38章 大量の焼きそば
仕事が開始して、2時間が経過する。
空腹は加速度的に進行していき、危険レベルに達する。何かを口にしなければ、かなり危ない状態であるといえる。
ミサキの座っているテーブルに、31人分の焼きそばが並べられる。空腹であるにもかかわらず、
立ち眩み、めまいを感じることとなった。一人が食べるにしては、あまりに量が多すぎる。
「食べられるだけでいいので、しっかりと食べてくださいね」
胃袋は大きいものの、無尽蔵というわけではない。31人前を完食できるのだろうか。
焼きそばを食べようとする前に、アオイから声援を送られる。
「ミサキ先輩、ファイトです」
先輩ではあるものの、1日だけ早く勤務スタートしただけ。アオイ、ナナとは同期といっても、差し支えない。
ナナも続いた。
「ミサキ先輩、最善を尽くしてください」
人間の温かみを感じているのに、心に大きな闇が潜んでいるのを感じ取った。餓死させられたことで、人間不信は強くなっている。
焼きそばを口に含んだ。程よいソースの香りが、口の中を包み込んでいく。
「おいしい」
ミサキは食べることに、全神経を集中させる。そのこともあって、外からの音は何も入ってこなかった。