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13.あの初めての話し合いの日から…

『レン! 洞窟の奥探検しよ!』

「うん!」

『あまり奥まで行くなよ』

「しゅのーも、あちょでくりゅ?』

『我は部屋の片付けと、ご飯の準備だ』

 いつも僕達が寝ている場所を見ます。そこにはバラバラになった木の葉が。僕とルリが昼寝したんだけどね、寝相が。いつもはもう少し良いんだよ。こう木の葉が少しだけバラバラ。それにスノーラに寄りかかって寝たりしてるから、木の葉はあんまりバラバラにならないんだけど。

 今日はお昼寝している時、スノーラは少しだけ出かけていたんだ。小さい子供だけで留守番だったけど、最初の日も少しだけそうだったし。スノーラがとっても強い結界を洞窟に張ってくれてるから平気なんだ。
 それで帰ってきたスノーラが見たものは…。木の葉が爆発したみたいにあっちこっちに散らばってて。スノーラの分の木の葉も散らかして、それでも寝ている僕達の姿でした。

 わざと散らかしたわけじゃなかったから、スノーラは僕達を怒らなかったけど。それでお片付けするって。僕達が散らかしたから、僕達もお片付けするって言ったんだよ。でも、僕達がお片付けしたら、もっと散らかるからやめてくれって言われちゃいました。それから遊んでて良いって。ごめんねスノーラ。それで僕とルリは探検ごっこしようってなりました。

 あっ、ルリは小鳥の名前ね。あのねあの日、カークが帰ってすぐ、スノーラは小鳥の名前を考えろって。せっかく契約したんだから、小鳥って呼んだらおかしいだろうって。確かに小鳥って呼んだらおかしいもんね。
 だからまずは小鳥に、何か付けて欲しい名前があるか聞きました。まずは小鳥の気持ちを聞かないとね。勝手に決めるのはダメ。
 
 そうしたら小鳥は、名前の事は考えていなかったみたいで、僕に考えて欲しいって言ってきました。僕、生き物の名前考えた事ほとんどなくて。小学生の時に学校で飼っていたウサギに名前を付けたくらい。そのウサギの名前はうさ。僕名前考えるの苦手なんだよ。
 でも小鳥はキラキラした目で僕を見てきて。一生懸命考えた結果、瑠璃色のルリに決定しました。ルリは名前をとっても喜んでくれたよ。気に入ってくれて良かったぁ。

 ルリの名前が決まったら、人間のこと、獣人のこと、魔獣の話しを聞きました。他にもエルフとか色々な種族がまだまだいるって。そのうち教えてくれるお約束しました。僕にそんなにたくさん説明しても分からないだろうからって。

 うん、見た目2歳だもんね。普通2歳の子に詳しい話をしても分からないはず。小さくなっちゃって最初はとっても困ってたけど、でも今は、この状況を受け入れようと思って。小さくなっても良いじゃん。これから新しいレンとして生活していくんだ!

 そして次に聞いたのが森の事。この森はとっても大きくて、この辺りにある森の中で、1番大きな森みたいです。そんな大きな森をスノーラは守っているんだ。
 スノーラはホワイトタイガーっていう種類の魔獣で、とっても強いんだぞって。それからルリみたいにとっても珍しい魔獣なの。もしかしたら今この世界で、ホワイトタイガーはスノーラしかいないかもしれないんだ。
 普通のタイガーはワイルドタイガーていうの。毛色が違えば名前が変わるし、力も変わるんだ。

『まぁ簡単に言えば変異種だな。同じ種類だが違うものという事だ』

 そしてそんな強いスノーラは、ずっとこの森を守ってきました。仲間と一緒に。カークも森を守魔獣の1人だって。他にもいつか会えたら紹介してくれるみたいです。なかなか他の魔獣に姿を見せない、森を守る魔獣も何匹かいるの。僕が危険じゃないって分かったら、そのうち会えるかもしれないって。

 森の話を簡単に聞いたら、森の外の事も教えてくれました。森を出てちょっと? スノーラの感覚だからいまいち良く分からなかったけど。ちょっと行くと、人が住んでいる街や、人と獣人が一緒に暮らす街。それから獣人だけが住む街とか。色々な街があるって。

『こっちもいつか連れて行ってやる』

 そっか。楽しみだなぁ。でも僕はルリとスノーラが居れば、何処で生活しても良いからね。2人がいる所が僕のいる所。
 
 と、こんな感じで色々お話をしてくれました。そして今は、僕がここに来てから5日目。けっこうこの洞窟の生活にも慣れて来て、今は洞窟の中だったら、少しは自由に遊べるようになったんだ。
 あっ、あとね、スノーラは、僕がスノーラって呼びにくくしていたから、スノーで良いって。

『スノーラ、行ってきます!!』

「ましゅ!!」

 2人でそう言って、僕達は洞窟の奥に。そうそう、洞窟の奥、トイレに使っていたでしょう? 別の奥の所にスノーラが遊ぶ所を作ってくれました。そこは1日中スノーラの魔法で明るくなってて。僕達が食べた木の実の殻を綺麗に洗っておもちゃにしたり。スノーラが木の枝とか何かの破片を拾ってきてくれてそれで遊んだり。不思議な、いくら時間がたっても枯れない花を持ってきてくれたり。けっこう楽しい遊び部屋になってるんだ。

 何かね。ここに来てから子供っぽくなってきているような。ちょっとしたことで喜んだり、泣いたり、怒ったり。感情がコロコロ変わるの。何でだろうね? それにおもちゃで遊ぶのも違和感がないんだ。僕中学生だったんだけどな。新しいレンとして生きていくって考えたら、色々順応できるようになった感じです。

『あっち行こ!』

「まっちぇ!」

 この姿だと歩くのも大変。すぐに転びそうになるし。でもちゃんとルリは待っててくれるんだ。もちろんスノーラがいる時はスノーラも。ありがとね。どんどん奥に行く僕達。今日の夜のご飯は何かなぁ?



『ふぅ、すごい寝相だったな。さっさと魔法で片付けてしまおう。そして夕飯だ。それにしても…。いつあちらへ行くか。ずっとここで暮らすというわけにもいくまい』

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