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1.小鳥の異変?と僕の事?

 僕はそっとそっと、まぁ元々いつもみたいに歩けていないから、何もしなくてもそっとになるけど。それプラスよちよち歩きで小鳥に近寄ります。
 かなり小鳥に近づいた時、小鳥が一瞬ビクッてしたのが分かって止まる僕。小鳥が首を上げました。無理して上げているのかプルプル、とっても苦しそうで。無理しないで。

 言葉が分かるわけないけど、何とか怖がらせないように、僕は小鳥に話しかけました。

「だいじょぶ、こわくにゃい。しょっとちかじゅく」

 僕の言葉を理解したのかしていないのか、小鳥が首を下ろして、見つけた時みたいに、ぐったり横たわりました。よし、今のうちに。そっと驚かさないように。またよちよち近づく僕。ここまで近づけば大丈夫かな?って思う所まで近づいたら、そっと座りました。ふぅ。

 まずはどうしよう。具合悪そうだけど、ただ具合が悪いだけかな? それとも怪我をしているとか。怪我をしてるなら確認しないといけないけど。でもその後は? 今の僕にできる事があれば良いんだけどな。

「こんちゃ」

 こんにちはが変な言葉に。まぁ、さっきからちゃんと喋れていないけど。

「どちたにょ?」

『ぴゅいぃぃぃ~、ぴゅい…』

 う~ん、分からない。触っても大丈夫かな? 

「しゃわってもい?」

『ぴゅい? ぴゅいぃぃぃ…」

 今のはどっち? ていうか、僕が話すとちゃんと返事してる? もしかして言葉が分かってる? まさかね。でももしかしたら人に飼われてる小鳥で、案外言葉が分かってたりして。ここに人が居るかは分かんないけど。

 そんな事を考えていたら小鳥がぷるぷる、ゆっくりと起き上がって座ってくれて、左の羽を持ち上げました。見ると左の羽が全体的に黒くなっています。さっきまで横たわっていたから気づきませんでした。もしかしてこの羽のせいで具合が悪いの?

 僕はそっと小鳥に手を伸ばしました。また一瞬ビクッとする小鳥。でもすぐに僕の方に左の羽を、もっとよく見えるように出してくれて。本当に言葉がわかってる? 考えながら小鳥がこれ以上具合が悪くならないように、そっと羽を触ってみました。

「あちゅ!」

 左の羽はとっても熱かったです。確かめようと思って右の羽も触らせてもらったんだけど、うん、こっちの羽は熱くない。僕、学校で飼ってるインコの世話係だったんだけど、そのインコと同じ感じ。生きてる温かさって感じでした。やっぱり左の黒い羽がおかしいんだ。それで小鳥は元気がなくて、とっても苦しんでいて。

 う~ん。どうしよう。ちょっとした切り傷とかなら、何とかできたかもしれないけど。小鳥が羽を元に戻してまた横たわります。中学生の僕ならいざ知らず、今の僕じゃ。中学の僕でもダメそうだけど。
 本当にどうしよう。小鳥をこのままにしといたら、絶対にダメなのだけは分かります。このままじゃ小鳥は…。

「くしゅり、にゃい? くしゃとかおはにゃ」

 薬草とかないのかな? 葉っぱを食べれば良くなるとか、ちょっとすり潰して飲むとか。それくらいなら僕でも何とか。そんな事を考えていたら、また小鳥に変化が。さっきよりも呼吸が荒くなったんだ。

『ぴゅいぃぃぃ…、ぴゅい…』

 ど、どうしよう。早くしないと絶対にまずいよ。誰かいない!? 僕は周りをキョロキョロ。でもそこに誰かがいるわけなくて。

『ぴゅい…』

 わわ!? 今度は首がもっとガクンって。もう! どうして僕はいつも何も出来なんだろう。お父さんやお母さん達の時だってそう。僕はあの時何もできなくて。ただただ見ている事しか出来なかったんだ。また今度もそれと同じなの? また何も出来ないで小鳥がいなくなるのを見ないといけないの? 誰でも良いよ、僕に力を貸して。僕に何かできる事はない? お願い!!
 
 そう思った瞬間でした。ブワンッ!! いきなり僕の目の前に透明の画面が現れて。その透明の画面には文字や記号見たいな物が書いてありました。不思議なんだ。日本語じゃない、見たことがない文字なのに読めるんだ。それと記号ね。

[名前]***
[種族]人間
[性別]男
[年齢]2か3? 
[称号]***
[レベル]1
[体力]1
[魔力]***
[能力]回復魔法(初級)ヒール その他色々 まぁだいたい使えるようになる予定、みたいな?
[スキル]***
[加護]***

 何だろうこれ。この感じ、本当に本の世界に来たみたい。そう異世界ってやつ。でも色々と…。
 名前の横は記号だし、他もほとんど記号。これたぶん僕の事が書いてあるんだよね? だとしたら僕が考えてた通りに、やっぱり年齢は2か3歳? てかハテナってなにさ。しかもレベル1、体力1って。僕何かあったら一瞬じゃない? それに…。

 能力の所。まぁだいたい使えるようになる予定みたいな?って。…何これ? はぁ、もうツッコミはいいや。それよりも回復魔法って、ヒールってあのヒールかな? ちょっとした怪我だったら治っちゃうやつ。僕これができるの? 本みたいに手をかざしてヒールって言えば、もしかして小鳥の黒い羽が治って元気になる? レベル1なんだけど…。それかもしかして何か道具がいるとか、杖とか魔法陣を書くとか。ああ、もう!! 分かんない事ばっかりだよ!!

 突然の事に僕がわたわたしていたら、小鳥の声が。今までで1番小さい声です。慌てて小鳥を見たら、目を閉じる所でした。わわ!? ダメだよ待って!! もう、こうなったらやってみるしかないよね。

 僕がハイハイの格好をしたら、今まで僕の前に出ていた透明な画面がフッて消えました。それからハイハイでさらにしっかり小鳥に近づくと、これまたしっかりと座って。僕は気合を入れて叫びました。

「ヒール!!」

しおり