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171章 帰還

 420日ぶりくらいに、自宅に戻ってきた。

 自宅を前にすると、感動で目が潤んでいた。家に帰ってきただけなのに、こんな感情になるとは思わなかった。

 家を新しくしたことが、気分をさらに上昇させる。グレードアップした家で、スローライフを満喫したい。

 家に入ろうかなと思っていると、家建て名人から声をかけられた。

「アカネさん、こんにちは・・・・・・」

「家の近くで待っていたんですか?」

「今日はたまたまです・・・・・・」

「そうなんですか・・・・・・」

 たまたまなのか、家で待っていたのかは確定させられない。

「家の中を紹介していきますね」

 家の扉を開けると、豪邸を感じさせる造りとなっていた。ここに住めると思うだけで、テンションは大きくアップすることとなった。

「家の中にセキュリティ機能を追加しました。侵入目的で近づいている悪者を、察知することができます」

 人間の心を読めるのだとすれば、とんでもない能力を持っていることになる。

 家建て名人は、地図について説明する。

「セカンドライフの便利マップです。どこに何があるのかを、一瞬で表示してくれますよ」

 方向音痴の人にとっては、ありがたいシステムだ。

 家建て名人は、掃除機のような道具を説明する。

「クリパフです。アカネさんが作動させることで、部屋の中の汚れを0にできます」

 掃除をしなくても、部屋の中を綺麗にできる。こちらについても、素晴らしい機能といえる。

 換気扇みたいな道具の説明を受ける。

「室温管理装置です。これを作動させることで、室内の温度、湿度を一定に保つことができま
す」

 どのような原理で、温度調節をするのかな。その部分が大いに気にかかった。

 家建て名人は、冷凍庫の中を開ける。

「三秒で氷を作れる道具を追加しました。従来の時間を大幅に短縮できます」

 氷の魔法を使用できるので、こちらの恩恵は小さめかな。

 調理器具についての説明を受ける。

「シェフマです。材料をセットすれば、希望する料理を作ってくれますよ」

 材料をセットするだけで、希望の料理を作れる。夢のような道具といえる。

 換気扇と扇風機を融合させた、道具の説明を受ける。

「一酸化炭素消滅装置です。人間の有害となりうる、一酸化炭素を瞬時に吸収することができま
す」

 一酸化炭素中毒でなくなるのを防ぐのか。アカネには意味ないけど、他の人には効果がありそうな装置だ。

「火事になったときに瞬時に発動し、家が燃えるのを防ぐ機能もあります」

 長期的に家を外すときは、巨大な氷を張っておけばいいだけ。恩恵はそこまでではなさそう
だ。

「地震の揺れによる衝撃を、0になるように設計しています。セカンドライフの街では、巨大地震がごくごく稀に起きます」

 現実世界だけでなく、こちらにおいても地震は起きるのか。転生した街なのに、妙なリアル感を伴っている。

「家を破壊しかねないような水災があったとき、水の衝撃を0にすることもできます」

 水災の衝撃を0にできるとは。これがあれば、水災で悩むことはなくなる。

「ベッドは、リラックスルーム、ソファと入れ替えることができます。ご利用時に応じて、スペース活用をできるようにしています」

 スペースを活用できるのは、非常にありがたいシステムだ。

「その他にもいろいろな機能がありますので、説明書をお読みください」

 100ページに及ぶ、説明書を受け取った。

「アカネさんのおかげで、私たちの生活は安泰です。本当にありがとうございました」

 家に費やした金額は、2兆ゴールド。大金を入手したあととあって、奮発することとなった。

「2兆ゴールドの収入を得たので、付与金を納めることになりました」

 5000億ゴールド以上の年収があった場合、付与金を納めなくてはならない。これについては、

「セカンドライフの街」の決まりとなっている。

 家建て名人は苦笑いしていた。付与金を納めることになるとは、一ミリも考えていなかったのかもしれない。

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