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229 おいちゃんは、また…

地上に戻ろう!お~!
と、言ったご本人が…

『あっ!しまったあ!』
と、待った!をかけました。

「ふあ?おいちゃん?」
『どうしたゲン急に大声で』
来る時と同じでギン様に乗せてもらってたので、サーヤとギン様でびっくりです。お耳キーンです。

『あっ悪いな。サーヤ、ギン様。でもな、大事なこと忘れてたんだよ』
「うにゅ?だいじなこちょ?」
『なんだ?』
慌てるおいちゃんに聞くと

『食材だよ!食材!青葉、それに千草たち』
ただならぬ迫力のおいちゃんに引き気味の青葉ちゃんたち

『は、はい!何でしょうか?』
『『『何でしょうか?』』』
なんか、ビシッと気をつけしちゃってます。おいちゃんがすみません。

『あのな、頼みがあるんだ。ここに来るまでに色々あった水草とかな、鑑定させてもらったんだけどな?俺たちが探し求めていた食材が沢山あったんだ!取り尽くすようなことはしないから採取させてくれないか?頼む!』

「ふあっ!」
そうだった!言ってた!おいちゃん!
「あおばちゃん!おにぇがい!ぜっちゃい、おいちい!」
お豆腐、ゼリー、水まんじゅう!!じゅるり。

『サーヤってば、必死すぎて変なお願いになってるね~』
『本当ね。もう作ってもらった感じよね』
『ああ。なんだ?絶対美味しいって』
ハクとフゥとクゥ、それじゃ三人は美味しいのいらないんだ?

『ごめんなさ~い』
『ごめんなさい!変じゃないわ!』
『悪かった!そうだよな!何もおかしくないよな!』
そうでしょう?まったくもう。

『あ、あの、食材になるようなものがあるんですか?』
『そうだよね?』
『薬草とかなら』
『あるけどな?』
青葉ちゃんたちが不思議そうにしてます。

『ああ!食材の宝庫だよ!例えばあれ!』
緑色のふよふよ揺れる少し肉厚な葉を指さします。

『『『『これ?』』』』
これって?って、ピンと来ないみたいです。

『これはワカメっていう食材だよ!体にもいいんだぞ』
ワカメ!お味噌汁、酢の物、サラダ!

『これですか?これはすごく繁殖力が強いんです。それでいて、あまり薬にもならなくて』
青葉ちゃんが、何でこれにそんなに?と、困惑してます。

『そんなことはないぞ!ワカメは水溶性食物繊維だし、アルギン酸とか豊富だしな?カロリーも低いしダイエットにもいいし、血管系の病気防止にもなるし、何より和食には欠かせない存在なんだ!』
うんうん。そうだよね!ワカメ大事!力説するおいちゃん。分かるよ。だけど…

ギラリッ!

ぞくうっ!
「ひっ!」
『ヒッ!』
サーヤとギン様の毛がバババッてなります。

「ぎ、ぎんしゃま」
『む、無理だ。ゲンは我の背中にいるのだぞ。すでに囲まれている』
そ、そんなぁ~。

『それにあれは昆布!』ビシィッ!
お、おいちゃん、ビシッと指さしてる場合じゃないよ~

『わ、ワカメじゃないんですか?』
青葉ちゃんたちも気づいてジリジリ後ずさりしてます。

『大違いだぞ!旨み成分たっぷりな昆布。しっかり出汁を取れば余計な味付けをしなくても充分だ!素材の味を生かす和食料理には欠かせない!薄味に出来ればそれだけ塩分も減らせるしな!』

ギランッ!

ぞくぞくぅっ!
「ふあっ」
『ひぃっ』
ハクたちはすでに遠くに離れてます。
おいちゃんが力説すればするほど、みんなが…

「み、みんにゃ、ひじょい…」
『サ、サーヤ、しっかり我に捕まっているのだぞ。逃げられるとは思えんが…』
ギン様も余裕が無いんだね、久々に自分を我って言ってる~

『わ、分かりました。ご自由にどうぞ』
『あ、後で手伝うからね』
『いいい、今は』
『が、頑張ってね』
『『『『『『じゃ!』』』』』』
あああっ青葉ちゃんと精霊さんと妖精さんまで逃げちゃった!

