バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

26章 仕事終了

 時計を確認すると、勤務開始から2時間が経過していた。当初は1時間の予定だったのに、2倍の時間を働くことになった。

 焼きそばを途中で食べられたのは、大きなメリットである。あれがなかったら、空腹地獄で苦しんでいたと思われる。

「ミサキさん、仕事を終えてください」

「はい、わかりました」

 お客様に対して、頭を深く下げる。

「私は終わりなので、帰らせていただきます」

 ミサキが帰ると知ると、お客様は悲しい表情を浮かべる。

「ミサキさん、もう終わりなの?」

「はい、短時間の仕事となっています」

「そっか・・・・・・・」

「すぐにおなかがすくので、長時間の仕事は厳しいです」

 10人前の焼きそばを食べても、3時間後には食べ物を求めるようになる。生命活動を維持するために、大量のエネルギーを要求する。

 話をしている間にも、空腹は加速度的に進行する。お客様と延々と話をするわけにはいかない。

「失礼させていただきます」

 ミサキはお辞儀をしたのち、厨房に入っていった。

しおり