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242 ハクのピンチ?

ハクが大変なことを言いました。

『ぼく、連れてかれちゃうかも~。やだよ~』ぶるぶる

みんなで
『えぇぇぇ~~!?』です!
ハク連れてかれちゃうの!?

「やー!」むぎゅう~!
ぴゅいきゅい『『ハクいっちゃめーっ!』』びたんっ
『『なんでそんなこと言うの!?』』ひしっ
『『『だめだめだめー!』』』ぺちょっ
みゃ~『はなさないにゃ!』ぎゅー
きゅるる~ん『『『『『『『ぐるぐるまきにしちゃうんだからー!』』』』』』』びたっ
みんなでハクに抱きつきます。絶対ハクはここにいるの!

『ど、どういうことなの?』
『そうだよ、ハクはギン様の子だろ?』
『なんで連れてかれるんですか?』
フゥ、クゥ、青葉ちゃん、みんなそう思うよね?

『亀じぃたちはハクの母親を知ってるみたいだよな?どんなやつなんだ?』
『ギンも慌てるというか怯えていたな。一体どうなってるんだ?』
おいちゃんとアルコン様も訳が分からないと、じぃじたちに聞いてます。

『う~む。まずは速く小僧の所へ戻りましょうかのう』
『そうですの。ハクも小僧と、それにジーニ様がいた方が安心できると思いますじゃ』
ハクはどうしようどうしようって震えてます。みんなでハクをギューってします。

『分かった。では、降りるぞ。少々急ぐ。捕まっていろ』バサッ
「ふおっ?」ぎゅんっ
そう言うとギン様たちの所へ一直線に向かいます。ジェットコースターみたいです。
「ひぎゃーっ! 」
おなかが、ひゅんってするーっ


その頃、地上でも

〖ギン、どういうこと?母親を歓迎している風ではないわね?〗
『アルコンの話だとハクがだいぶ怯えてるみたいじゃなぁい?あなたもねぇ』
ジーニ様と結葉様にギン様が詰め寄られていました。

『それが…あやつはハクを連れていこうとしているのです』

〖はあ!?〗
『ギンからハクを引き離そうとしているってことぉ?』
〖いったいなんでそんなことを!?〗
『それが…』


「ひぎゃーっ」


〖ん?〗
『え?』
『なんだ?』
声が聞こえてくる上を見てみると、どんどん迫るドラゴンの姿。その背中から聞こえる…

「ぴぎゃーっ」

〖な?アルコン!?〗
『あらぁ、あの何かが潰れたような声はサーヤねぇ』
『結葉様?何を呑気に?突っ込んで来るだよ?』
『いや、ぽぽ、それは大丈夫だろう』
ギン様の言葉通り、地上手前で翼を一度羽ばたかせると、音もなく静かに降り立った。

「ふぎゅう~うぅぅ」ぺしょっ
止まった~
『サーヤ、まあ、がんばったな…』よしよし
おいちゃん、はやく地面に降りたいです。

『あらあらぁ サーヤがつぶれサーヤになっちゃったわねぇ』
〖つぶれサーヤってあんたね…〗
「ふぎゅぅ」
はやく地面に下ろしてください。

『お父さ~ん』
『ハクっ』
おいちゃんがハクと、もれなくハクにしがみついてるサーヤたちをひとまとめに抱き上げてぴょんっとギン様の所へ。
みんなも続いて飛び降ります。みんなが降りるとアルコン様も人型へ戻りました。

『ギン、どうなっているんだ?』
『それは…』
アルコン様が問い詰めるけど、ギン様困ってます。

『小僧、ハクの母親は、あやつなのじゃろう?』
『あの気配には覚えがあるからのぉ』
『よりによって、あれとは…』
『小僧、お主…』
『『押し切られおったな』』
じぃじたち、じとーって、すごいお目目

『うっ……!』
ギン様、図星ってお顔だけど、さっぱり分かりません

『『やはりの(ぉ)』』
は~ってすっごいため息です。


『おい!ギンでも亀じぃたちでも誰でもいい。早く説明しろ。あの勢いなら直に来るぞ。ハクがこんなに怯えているのだ。早くしろ』ビリっ

ううっ空気が少しビリビリします。
でもアルコン様の言う通りです。ハクはいまだにどうしよう~ってぷるぷるしてます。

「はく~。じーにしゃまぁ。おいちゃ~ん」うるうる
何とかして~

〖その通りよ。はやく説明して〗
『アルコンは威圧を抑えなさい。サーヤたちが震えてるわよぉ』
『む。すまん。サーヤたち大丈夫か?』
「あい。だいじぶ」
ぴゅいきゅい『『へーき』』
それより
「ぎんしゃま」
教えて?

