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146章 すごろく

 いろいろとあったものの、すごろくのスタートにこぎつけることができた。

 抽選の結果、アカネが最初にサイコロを振ることとなった。サイコロをたくさん振ることができるので、すごろくを有利に進められる。

 不思議な回転をしたのち、12という出目が出た。幸先がよかったので、心の中でガッツポーズする。

「アカネさん、強運ですね」

 12という数字を、ミナは羨望の眼差しで見つめている。それを見ていると、少しだけ買った気分になった。

 コマを12個進めると、?というマスに当たった。くじを1枚引くと、「アカネに頭を撫でられる」と書かれていた。

「この場合はどうすればいいの」

 アカネの質問に、ココアが答える。

「自分の頭を自分で撫でてください」

 他人の頭をなでるならまだしも、自分の頭をなでることになるとは。見ている人からすれば、滑稽な映像である。

 頭をなでていると、髪の毛は落ちることはなかった。身体の生命力だけでなく、髪の生命力も超人レベルなのかな。

 2番手はユメカだ。彼女がサイコロを回すと、11という数字が出た。

「幸先がとってもいいね」

 ユメカがコマを進めた先には、「10マスすすむ」と書かれていた。指示のおかげで、一気にトップに立つことになった。

 3番手はミナである。優勝したい気持ちが強いのか、顔が強張っていた。

 ミナがサイコロを回すと、1という数字が出た。気負いすぎたことで、最低の出目となってし
まった。

「運がないな・・・・・・」

 ミナがコマを進めると、?マスに止まった。

「アカネさんに、頭を撫でられるようにするぞ」

 すごろくの趣旨が変わっているけど、指摘をしないことにした。

 ミナのひいたくじには、次のようなことが書かれていた。

「0マスすすむ」

「0マスすすむ」ということは、現状維持ということになる。奇妙な指示は、何のために描いた
のだろうか。

 1ターンしかたっていないのに、ユメカ、ミナは20マスの差がついた。今後の展開次第とはい
え、差をひっくり返すのは厳しいかもしれない。

 4番手はココアである。彼女はいつにもなく、気合が入っていた。

「サイコロを振るよ」

 ココアがサイコロを振ると、12の目が出た。彼女は嬉しそうに、コマを進めていた。

 ?マスに止まったので、ココアはくじを引く。彼女が引いたくじには、「アカネさんに、頭を撫でられる」と書かれていた。

「アカネさん、頭をなでてください」

 頭をゆっくりと撫でると、19歳の母親が白い歯を見せる。

「ありがとうございます」 

 最後にサイコロを振るのは、シオリである。

「負けないからね」

 シオリがサイコロを振ると、7が出た。1~12のサイコロにおいては、平均値に近い数字といえる。

 シオリのとまったマスには、以下のことが書かれていた。

「7マス戻る」

 7マス進んで、7マス戻る。1コマも進めることができず、単独最下位に転落した。

しおり