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204章 すしを食べる

 30人くらいが温泉で入浴していた。人数が多すぎたために、温泉で心を休めることはできなかった。

 アカネ、ミライはいろいろな人から声をかけられた。有名人になると、自分の時間を奪われる。ゆっくりと過ごせるのは、一人きりで過ごしているときだけだ。

 温泉につかっていると、サクラ、サクラの母親が入ってきた。久しぶりに会った二人は、肌に弾力を伴っていた。

 温泉で体を温めたあと、三人は寿司屋に向かった。久しぶりということもあって、気分は大いに高まっていた。

 〇○○寿司、○○寿司、○○寿司で売られている、から揚げ、うどん、ラーメン、ポテトといったサイドメニューは販売されていなかった。サイドメニューに頼らず、寿司だけで勝負する方針のようだ。

 寿司屋でサイドメニューを販売するのは、原価率を抑えられるからである。利益率の高い商品を販売することで、健全な経営を成り立たせる。

 魚は値段を抑えているため、原価率は高くなっている。商品によっては、原価率が100パーセントを超えることもある。こちらの寿司ばかりを食べられた場合、従業員は路頭にさまようことになる。そうならないために、サイドメニューの開発に力を入れる。

 アイス、プリン、ヨーグルトといった、デザートも販売していなかった。そちらについては、寂しさを感じることとなった。寿司の後のデザートというのは、心をほっこりとさせてくれる。

 アカネはサーモン、タイ、まぐろ、トロ、生イカ、エビ、ウニ、いくらなどを食べた。まんべ
んなく食べられたので、大いに満足していた。 

 コハルはサーモンの虜になったのか、サーモンばかりを口にする。ウニ、タイなどを進めたものの、最後まで食べることはなかった。

 ミライは生魚が苦手らしく、生魚を口にしなかった。焼きサーモン、ウナギ、卵、かっぱ巻きといった、生魚を使っていないメニューを食べていた。

 寿司屋で食事をしたあと、三人で散歩をする。コハルが体を震わせる場面はあったものの、足をストップさせることはなかった。

 ミライは仕事があるのか、途中で別れることとなった。そのことに対して、コハルは寂しそうな表情を浮かべていた。

 二人になったあとは、まったりとした散歩を続ける。穏やかな空気が流れていたからか、ほっこりとした気分になれた。

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