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212 結葉様が隠していたこと

精霊樹さんのお話から、前は違う大陸にいたことがわかりました。

『以前の大陸にいた時、私はエルフに勝手に祭り上げられ、あげく争いの種にはされるは、私の素材が金になると知った愚かな者たちにより、枝を折られたり葉をむしられたり、とうとう、私を切り倒そうとするものまで後を絶たなくなった。噂を耳にしてやってくる人間もな』さわさわ

「かわいしょう」えぐえぐ。
『エルフひどい~』えぐえぐ
ぴゅいきゅい『『エルフきら~い』』えぐえぐ
『『人間もきらい~』』えぐえぐ
『『『サーヤたちはすきだよ~』』』えぐえぐ
みゃあ『だいすきにゃ~』えぐえぐ
ひどいことするね。みんなで泣きながら怒ります。

『私は樹とはいえ、やはり夜は多少なりとも休む。そうでなくては昼間に力を蓄えることが出来ぬからな。だが、そんな輩は昼夜問わず襲ってくる。次第に負った傷も治せずぼろぼろになっていった。むろん、私の化身ともいえる結葉とてそれは同じ。二人、すでに体力も精神も限界だった』さわさわ

「しぇいりぇいじゅしゃ~ん、むすびはしゃま~」えぐえぐ。
精霊樹さんと、いつの間にか精霊樹に寄り添っていた結葉様に抱きつきます。話を聞いていたちびっ子同盟たちも、抱きつきます。
青葉ちゃんたちも、土の妖精さんたちも、抱きつきます。

『ありがとう。サーヤ、みんなも。そして、ついに、こやつ…今は結葉だったな、結葉がブチ切れたのだ』さわさわ

「うにゅ?ぶち?」ひっく
『切れた~?』ひぐっ
きゅうに言葉が?ハクたちと思わず顔を見合わせちゃいました。

『そうなのだ。こやつ、とうとう『精霊樹、ここからおさらばするわよ』と言い出した。こめかみに青筋立ててな。今を逃したら二人とも命はない。とな。それで、こやつ、夜中に私を地面から引き抜いてな、宙に浮かせたと思ったら、エルフの豚…こほん。王の城に私を落としてな、城を潰させてから一気に上空に飛んだのだ。闇夜に紛れるためにな』さわさわ

「ふ、ふぇ?」ずびっ
ぴゅいきゅい『『ぶたさん?』』ずーっ
『『つぶしたの?』』ずびびっ
今、おかしなことが混ざってたような?

『気にするな。それでな、私は中々に彼の大陸の中では大きな樹でな、とにかく目立つのだ。しかも樹が歩けば目立つし、速くもない。捕まるのは必至。だからな、こやつは無理をして闇夜を私ごと飛んだのだ。馬をどれだけ飛ばしても追いつけない距離まで。休まず、人には見えないほどの上空を休まずな』さわさわ

「むすびはしゃま…」えぐっ
『『『がんばってた』』』ひっく
みゃあ『えらいにゃ~』ひいっく

結葉様は『そんなことまでばらさなくてもぉ、や~ねぇ』とか言ってお顔真っ赤にしてます。結葉様をみんなで、ぎゅう~ってします。『あらあらぁ』って言ってます。

『そのまま、どこかに一度降りて休むことは出来なかったのですか?』
アイナ様がおめ目真っ赤にして聞いてます。アイナ様も知らなかったようです。

『出来なかった。私は大きい。あまりにもな。ひとたび地に降りれば痕跡が残る。降りることは出来なかった。数日間、昼も夜もこやつは、ふらふらになりながら海を渡り、この大陸に来た。だが、この大陸も広い。何とかこの地を見つけたのは偶然だ。この森なら私を隠せる程の巨木が沢山あった。人もエルフも入り込めそうもない奥地まで来て、周りを深く確かめる間もなく根を下ろし、力尽きて二人して眠りについてしまったのだ』さわさわ

しーん・・・

しばらく誰も何も言えませんでした。聞こえるのはちびっこ達のえぐえぐ泣いてる声と、ずびっと鼻をすする音。もうお顔はぼろぼろ。
沈黙を破ったのは・・・

『・・・お母様っ、なぜっ、なぜそれほどまでになるまで、私たちに相談して下さらなかったのですか!知っていましたら私達も協力しましたのに!』
『そうにゃ!水臭いにゃ!』
アイナ様とニャーニャにゃんでした。

『だってぇ、あなたたち、そうなったら怒るでしょう?精霊王の怒りは世界の怒り。関係の無い善良な人たちまで巻き込んでしまうでしょう?人もエルフも嫌いだけど、全てが悪い訳ではないことくらい、私だって理解しているのよぉ?』
『ですがっ!』
『言って欲しかったにゃ!』
感情があふれて、結葉様に詰め寄るアイナ様とニャーニャにゃん。それを止めるように