『は、はい。ハクの母親は、私の父、この森の先代の主の兄の娘。つまりは私の従姉妹になります。同い年の幼なじみでもありました』
ギン様が話し始めました。

『これがのぉ、昔から勝ち気な娘でのぉ』
『まあ、ここらの子供たちの大将のような振る舞いだったの』
へ~。すごいお母さんなんだね?

『ちょっと待ってぇ?先代の主は弟が継いだってことねぇ?』

『そうです。結葉様。先々代、私の祖父が私の父を主に指名したそうです』

〖そこら辺に訳がありそうね〗
ジーニ様があごに手を当てて考えてます。

『その通りですじゃ。この辺りは直接見ていた私共がお話した方が良いでしょう』
『ギンが産まれる前、先代とその兄、どちらを主にするかで揉めましてのぉ。結果、弟が主に選ばれたのですじゃ』
そう言って、じぃじたちは昔のお話を始めました。

『先代の兄は、兄である自分が跡を継ぐと疑わず、かなり傍若無人な振る舞いをしておったのですじゃ』
『それに引替え、先代は···ギンの父親ですのぉ。先代は跡を継ぐ気はまるでなく、次代の主となるであろう兄を影から支えていたのですじゃ。それはそれは見事なもんじゃった。広い視野を持ち、勝手な振る舞いをする兄に変わり冷静に物事を進めとりました。しかも、兄に気づかれぬよう兄の尻拭いもしとりました』
ギン様みたいだね~。

『そうなれば次第に弟の方が信頼を集めるのは必至。本人にその気はなくとも次代は弟にと言う声が次第に上がりだしましての』
『その声は直に兄にも届きましてのぉ。しかし、当たり前じゃが、兄はそれが面白くなかった。ことある事に弟と張り合うようになってのぉ』
は~っとため息です。

『だが、兄は全てを力で強引に押し通すだけ。力こそ全て。自分こそが一番。周りの者の声を聞いたり、まして助け合うなどくだらないとまで言い放っておったの』
『対して弟は、時に自分の力で解決することもありましたがのぉ、常に周りの声に耳を傾け、話し合い、周りの者たちの力を借り協力することで問題を解決しとりましたのですじゃぁ』
『兄は言っとりましたですじゃ。弟は軟弱者の卑怯者。自分一人では何も出来ない腰抜けだと。自分より魔力も武力も劣る。だから一人で何も出来ないと』
は~って眉間に皺を寄せてまたため息です。きっと、話してる以上に酷かったんだね。

〖先代が弟を選ぶわけね〗
ジーニ様が怒ったように言います。

『その通りですじゃ。この時点で既に先々代のお心は決まったようなものでした。じゃが、決定的な出来事が起こったのですじゃ』

『決定的な出来事?何があったんだ?』
アルコン様が聞きます。

『魔物ですじゃ。森の奥にいつの間にか現れたはぐれのワイバーン。しかも、変異種じゃった』
『変異種でなければ、兄の実力なら勝てたじゃろうが、変異種となれば話はべつじゃあ。いつもの魔法、いつもの攻撃が通用しない』
『兄は勉強嫌いの実践派。実践派と言えば聞こえはいいかもしれんが、ようは喧嘩の中だけで強くなったようなもの。特別に勉強や努力をしてはいない。むしろ、自分は天才。天才は努力などしない等とほざいてましたからな』
フンっ!って、だんだん、じぃじたち感情が?

『バカだな』
『バカねぇ』
〖バカだわねぇ〗
『救えないな…』
わあ、おいちゃんたちハッキリと……

『そして、そのバカは自分だけで倒せると一人で勝手に行ってしまった。弟たちが仲間たちを集め皆で戦おうと相談してる最中にじゃ』
あっ。ついにじぃじも、バカ扱いにした…

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ハクが大変です
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