バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

275 のびちゃうのびちゃう!

おいちゃんが他の人たちに配膳を終えて山桜桃お姉ちゃんたちと一緒にやっと来てくれました。

「おいちゃん、にょびちゃう、にょびちゃう」
せっかくのおうどん、のびちゃうのびちゃう!

『落ち着け、インベントリに入れてきたから大丈夫だ』
なんと!?そんな方法が?

『便利だよなぁ。さっき気がついたんだよ。もっと早く気づけば楽だったんだよなぁ。山桜桃達にも悪いことしたよな』
あらら~

『いいえ!私たちの仕事無くなっちゃいますから!』
『そうです。洗い物ですら、ちびスラちゃんたちが喜んでやってくれるので、この位はさせて下さい!』

「ふおっ」
おぉ!すごい勢いで山桜桃お姉ちゃんたちがお願いしてます。おいちゃんってば、あまりの勢いに押されてます。

『そ、そうか?じゃあ、これからも頼むな』
『『はい!』』にっこーっ
おぉ!笑顔がまぶしい!

『んじゃ、さっそく取り分けるの手伝ってくれるか?』
『『もちろんです!』』にっこーっ

おぉ!更にまぶしい!!

おいちゃんたち、ひょいひょいって大っきな土鍋?そう言えば、こんな大っきいのどうしたのかな?
まあ、おいちゃんだらいいか?
とにかく、サーヤが入りそうな大っきな土鍋からひょいひょい取り分けてます。

んん?
「おいちゃん、それ?」
うどん取り分けてるやつ。それは?

『ふっふっふっ。さっきな、トレちゃんの枝で作ったんだよ。とりあえず、菜箸に、お玉、杓子、しゃもじ、ヘラ、そんで、この、うどんカキと、トングみたいなやつな。作ってみたんだ』ニッ

「ほえ~」
いっぱい作ったんだね。

『でもな、やっぱり、うどんカキと、トングは竹がいいな。まあ、俺が使い慣れてるから、そう思うのかもしれないけどな?』
おいちゃんは満足してないみたいです。

『でも、これ使いやすいですよ?』
『はい。でも菜箸はまだ難しいです。早く使いこなせたらいいんですが』
そうなんだね。二人とも手を動かしながら教えてくれます。

『ゲンさん、お箸でいくつもの作業をこなしちゃうんですよ』
『はい。僕が見習いしていたところは、ヘラみたいなのと、お玉みたいのしかなかったんです。こんなに色々あるなんて夢みたいです』
え?そうなの?色々使い分けたりしないの?でも、お箸は便利だよね!

『と、言うことでな?ほい。サーヤ』

「うにゅ?」
なんですか?

『サーヤ用の箸だよ。一応、二種類。子供用練習箸と、普通の箸。どっちも滑りにくく、痛くなりにくい六角形箸というのにしてみた。箸の専門店で見て、これ欲しかったんだよな~。だから、俺のも作ってみた』
「ふお~」
おいちゃん、流石です!普通それだけで作れないと思う!

『今日は麺だしな。練習用にしてみような』
そうだね~
「あい!あいがちょ」

『他のみんなは匙とかフォーク用意したけどな、まあ、食べやすい食べ方で食べてくれ』

『は~い』
ぴゅいきゅい『『わ~い』』
配膳も終わったようなので

『それじゃあ、いただきます』
「いちゃだきましゅ」
『『いただきます!』』
みんなもいただきますして、ようやくうどんです!

作ってもらったお箸!おお!手がちっちゃくてお箸が!うぬぬ。

『練習用作って正解だったなぁ』
おいちゃんが一足先にちゅるんっと食べてます。
『うん。上手いな。やっぱり味噌と大豆の醤油欲しいけど、これはこれで有りだな。ちゃんとフーフーするんだぞ』
「あ~い」
よいしょ、よいしょ、よし!つかめた!フーフー、えいっ!ちゅるちゅる

「ん~~おいちい~!」

煮込んであるから、味しみじみ!うどんも、ちゅるんだけど、お子様にも優しい柔らかさです。染みたお出汁も美味しい!ほっぺ、落ちないように押さえます!

