バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

252章 ディーオ登場

「はじめてお目にかかります。ディーオと申します」

 ディーオはイタリア語で神である。サクラトウのトップは、神としてあがめられているのかな。

 ゴッドサマー。テオス、ディーオの名前は、すべてが神由来の名前である。他の国においても、同じシステムを取り入れているのだろうか。

「アカネさんは、空を飛べる、空気はいらない、地雷を踏んでも平気、食べ物が不要、水が不要、毒を受け付けない、攻撃を受け付けない、瞬間移動できる、王様を狙っている、自分が絶対に一番だと思っている、世界征服を企んでいるという評判が流れています。」

 前半は事実なのに対し、後半は完全なる事実無根である。その部分については、きっちりと訂正しておこう。

「世界の王様を狙っている、自分が絶対に一番だと思っている、世界征服を企んでいるというのは、完全なデマですよ。私はそんなことをしたいとは思っていません」

 3つを達成したとしても、自己顕示欲を満たすだけ。そこを目指しているのであれば。哀れな人生を送っていることになる。

「そうですか。アカネさんの超能力を使用して、アカネ王国を作る野望があると聞きました」

 発想も0点なら、ネーミングセンスも0点。二つを足し合わせても、かけ合わせても0点だ。

 ここまで静寂を保っていた、シオリが口を開いた。

「アカネさんは、とっても優しい人です。そんなことはありえません」

 ココアも続いた。

「そうですよ。ハグをしてくれない以外は、とってもいい人です」

 重要な話をしているときに、ハグのことを持ち出すとは。アカネの体温を欲しているのが、はっきりと伝わってきた。

「みなさん。どうでもいい話はここまでにしてください。アカネさんの街の住民を助けましょう」

 テオスは興奮しているのか、声のトーンが高かった。

「アカネさん、ご用件は何ですか?」

「ディーオさんに、水をお願いしたいです」

「わかりました。どれくらいの量を必要としますか?」

 1日の飲み水だけで、2リットルくらいは必要となる。その他も必要なので、1日で5リットルはあったほうがいい。

「1000キロリットルをいただきたいです」

 さすがに無理かなと思っていると、ディーオは快く応じてくれた。

「わかりました。1000キロリットルの水をお渡しします」

「ありがとうございます」

 スムーズに進むかなと思っていると、

「水を無償提供するかわりに、あとでやっていただきたいことがあります」

 と、ディーオはいった。水を無償でもらって、それで終わりというわけにはいかないようだ。何かを得るためには、何かを返す。社会のおきてというのは、どこの世界においても健在だ。

しおり