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161章 金属バット

 30体のペンギンを、15分ほどで全滅させた。これまでの苦戦が嘘に思えるほど、あっさりと倒すことができた。
 
 目を軽く瞑ろうと思っていると、次の敵が登場する。眠ることはできなくとも、しばしの休憩を取りたかった。

 アカネの目の前にいる魔物は、野球の金属バットに近かった。フルスイングをしたら、ボールはどこまでも飛んでいきそうな気がする。

 金属バットが、右打席バージョンのフルスイングをすると、強烈なトルネードが近づいてくる。アカネはバリアをはって、トルネードをシャットアウトした。

 金属バットが、左打席バージョンのフルスイングをすると、強烈な炎が近づいてくる。右打席用、左打席用で技が異なるようだ。

 炎魔法をガードしたのち、金属バットのすぐ近くにワープする。その後、金属バットの真ん中あたりを殴りつける。

 パンチはクリーンヒットしたものの、ダメージを受けているようには見えなかった。バットの真ん中付近は、耐久力が高めに設定されているようだ。

 金属バットはチャンスだと考えたのか、芯の部分で後頭部を殴打しようとする。瞬間移動のスキルを使用することで、相手の物理攻撃を回避する。

 瞬間移動をしたことで、敵はターゲットを見失っている。大チャンスを生かして、芯の部分を攻撃することにした。真ん中は耐久力が高くとも、芯の部分はもろいかもしれない。

 強烈なパンチを当てたものの、芯はノーダメージだった。こちらについても、耐久度は高めに設定されている。

 アカネはグリップの部分に物理攻撃を仕掛けた。真ん中、芯の部分は耐久性が高くとも、グリップは耐久力が低い可能性もある。

 金属バットは衝撃に耐えられず、5メートルくらい飛んでいった。真ん中、芯のときよりも、明らかにダメージを受けているのを察した。

 金属バットの色が赤くなる。パワーアップしたというより、頭に血が上っているように見えた。短気な性格をしているのかなと思った。

 バットは八つ当たりするかのように、ぶんぶんと振り回している。敵を倒そうとしているのではなく、ストレスを発散させようとしているように感じられた。

 敵の攻撃が当たらないところで、待機する作戦を取った。スタミナを完全に奪うことで、戦いを有利に進めるのが狙いだった。

 敵がへばったのを確認すると、強烈なパンチをグリップの部分にお見舞いする。敵の急所をとらえたのか、地面に叩きつけられることとなった。

 勝利を収めたと思っていると、金属バットが姿を見せる。急所をとらえたものの、致命傷には至らなかったようだ。

 致命傷に至らなくても、かなりのダメージを受けているはず。攻撃をヒットさせ続けていけば、勝てる確率は極めて高い。

 金属バットのグリップ部分に、空中キックを食らわせる。こすったような音がしたのち、魔物は地面に叩きつけられる。

 致命傷になったのか、姿を見せることはなかった。それを確認すると、ゆっくりと目を瞑った。

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