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36章 食べきれない焼きそば

 アルバイトを始めてから、1時間が経過する

 家で満足に食べたこともあって、現時点でおなかはすいていなかった。あと1時間くらいなら、勤務できると思われる。

「ミサキさん、まだいけそうですか?」

「はい。まだいけます」

「調子が悪くなったら、遠慮なくいってくださいね」

 仕事させてもらっている身なので、調子が悪いとはいいにくい。雇われている人間というのは、立場が弱くなっている。

 注文を取ろうとしていると、予想しない展開に進んでいった。

「ミサキさんに、焼きそば3人前」

 一人のお客様の言葉を皮切りに、焼きそばの注文がどんどん入った。

「ミサキさんに、焼きそば5人前」

「ミサキさんに、焼きそば4人前」

「ミサキさんに、焼きそば5人前」

「ミサキさんに、焼きそば5人前」

「ミサキさんに、焼きそば4人前」

「ミサキさんに、焼きそばを5人前」

 焼きそばの合計は、31人前となる。1人前が400キロカロリーだとすると、12400カロリーを取ることになる。必要とされるエネルギーの、62パーセントに該当する。

 ミサキが不安な表情をしていると、シノブが近づいてきた。

「シノブさん・・・・・・」

「ミサキさん、奥でお話をしましょう」

「わかりました」

 シノブはお客様に一礼してから、ミサキを厨房に案内した。

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