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210 精霊樹さん

アイナ様が精霊王様たちの中で一番乗りで来た理由が分かりました。
末っ子さんはなかなか大変ってことも分かりました。
ジーニ様の前で他の人に迫力美人さんはダメってことも分かりました。
サーヤの中身、いつか出ちゃいます。くぇっ

『あ、あの、それで私たちが大変というのは?』
青葉ちゃんがおそるおそる聞いてきました。

『あぁ、それはにゃ!今までは末っ子のご主人がおもちゃ…じゃにゃくて、かわいいかわいいってあそば…じゃにゃくて、可愛がられてたのにゃ。でも、青葉ちゃんたちと、それにサーヤちゃんたちがいるのが分かったら、きっとお姉様たちの攻げ…じゃにゃくて、可愛がる対象がみんなに移るにゃ!』にこにこっ

『『『『…………』』』』
『『『『『『…………』』』』』』
「…………」
今、何だか色々、おっかないこと、言われたような?しかもすっごい、にこにこです。
青葉ちゃんたちも固まってます。

『なぁ、アイナ様。今のニャーニャの話になんでサーヤも入るんだ?しかも『サーヤたち』って言ったよな?』
おいちゃん、それ聞いちゃう?きっと聞いちゃいけないやつだよ。

案の定、おいちゃんの質問にアイナ様が困ったように笑って
『お姉様たちも、あとはそんなことはない等と仰っていますが、お兄様たちも、小さくて可愛いものが大好きなのですわ。ですから、ニャーニャも毎回逃げ回っ…コホン。可愛がられていたのですわ』
そう言ってちびっ子同盟の方も見ながら
『ニャーニャが生き生きとお話してるのは、それを知っているからですわね。これだけ可愛い子たちが揃ってますから、きっと私やニャーニャに集中してた攻げ…可愛がりが皆さんに集中・・・分散すると思いますわ。青葉ちゃんはある意味、サーヤちゃんたちがいてくれて、ラッキーだったかもしれませんわね』

『え?』
青葉ちゃん、おめ目が…お皿

『なぜなら、他の精霊さん達や愛し子のサーヤちゃんと、ちびっ子たちがいなければ、あの暑苦し…強れ……え~っと、とにかくすごい攻撃……愛情を一人で受け止める羽目…ことになったでしょうから』

『……』
『『『……』』』
『『『『『『……』』』』』』
「……」
『ぼくたちも~?』
ぴゅきゅ『『きけん?』』
『『ぴんち?』』
『『『おもちゃ?』』』
みゃあ『いやにゃ』
呆然とする青葉ちゃんと、名前を上げられた面々。サーヤたち、ちびっ子同盟たちのお顔も…

『最後の方、言い直し、出来てなかったよな?』
うんうん。おいちゃんもそう思うよね?おしゃべりの先生なのに
『き、気のせいですわ』
気のせいじゃなかったと…
『気のせいにゃ!』
えぇぇ~?

『そ、そうか…まあ、今日はまだ平気だよな?』
大丈夫だよね?
『え?ええ・・・』
『た、たぶんにゃ』
『だいじょうぶ…』ふい~
『かにゃ?』ふい~
アイナ様?ニャーニャにゃん?カタコトで目を逸らしながらじゃ…

『そ、そうか…まぁ、じゃあ、それはひとまずおいといて、あれを何とかしてやらないと可哀想じゃないか?』
あれ?かわいそう?
『あれだよ、あれ』
あれ?なんだっけ?


『にゃ、にゃー、ご主人』
『なんですの?ニャーニャ』
『さっきからサーヤちゃん喋ってないにゃ。でも、念話で話してる訳でもないにゃ。でも、わかるにゃ』
『あ、あら?そう言えば?あまりに自然すぎて気づきませんでしたわ』
みゃ!『ほんとにゃ!』
ん?アイナ様たち今頃なんですか?

『それがサーヤだよね~』
きゅいぴゅい『『サーヤのとくぎ』』
『『必殺』』
『『『おかおでおはなし~』』』
『ついに名前までついたのね』
『そうか、必殺技だったのか』
ちびっ子同盟とフゥとクゥたちが言いたい放題です。でも、今はおいちゃんが言う『あれ』の方が大変です。


『あれ』は精霊樹のことでした。かわいそうです。土からあんよを出したまま、ほって置かれて悲しんでます。なんで分かるかって言うと、泣いてるからです。なんで泣いてるって分かるかと言うと、ほんとに泣いてるからです。
木の幹からボタボタ水が…
必死にレンゲとアカシアが慰めてました。あわわわ

慌てて精霊樹に駆け寄ります。ぽてぽて、コケっ
『あっサーヤちゃん!』
『あぶにゃいにゃ!』
その時ファサッとクッションが!
ぽふんっ。
助かりました。ふぅ~…う?
「くっちょん?」
あれ?そのままクッションさんが優しく起こしてくれました。
「ふあ?」
クッションはとっさに枝を伸ばして葉っぱをクッションにしてくれた精霊樹さんでした。
「はわわわ」
精霊樹さんのところにまた走ります。そしたら『だめだめ』って。だから歩いて抱きつきました。

「しぇいりぇ、せいれいじゅしゃん。あいがちょ。ごめしゃい」
ギューって抱きつくと、『大丈夫』って枝をさわさわしてくれます。
「いまかりゃ、ふかふかにしゅりゅにぇ!」
『ありがとう』って、またわさわさしてくれました。

そこで追いついたアイナ様とニャーニャにゃんが
『驚きましたわ。精霊樹がここまで自我を持っているなんて。でも、それでサーヤちゃんが助けてもらえたのですものね。ありがとうございますですわ。精霊樹。そして、ごめんなさい。ほったらかしてしまって』
『ごめんにゃ。それからありがとにゃ』

アイナ様たちのごめんなさいに精霊樹さんが
「『|きにしゅりゅにゃ《気にするな》、|しゅべては《全ては》、|あいちゅにょしぇいだ《あいつのせいだ》』っちぇ、いっちぇりゅにぇ」

『サーヤちゃん、分かるのですの?』
『声が聞こえるにゃ?』
なぜかアイナ様たちが驚いてます。

「あい。にぇ?」
『ああ。それで合ってるよ』さわさわ
さっきより大きな声です。

『まあっ』
『聞こえたにゃ!』
今度はみんなにも聞こえたみたいです。

『えぇ~ひどいわぁ精霊樹ったらぁ。私の事『あいつ』だなんてぇ』
結葉様が何だかプンプンしてます。
『何を言うか。そなたこそ私の子をぞんざいに扱いおったり、気まぐれに私を歩かせたり、そなたの方がよほど酷いわ。呼び方なんぞ、そなたではなく、おまえ、あいつ、で十分だ』さわさわ
『ええ~ひどいわぁ。サーヤたちも何とか言ってやってよぉ』ぷんぷん

「……いえにゃい」
『言えませんですわね』うる
『言えないにゃ』うるる
そうだよね、だって・・・

〖ねぇ、今気づいたんだけど〗
『奇遇だな。俺も気づいたことがある』
『我もだ』
『私もです』
〖結葉の一番の被害者って、青葉だと思ってたけど〗
『精霊樹もなぁ』
『ああ。まぁ、どちらも比べられないくらい』
『ひどいことに変わりはないですね』
ほんと、そうだよね

『え~、みんなして何よぉ』ぷんぷん

〖『『『何よじゃない!』』』〗
大人たちと精霊樹さんの声がきれいにハモリました。
サーヤもそう思う~

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