオーナの目も。彼らが嘘を言っているようには見えない。そして自信に満ち溢れているあの様子。覚悟を決めてきたといったところか。まぁ、最初にしては合格といったところだな。この後は、レンとルリにあわせた時の様子を確認して。
 此奴らと生活してみない事には分からんが、もしダメなら言った通り、街を消して森へ戻ってくれば良いだけの事。良し、レン達を連れてこよう。

『とりあえずは合格だ』

「ありがとうございます」

『今からレンを…』

「レン様はどこです! 食事はきちんと取れていますか? 洋服などはどうしていたのですか? 何か今すぐに必要な物は!!』

 フィオーナがずずずいっ!!と我の前に。しかも凄い形相で。我は思わず後ずさってしまう。な、何だ? 一体何なんだ!? 後ろでローレンスとバディーが顔を振っているのが見える。

「スノーラ様!!」

 と、その時だった。洞窟の中からレンの泣き声が聞こえてきた。

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