〖アイナ、ニャーニャ、私たちにも責任があるわ。そんなことになっていたなんて気づかなかった。でも、謝罪は後よ。私もあなたたちも。今は精霊樹の話を最後まで聞きましょう。結葉に聞いても照れてはぐらかされるだけよ。きっと〗
ジーニ様が話を最後まで聞こうと間に入りました。

『・・・そうですわね。失礼いたしましたわ』
『そうにゃね。きっと結葉様じゃ素直に吐いてくれにゃいにゃ』
アイナ様とニャーニャにゃんも少し冷静になったみたいだけど

『え~?なんのことぉ?』
結葉様ははぐらかそうとしてます。

「うぐっえぐっ、むすびはしゃまぁ」ぎゅううう
そうはいかないです。ちゃんとお話してもらわなきゃ。ひっく。

『あらぁ、泣かないでぇ。サーヤも、みんなも、私困っちゃうわぁ』
困っちゃえばいいよ。ぎゅううう。

『ジーニ様、地の精霊王。ろくに連絡もせずまま、音信を絶ってしまい申し訳ない。だが、旅立った時点で我々は既に力が尽きかけていた。我々もまさか、眠りについてから目覚めるまでこれ程時間が経っているとは思わなかったのだ。すまなかった』
精霊樹さん、あやまらないで。

『いつ、いつ目が覚めたのですか?お母様』
『ん~数年前?いつかしらぁ?レンゲ、アカシアあなた達に会ったのはいつだったかしらぁ?』
『たしか、結葉さまにであったのは、せんだいの女王だったはず』
『ハイ。ソウ、キイテマス』
『ですが、そのころ、結葉さまは、まだ一日のほとんどを、寝てすごしていたと。意識も、はっきりしていなかったそうです』
『ハイ。ソレデ、センダイガ、テイアンシタ、ソウデス。ダレモ、ハチノスガ、アルキヲ、セイレイジュトハ、オモワナイダロウ』
『精霊樹がふっかつするまで、我らがまもる。そう約束したと』

『そうだったわねぇ、二十年くらい前かしらぁ?』

『はい。そうだと思います。ジーニさま、結葉さまがながいじかん、起きていられるようになったのは、サーヤがきてからです』
『セイレイジュサマハ、サラニ、オキルノニ、ジカンガ、カカリマシタ』
レンゲとアカシアが結葉様と精霊樹さんをかばうように説明してくれます。

『お恥ずかしながら、そうなのです。結葉は一足先に、それこそ一日に数分という感じで起きられるようになったようだが、私は本当に最近起きられるようになったのです。青葉、なので、気づくことが出来なかった。申し訳ない。どうせ結葉は何も説明してないのだろう?』さわさわ

『はい・・・』ひっく
青葉ちゃん、頷くのがやっとみたいです。
『私も今初めてお聞きしましたわ』
『初耳にゃ』
代わりにアイナ様たちが答えてくれてます。

『本当に申し訳ない』さわさわ

『精霊樹、謝らないでくださいませ。仕方ありませんわ』
『そうにゃ。謝らないでにゃ』
『大丈夫です。結葉様もお母様も大変だったのです。謝らないで下さい』
『『『謝らないで下さい』』』
アイナ様とニャーニャにゃん、やっとお話できるようになった青葉ちゃんたちも、お目目真っ赤っかです。

『ありがとう』さわさわ

『どおりで私たちが気づかなかったはずだ。ずっと眠ってらしたのですね。結葉様』はあっ
ギン様が溜息をつきながら言います。

「えぐっむすびはしゃまぁ。めっ!」えぐえぐ
『えぇ?なんでメッなのぉ?』
なんでじゃないよっ

「ぢゃいじにゃこちょ、い、いわにゃいちょ、めっ」うぐうぐ、ぎゅううう

〖サーヤの言う通りよ!まったく!精霊樹が教えてくれなかったらみんなあんたを誤解したままじゃないの!悪かったわ。一方的に怒って。それに、神々を代表して謝るわ。気づいてあげられなくてごめんなさい〗

『やぁね~こういうのが嫌だから黙ってたのに精霊樹ってばぁ』ぷんっ
『そう言うな。分かってもらわなければいけないこともあるのだ』わさわさ
そうだよ!照れ隠しで精霊樹さんに八つ当たりしたら、めっ!だよ。

『そうですわ。話を聞いていたら謝らなければならないのは私たちの方ではないですか!まったく!青葉ちゃんの種の件は確かに怒らせていただきますけれど!けれどっ!知らない間にお母様も死にかけていたということではないですか!もう!もう!本当に気づかなかった自分が情けないですわ!お母様、精霊樹、申し訳ありませんでしたわ。ほんとにご無事で良かったですわ。お母様~』ぎゅうっ
『あらあらぁ』
アイナ様も一気に文句を言ったら、結葉様に抱きついて泣き出しちゃいました。ニャーニャにゃんもさっきから精霊樹さんに抱きついて、ごめんにゃって言いながら泣いてます。

サーヤたちもわんわん泣きながら謝りました。ごめんなさーい。頑張ってくれてありがとう!結葉様、精霊樹さん。うわ~ん!

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結葉様、実は色ありました。

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