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140章 手を洗うということを知らない4人

 30分くらいで、5人分の料理が完成する。

「ごはんができたよ・・・・・・」

 アカネの言葉を聞き、部屋の奥で話をしていた、4人がやってきた。

 ココアは食材の香りを楽しんでいる。

「とってもいいにおいがします」

 シオリは提供される料理を、子供のようなまなざしで見つめていた。

「とってもおいしそうです・・・・・」

 ユメカも同じ反応をしていた。

「超高級店で食べるご飯みたい」

 ミナは食材の豪華さに、視線が釘付けになっていた。

「豪華な料理を、私達が食べてもいいんですか?」

「うん。今日のために、いろいろと準備したんだ」

 ココアたちがやってくる直前に、食材の購入をすませる。最新のものをそろえることで、食材の鮮度を高めるのが狙いである。

「食べていないのに、身体が踊っています」

 ユメカの踊りに対して、ココア、ミナ、ユメカは笑顔を見せていた。アカネもつられるように、白い歯がこぼれていた。

 4人が席につこうとしていたので、

「黴菌を落とすために、ご飯の前に手を洗おう」

 といった。手についた汚れを落とさないと、衛生面でマイナスとなる。
 
 4人はしっくりとこなかったのか、全員が首をかしげていた。ご飯の前に手を洗うということ
が、わかっていないようだ。

「ご飯の前に、手を洗うんですか?」

「そうだよ。手をきれいにすると、ご飯がおいしくなるんだよ」

 小学生の頃に教えられたけど、実際のところはどうなのかな。手を洗うだけでは、ご飯はおいしくならないような気がする。 

「手をどうやって、きれいにするんですか?」

 シオリが質問に対して、アカネは簡潔に答える。

「水を使用するんだよ」

 ココアは「へぇ~」と、相槌を打っていた。

「貴重な水を、手洗いに使用するんですね。とっても贅沢です」

 手を洗ってしまうと、飲み水に使えなくなる。貧乏生活を送っている人にとっては、死活問題といえる。

「4人で手を洗ってきます」

 ココアたちは、手を洗いにいく。その様子を見ていると、小学校時代のことを思い出すこととなった。あのころは一列に並んで、手を洗っていた。

「私も行ってもいいかな?」

「はい。一緒に手を洗いましょう」

 同い年であるにもかかわらず、30センチ程度の身長がある。そのこともあって、親と子供が一
緒に手を洗っているように感じられた。


*のんびりとした話を書いた後は、魔物との戦闘シーンを予定しています。アカネは強敵とどのように戦っていくのかという、アイデアを発案中です。

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