『きのこもほうれん草も美味いな。卵もいい半熟加減だ。絡めて食べても美味いぞ』

お~!たまご♪たまご♪半熟とろり♪
「おいち~ぃぃ」
まろやかになります!さすがコケコッコーさんたちのたまごです!

『しょっつるも生臭くないな。かなり良質のしょっつるって感じだよな~。鰹節の出汁も美味いな~』

そういえば、お魚の醤油だったね。確かに臭くない!
「こりぇなりゃ、くちゃくない」
『そうだな。色々使えるな~』

ちゅるんちゅるん食べながら話します。お出汁もいただきます。お子様用お匙もありました。おいちゃん、すごすぎ。

「ふあ~」
幸せです。ほっこりなお味です。でも小さいお子様用の器は空っぽになりました。

「おいちゃん、なくなっちゃ」
おかわりは?

『おぉ。今、よそってやるな。でも、デザート入るか?おまえにとっては、むしろそっちがメインだと思うぞ?』ニヤリ

「ふおっ?」
なんですと?それは、重量級が来るということですか?
自分のお腹とうどんを見比べます。

『どうする?うどんはまた作ってやるぞ』ニヤリッ

うううっ
「がまんちましゅ···」がくっ
『分かった。偉いぞ。楽しみにしてろ』ニカッ
「あい」
うううっがまんです!

あれ?そういえば、みんなは?
『見ない方がいいと思うぞ?』
おいちゃん?また?

『そうですね。その方がいいかと思います』
『初めてのものが出ると危険ですね』
山桜桃お姉ちゃんと春陽お兄ちゃんが何か悟りを開いています。

「ゆすらおねいちゃん、はるひおにいちゃん、たべちゃ?」
二人も、もう器を置いてました。

『はい。この席だけは最初から量を少なめにしてましたし』
『僕達も次に何が来るか知ってますから、軽めにしました』
そうなの?

『はい。だから、フゥさんたちとちびっ子たちも食べ終わってますよ』
『ただ……』
ちらり。二人の視線がおかしい?

「たぢゃ?」
なんだろ?

『美味しかったのと、それがあっという間になくなってしまった悲しみで』
『今、皆さん、こんな感じです』
こんな感じ?ってどんな感じ?おそるおそる見ると


『うううっ美味しかったのに…幸せだったのに…』
『もうないなんて…』
ふ、フゥ?クゥ?
みゃ~『こんなおいちいの、はじめてにゃ。もっとたべたいにゃ。でも、ないにゃ~』
『ココロ、大丈夫。次のはきっともっと…うううっ』
ぴゅいきゅい『『おいちいはじゅ…しくしく』』
『『がまんだよ…うっうっ』』
『『『がまんだよ~ぉぉぉ』』』
きゅるるん『『『がまん……』』』
きゅるるん『『『『がまん……』』』』
みんな、こたつに突っ伏して涙を流してました。


「ふあ?」
泣いてる?

『大人組はまた別だなぁ。余裕で食えるだろうと思って、量は普通にしたからな』
おいちゃん?


〖その最後のひとすくいは私よ!〗
〖ジーニ様。私はここでは初めての食事なんですよ。それに我が師の料理、弟子である私が最後まで頂くべきです〗


わがし?和菓子?じゅるり。
『サーヤ…違う』
和菓子食べたい……じゅるり。


〖それを言ったら、私なんか天界でも食べてないんです。私が食べるべきです〗

うわぁ~シア様まで


すると
『お邪魔する。あっちは騒がしい』
雪の精霊さんがスーッとやってきた。

「ゆきのせいれいしゃん、もうたべちゃ?」
『うん。頂だいた。美味しかった。でも、私は熱いのがちょっと苦手』
静かに笑う雪の精霊さん。

『それは、済まなかったな。代わりのもの出そうか?』
おいちゃんが、申し訳なさそうにいいます。

『ううん。大丈夫。すごく美味しかった。こっちこそ、気を使わせてごめん。それに、次に来るものこそ私が求めているものな気がする。私の勘は当たる』ニヤリッ

『そ、そうか?』

おおぅっ!すごい!きっとその勘、大正解!

しおり