10章 チャレンジ
道を歩いていると、プールの施設を見つける。建物の広さだけで判断すると、かなりのレベルであると思われる。
ミサキは泳ぐのが得意で、クラスで一番だった。水泳に対しては、いいイメージだけが残っている。
プールに泳ぎたいけど、水着を所持していない。水の中で泳ぐのは、次回以降におあずけだ。
プール店の横に、「塩焼きそば」と書かれた看板があった。興味をそそられたので、店の中に入ることにした。
「いらっしゃいませ」
ミサキに声をかけたのは、18歳くらいの女の子である。
女性の髪の毛は水色となっていた。華やかさを感じさせる髪の毛に、女性の魅力が詰まっているように感じた
瞳の色は栗色をしている。神秘性を感じさせる色である。
鼻は少しだけ高め。そのことが、彼女の魅力を、おおいに引き立たせている。
焼きそばを注文しようと思っていると、女性店員から声をかけられた。
「サンドウィッチを、50個も買った女性ですか?」
「どうして、それを・・・・・・」
「サンドウィッチを買っているところを、たまたま見てしまったんです」
「そうなですか?」
「インパクトが強かったので、顔を覚えてました」
「・・・・・・」
「お名前はなんというんですか?」
「ミサキといいます」
「ミサキさんに会えて、心から感激です」
ミサキはごくごく普通の一般人。ここまでされると、戸惑いを感じる。
「私はシノブといいます。よろしくお願いします」
シノブが頭を下げると、ピンク色の髪の毛が目に入った。全体を水色にしているのではなく、
一部分をピンク色の染めているようだ。
「ミサキさんに、挑戦状をたたきつけたいです」
出会ったばかりの女性に、挑戦状をたたきつけるとは。シノブという女性は、勝負を好むタイプなのかもしれない。
「暴力とかは嫌ですよ」
「そんなことはしません。大食いの人に、あるチャレンジをやっていただきます」
「チャレンジ?」
「10人前の塩焼きそばを60分以内に食べられたら、タダにするというイベントをやっています。よかったら、挑戦していきませんか?」
10人前の塩焼きそばを食べると、代金を無料にできるのか。興味をそそられたので、挑戦してみようかなと思った。
「できなかった場合については、100ペソをもらいます」
失敗したとしても、リスクは0に近い。ミサキは挑戦することを決意した。
「わかりました。挑戦します」
女性は力拳を握りしめていた。
「焼きそばを作りますので、1時間ほどお待ちください」
焼きそばを作るだけで、1時間もかかってしまうのか。ミサキはその場で、がっくりとうなだれた。