第22話 卑怯な女※小春Side※
第二回戦。
相手は第二シードの強豪ペア。
同じ学園の先輩ではないけど、小学校の頃から有名だった一つ上のペアだ。
勿論、簡単に絶対に勝つわ!などとは言えない相手だけれど、今の相方なら......梨々となら、良い所までいけるんじゃないかと期待している。
「梨々、あの前衛のサーブ変わったわね。見てた?」
コートに入り、ベンチに物を置きラケットの状態を再確認し、軽く体を動かす。
その短い時間は、ペア同士や、顧問の話を聞く時間となる。
「見たよ!ファーストサーブが左カットになってたね!」
梨々はテニスシューズの紐を結びながら答える。
「そうよ。左回転だから、私にとってはセンターライン側、梨々にとってはコートの外側に逃げるのよ。きっと相手はそのまま逆クロス展開に持って行こうとしているんだわ。」
「そうなる前にレシーブで相手後衛が取れない球を打たないとね.....」
後衛として、梨々は頭の中で色んな種類のレシーブを思い浮かべているのだろう。
梨々は狙った球を、かならずその通りに返せるから本当にすごいわ。
だから私も梨々からあらかじめコースを聞いておけば、どこに動いてどのタイミングでボレーに出れば良いかが分かるの。
こんなにやりやすい後衛、今までいなかったわ。
だから、梨々とならいづれ優勝だって狙えちゃうんじゃないか、って思えるのよ。
「梨々。きっと一般的には私たちはまだ一年だし、この試合に勝てるとは思われてないわ。、、、でも、、、絶対勝つわよ、、、」
私のペアが梨々で本当に良かったわ。
だからこそ、二人で上まで登っていきたいの。
でもね、、、
あなたを見るたびに、羨ましくて、悔しくて仕方がないわ。
だからこそ、、、、、
「うんっ!絶対勝とうね!!!お互いを信じて!」
屈託のない笑顔で笑うあなたの幸せを願えない私が辛いの。