『ん?どうしたんだ?』
おいちゃんてば、不思議そうにしてるけど…

「お、おいちゃん…」ぶるぶる
『ゲン、よくも我らを巻き込んだな…』うぐぅぅ
『は?何言って…』ハッ!
にぶにぶのおいちゃんも、やっと気づいたみたいです。でも

「もう、おしょい…」ぶるぶる
『ああ。そうだな…』
『わ、わりぃ…』

ジリジリと近づいてくる目を光らせた人達が…

〖ゲン~今、言ってたこと詳しく聞かせてちょうだい〗
『聞かせてくれますよね?』
〖『うふ。うふふふふふ』〗
『は、はい』
こ、怖いよぉ。がくぶるがくぶる

《まったくもう。ゲンには困ったわねぇ。まあ、一番はジーニ様とクゥだけどねぇ》

「う、うにゅ?」
『これは…?』
頭の中に声が?
《しぃっ!サーヤせっかく念話覚えたんでしょう?練習よぉ。私と、ギンとだけね。小さい声でねぇ》
《ぁ、ぁぃ》
結葉様?念話で小声?
《サーヤはまだコントロールが甘いからな、的を絞るということだ。我ら以外には聞こえないようにな》
《にゃ、にゃりゅほどぉ》
《まったくもぉ、毎回巻き込まれちゃってぇ。サーヤは私が抱っこするわねぇ。ギンはこれ以上小さくなれないの?ゲンの足が地面に着くくらい》
《出来ます》
《そしたらぁ、サーヤはきっとどうしたって巻き込まれるだろうからぁ、私が抱きあげた瞬間、ギンは小さくなって逃げなさいなぁ。サーヤは私といましょう。ゲンのそばにいるよりはマシでしょう?》
《た、たちかに》
《で、ですが…サーヤを置いていくのは》
《ぎんしゃま、だいじぶ。さーや、むすびはしゃまにくっちゅいてりゅ》
《そ、そうか?では、結葉様、サーヤを頼みます》
《まかせてぇ。じゃあ、行くわよ?せぇのっ》
ひょいっ!サーヤが結葉様に抱っこ!

しゅんっ!ギン様は小さくなってビュンっとみんなの所へ!

おいちゃんは…そんなことに気づかずに囲まれてます。

さりげなく結葉様が少し離れてくれます。
《成功したわねぇ》
《あい。あいがちょ》
《いいのよぉ。ギンも無事に逃げられたみたいだしぃ。それにしばらくサーヤのぷにぷにを独り占めできるしねぇ》
そう言ってほっぺた合わせてぷにぷにしてきます。みんなこれ好きだね?結葉様のほっぺもぷにぷにすべすべです。

一方、逃げ延びたギン様は
『お父さん、よく逃げられたね~』
『あ、ああ。結葉様が助けてくれたんだ』
『ええ?結葉様が~?』
『そうだ。念話を使ってな。それよりお前たち、さっさと逃げたな』
『だってぇ~ねぇ?』
ぴゅいきゅい『『こわかったからぁ』』
『『逃げるが勝ち』』
『『『そうそう』』』
ちびっ子たちは正直!

『それでサーヤちゃんはどうしたのですか?』
『アイナ様はあちらにいらっしゃらなかったんですね?』
『はい。気圧されてしまいましたの』
『ご主人は今のままでもキレイだしにゃ!』
『あら、ニャーニャったら。ありがとうございますですわ』
みゃ~ん『それで、さーにゃにゃんは、どうしたにゃ?』
『ああ。結葉様がな、どの道、サーヤは巻き込まれるだろうから、こちらに来るよりゲンから離して自分が抱いていた方がいいだろうと仰って下さってな』
『お、お母様がまたもや』ガーンっ
『まともに活躍してるにゃ』ガーンっ
『サーヤちゃんは偉大ですわ…』ずーん
『なぜそれが、ご自分のお子様の精霊王様たちに向かにゃいのか、謎にゃ…』ずーん
心底驚いて、落ち込んでいる二人を見てギン様は
『そ、そんなに驚き(落ち込み)ますか?結葉様…』
いったい、どれだけ…

みゃ~ん『でも、ひとりじめして、すりすりしてるにゃ?』
ココロが結葉様を指さして言うからみんなで見ると、たしかに…

『あ、あら?独り占めしたいだけですの?』
『ど、どうだろにゃ?』
『でも、私が助けられたのも事実ですし…』
遠目にも嬉しそうにサーヤをすりすりする結葉様を見て

『まあ、言えるのは、お母様を理解するのは』
『無理ということにゃね…』
『お、奥が深いですな…』


《むすびはしゃま~さーやにょ、ほっぺとれちゃうよ~》
《ん~あと少しだけぇ。気持ちいいわぁ~》すりすり♪
《みんな、たしゅけて~》
すりすり♪

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