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3.色々な煩い声

『本当にすまん事をしたのう』

 誰? 誰の声? 僕の知らない声。

『まったく、どうするんですか! もしかしたら命が危なかったかもしれないんですよ!! だいたい***のせいで、彼は本来いるべき場所から移動する事になったんです。それに対してもきちんと責任を取るべきでしょう!』

 さっきはお爺さん?の声、今度は女の人の声だ。こっちも僕の知らない声だよ。

『じゃから、たくさん加護を与えたではないか。他の事についても…』

『ですから、それも命があってこそ。送る場所も間違えるは、何も出来て良いないじゃないですか!! しかも何ですかあのステータスボードの表示は!!』

『そ、そんなに怒らんでくれ』

『怒らずにいられますか!! あんな書き方をして! 年齢も2か3? みたいな? どう考えても2歳でしょう! それにみたいななどと書かなくても、非表示で良いのです!』

『いや、まぁ、その辺はなんとなく?』

『なんとなく? はぁ、彼がいてくれたおかげで何とかなりましたが…』

 煩い。僕眠たいんだから静かにしてよ。せっかくゆっくり眠れる、そんな感じがしてるんだから。

『私達がどこまで彼にできるか、これからまた考えますよ! はぁ、あんなに小さく転移してしまって。そのうち体も心も、自然と溶け合っていくでしょうけど。それまでは少し大変かもしれないわね。私がしっかり見守らないと』

 あっ、声が小さくなってく。ふぅ。何で2人が喧嘩しているか分からないけど、これでゆっくり寝られるね。喧嘩っていうか女の人にお爺さんが、怒られてるって感じだったけど。

      *********

『そうか。すまなかった。すぐに気づいてやれなくて』

『ぴゅいぃぃぃ』

『大丈夫だ。我がしっかりと力を注いだ。そのうち起きるだろう』

『ぴゅい! ぴゅいぃぃぃ!』

『お前の気持ちも理解した。しかしそれをこの子供も望むかは分からんぞ。一応聞いてみるが』

 う~ん。今度は何? 僕やっと寝られるんだけど。静かにしてよ。ん? やっと寝られる? 僕何をしていたんだけっけ? 確かいつも通り先生に言われた仕事を終わらせて、それからベッドにダイブしたんだよね。それでそのまま寝たんだっけ? 何か僕しなかった? 何かしていたような気がするんだけど。

 僕は少しだけしっかりしてきた頭で、目を開けずにそのまま考え始めました。何か同じ事を前にも考えなかった? どうしてって? そうそう、何か思い出してきた。
 確かあの時もベッドにダイブしたのにって。でも僕の周りは木がいっぱいで、森の中に来ちゃったみたいに。

 そうだ、それから色々考え事をしていたら、小鳥の声が聞こえたんだった。それで声の聞こえた方に行ったら、小鳥が怪我だか病気だかになってて。何とか出来ないかって考えたら、目の前に変な透明の物が現れて。能力の所にヒールって書かれていたんだよね。だからもしかしたら小鳥の悪い所が治るかも。そう思ってヒールって叫んだんだ。叫んで…。それから?

「こちょりしゃん!!」

 僕は目を開けて、小鳥の事を呼びました。そう、僕あの時急に眠くなって寝ちゃったんだよ。最後に小鳥が動いた気がしたんだけど、小鳥どうなった!?

『目が覚めたか?』

 ん? 誰? 目線は横。やっぱり寝ていた僕。あの時のままなら寝ている僕の前には小鳥が居るはずで。でも僕の目の前に小鳥はいませんでした。代わりにいたのは大きな真っ白なトラっぽい生き物で。
 僕は何とか起き上がります。起き上がるときに体を見たけど小さいままだったよ。残念。と、今はそれどころじゃなくて。どうして僕の前に小鳥じゃなくて、ツノの生えている白いトラみたいな生き物がいるの? もしかして僕を食べるためにあの場所から連れてきた? 小鳥は無事!?

 キョロキョロする僕。その時トラっぽい生き物。もうトラでいいや。トラの後ろから小鳥の声が聞こえました。

『ぴゅいっ!!』

「こちょりしゃん!!」

『ぴゅいぃぃぃっ!!』

 鳴き声と共に、あトラの頭の後ろから何かが飛び出して来て、僕の胸にぶつかってきました。それでそのまま下に落ちそうになって。右の足が洋服に引っかかって止まっている状態に。僕は急いでそれを落ちないように抱きしめます。

『ぴゅいぃ…』

『まったく、慌てて飛び出すからだ』

 僕はぶつかってきた物を見つめます。ぶつかってきた物も僕を見つめて。その後すぐに僕はそれを抱きしめました。
 僕がどのくらい寝ていたかは分からないけど、森で1番初めて会った小鳥。他の鳥には会ってないけど、この小鳥があの時の具合が悪くて倒れていた小鳥だって。僕にはちゃんと分かるよ。

 良かった! 元気になったんだね! 羽も綺麗な瑠璃色になってるし。苦しそう呼吸もしてない。それどころか僕の胸に思い切りぶつかってきたもんね。元気になって本当に良かった。

『ぴゅい、ぴゅい、ぴゅいぃぃぃ!』

「よかっちゃ、げんき!!」

『ぴゅいぃぃぃっ!!』

『おい、そろそろ我が話しても良いか? お前の話しもしなくてはいけないし。この子供にも話しを聞かなければ』

 僕はバッと顔を上げます。小鳥に会えて、しかも元気になってる姿を見て。とっても嬉しくて、すっかり忘れていました。僕の前にトラがいた事を。
 と、小鳥が僕の手の中から出てきて飛ぶと僕の頭の上に。それでそのまま僕の頭に座った感覚が。

『忘れていた、という顔だな。お前の方も』

 トラが僕の頭の上を見ます。

『ぴゅい…』

 小鳥が小さな声で鳴きました。何か、そんな事ないよって、失敗失敗って言ってる感じの鳴き声。可愛い。

『はぁ、まったく。出会ったばかりだというのに、もう気があっているというか何というか』

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