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248章 援軍と助言

 感染経路不明の病気は瞬く間に広がり、全住民が恐怖にさらされることとなった。

 不幸中の幸いといえるのは、生命を危険にさらすレベルに達していないこと。重症化しやすい病気だったら、たくさんの住民が命を落としていた。

 いろいろな能力を持っていたとしても、一人でできることには限界がある。可能であるならば、応援を呼びたいところ。力になりそうな人をピックアップする。

 助っ人の選別に時間をかけていると、住民が苦しむことになる。テオスを援軍として呼ぶことに決めた。人間ではないため、疫病を防げると思われる。

 テオスを呼ぶと、3分ほどでやってきた。王族だからか、駆け付けるのが早い。

「アカネさん、どうかしたんですか?」

 アカネは原因不明の病気が、流行したことを伝える。

「なるほど。住民を救いたいんですね」

「はい。応援をお願いしたいです」

「わかりました。100の者を連れてきます。20~30分くらいかかりますので、それまでお待ちください」

 ココア、シオリはテオスの姿に対して、大きな驚きを見せていた。人間だけの生活を送ってきたものにとって、信じられない光景のようだ。

「アカネさん、この方は誰ですか?」

「テオスさんだよ。仕事で知りあったの」

 シオリは小刻みに頷いた。

「そうなんですね」

 テオスはココア、シオリの容態を気遣った。

「体に問題ありませんか?」

「はい。アカネさんの魔法のおかげで、ピンピンとしています」

 回復魔法をかけてからは、元気な姿をキープしている。

「二人の様子を見ていたら、病原菌の元を断てば、すぐに解決しそうな気がします。病原菌をシ
ャットアウトする魔法を、使ってみてはいかがでしょうか?」

 住民を助けることだけに意識を取られて、病原菌をシャットアウトする発想を忘れていた。魔法を使用すれば、病気をあっという間にやっつけることができる。

「病原菌を無効化する魔法を、街に使用します」

「セカンドライフの街」全体に、疫病を無効化する魔法を使用する。

 全住民の健康状態を観察する。なにごともなかったかのように、元気を取り戻していた。
「効果はどうですか?」

 テオスの質問に、アカネは現状を伝える。

「健康に問題はないみたいです」

「よかったです。これで大丈夫ですね」 

「治療はできましたけど、経過観察は必要かと思います」

 原因不明の病気だけに、経過観察は必要である。

「わかりました。部下たちには、住民の経過観察を命じます」

 1人で全住民を観察するのは不可能である。それだけに、テオスの申し出はありがたかった。

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