168章 30時間経過
「このままではだめだ。変身するぞ」
ボスは狼狂犬から、マウンテンゴリラに変身する。見た目だけでいうなら、先ほどよりも弱くなっているように映る。
マウンテンゴリラは、胸を10回ほど叩いていた。リズム、叩き方などは、実在のゴリラをコピーしたかのようだった。
ゴリラはロケット弾を、口から100発ほど吐き出す。普通のゴリラにしか見えない身体のどこに、ミサイルが入っているのだろうか。
ミサイルは猛スピードで向かってくる。回避できそうにないので、シールドを貼ることにした。
10発ほどガードしたところで、シールドが切れてしまった。状況を立て直そうとする前に、ミサイルが身体を直撃することとなった。
「ドカーン、ドカーン、ドカーン」
「こうげきむこう」のスキルのおかげで、ダメージを受けることはなかった。
ゴリラはノーダメージだと知ると、
「これもきかないのか」
といった。弾道ミサイルに、相当の自信を持っていたと思われる。
「これならどうだ」
ボスは口から、大量のナイフを発射する。鋭利な形をしており、生身の人間を一瞬で殺傷できる力がありそうだ。
シールドは信用できないので、攻撃を回避するしかない。アカネはタイミングを見計らって、瞬間移動のスキルを発動する。
ナイフを回避できたと思っていると、ナイフの軌道が変わることとなった。ボスの吐き出したナイフには、追跡型の機能がついていると思われる。
追跡型となると、ナイフをつぶすしかない。ナイフに向かって、サンダーの魔法を唱えることにした。
ナイフを相手していると、ボスが拳銃を発射してくる。同時に攻撃を仕掛けられたことで、脳
内がパニックになってしまった。
ナイフで切り付けられたあと、後頭部に拳銃の弾を受けることとなった。通常の人間ならひと
たまりもないけど、アカネには痛くもかゆくもなかった。何事もなかったかのように、ピンピンとしている。「こうげきむこう」の恩恵を受けている。
「これでもだめか・・・・・・・。どのようにしたら、お前を殺せるんだ」
ボスは動揺を隠しきれなくなっていた。この様子を見て、メンタル面で優位に立ったのを悟った。
アカネは急所に、キックを繰り出す。ボスはメンタルが乱れていたため、攻撃をまともに受けることになった。
「いつ・・・・・・」
顔をしかめているところを見ると、かなりのダメージを与えたと思われる。変身したことによって、防御力は大幅に低下している。
急所以外においても、ダメージを与えられる可能性はある。急所ではなく、顔面にけりをお見舞いすることにした。
「ぐおおおお・・・・・・」
あと一撃で倒せるかなと思っていると、ボスはとんでもない行動に出る。予想していなかったので、頭が真っ白になってしまった。
「な・・・・・・・」
ボスは優越感に浸りながら、
「どうだ、どうだ、どうだ・・・・・・」
と罵ってくる。ゴリラになったことで、性根は更に腐ってしまったようだ。
ワープの魔法することで、ボスから距離を取る。これ以上は好き勝手させるわけにはいかなかった。