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206 いえーい!

ぶおん!
「ふあ?」
ウインウインウインウイン

『は?』
固まる、おいちゃん
『ええぇ~?』
さすがの結葉様も、びっくり
『これはいったい、なんですの?』
アイナ様も、びっくり

〖サーヤ、ゲン、これは、何かしら?〗にこぉ

ジーニ様の迫力笑顔の問いかけに、『は?』っと言ったまま顔をひきつらせていたおいちゃんが、ギギギっと音がしそうな感じでサーヤの方に向いてきます。

『サーヤ?正直に答えような?』ヒク
「あ、あい」
こ、こわいですよ。お口のはしっこヒクヒクしてるよ。

『何をイメージした?』ヒククッ
おいちゃん、引きつった笑顔が怖いですよ。

「か、かきまじぇるにゃりゃ、みきしゃーかにゃ?っちぇ」
ぐるぐる~って

『そうか。ちなみにそれは、台所でおばあちゃんが使ってたヤツだな?』ピクリ
「あ、あい」
そうだよ。ぐりゅぐりゅ

『サーヤ、あれはな、あのハンドミキサーは横回転だ。見ろ!』ビシッ
おいちゃんがビシッ!と指をさした先、目を逸らしていた現実をチロって見ます。

『ど真ん中で横回転させてるから、畑が、畑が流れるプールみたいになってるじゃないか!』ビシッ
「ふぎゅっ」
そう、畑の土がぐるぐるぐるぐる回っています。あれ~?

「ちゃ、ちゃのちしょうだにぇ?」
チャレンジャーな一人の土の妖精さんが、恐る恐るつま先から試すように土に入ったかと思ったら、そのままキャーっと楽しそうに流れて行っちゃいました。それを見た他の妖精さんたちも続々とあとに続いて、今やニャーニャにゃんとココロまで、キャーっと両手を上げて流れています。

『あれじゃ全体が回ってるから下の方が混ざらないじゃないか』
「じゃ、じゃあ、はんちゃいまわちにしゅりゅちょか?」
そう言ったとたん、土の流れが反対回りになりました。不思議だなぁ?
妖精さんたちとニャーニャにゃんたちは、またもやキャーっと楽しそうに回っています。

『サーヤ、あれじゃ同じだろう。表面しか回ってないぞ』
「しょ、しょっかぁ」
おかしいなぁ?むずかしいね…

『う~ん?なぁんかちがうわよねぇ?』
『違いますわね』
結葉様とアイナ様、サーヤたちの会話の論点が違っていることを、本人たちに言うべきか迷っていると、

〖あ~サーヤ、そろそろ一回止めましょうか?〗
ジーニ様がやんわりと、サーヤに流れるプールを止めるように言いました。

「あ、あい」
止まれ~止まれ~…あっ止まった。ふぅ~。おでこの汗を拭きます。

『え~もうおわり~?』
『『もっと~』』
『『やろうよ~』』
『『おねが~い』』
妖精さんたちがお手手合わせてお願いのポーズです。可愛いけど、ごめんね?

『はっ!つい回っちゃったにゃ!』
みゃ~ん『たのしかったにゃ!またやりたいにゃ!』
そ、そう?

『サーヤ、あれじゃ土は混ざらない。やるなら縦回転だ』
「たちぇ…ちょいれっちょぺーぱー」
カラカラカラ……
『トイレットペーパー?なんか違う…やさしくほっくり返すんだよ』
「うにゅう」
ほっくり返す…手巻き寿司の酢飯、しゃもじで切るように?ほっくり返す・・・

『うにゃ~!全員退避にゃ~!』
みゃあ『ねぇねーっなんかでたにゃーっ』
『『『うわ~っ』』』
『『『にげろ~っ』』』

〖わ~っ!サーヤ止めて止めて!〗

「ふぇ?」
サーヤが考え込んでると、いつの間にか畑の上に現れた透明?の大きなしゃもじが、サクッと土に入ると、やさしくほっくり返していました。

「あ、ありぇ?」
『サーヤ…しゃもじって、酢飯か』
「え、えへ?」
と、とりあえず消さなきゃ
消えろ~消えろ~。

ぱっ

あっ消えた。よかった。

シーン

『サーヤ違うだろ?あれじゃひっくり返しただけだろ?』
「あ、あい」
ごめしゃい
『そもそも、なんでキッチン用品になるんだ。畑なら耕運機だろ?』
「ふあ?」
そういえば?

『なんかぁ、やっぱりズレてるわよねぇ?』
『そ、そうですわね?』
やっぱり論点がズレてる、おいちゃんとサーヤ

〖ちょ、ちょっとゲン…一度止め…〗

こううんき?あっ横長の不思議な形の棒がウインウインしてるやつ?
ジーニ様の停止も虚しく、サーヤの妄想?暴走は続く・・・

ぶおん!ウインウインウインウイン
「ふあっ!?」
また勝手に?

『あ、あぶないですわ!』
また違う動きが始まって、慌てるアイナ様、だけど結葉様とジーニ様が

『あらぁ?でもぉ』
〖う、上手くいってる?〗
これまでと違うことに気づいた。

「うぇ?」
土がでんぐり返りしながら、手前から奥にぼこぼこぼこぼこっと、ひっくり返って混ざっていってます。

『おぉ!いいんじゃないか?さっくり柔らかく混ざってるぞ』にこにこ
「え、えへへ。できちゃ?」
おいちゃん、ほんと?
『ああ。でも、表面じゃなくもうちょい土の中からクルクルした方がいいんじゃないか?』
「にゃか?」
ん~、中?くるくる棒を土の中に沈めて~、ぐりんぐりん

『あ、あら?土が輝いてきましたわ。すごく喜んでますわ!』
『すごいにゃ!サーヤちゃん!』
みゃ~ん『すごいにゃ~』
そ、そうかな?えへへ

『ねぇえ?ジーニ様ぁ、これは成功したんじゃなぁい?』するっ
〖そ、そうみたいね〗
ジーニ様、呆然。結葉様が腕に絡みついてきてるのに気づかないくらい呆然。

『『『『サーヤちゃん、サーヤちゃん』』』』
『『『『すごい、すごい!』』』』
土の妖精さんたちが、ぴょんぴょんしながら両手を出してきます。ハイタッチかな?
しゃがんで両手の手の平を向けると、

『『『『いえーい!』』』』パンっ

正解だったみたいです。みんな元気にハイタッチして畑に行きます。

『『『『やったぁ!』』』』
『『『『サーヤちゃんのちから、分けてもらったぁ!』』』』
『『『『いくよ~』』』』
『『『『お~!』』』』

そう言うと、まだ耕してないところで

『『『『それーっ』』』』ぐりんぐりんっ

って、横一列に並んで、一斉にでんぐり返りを始めました。
そしたらなんと、でんぐり返りの後が輝きながら土が耕されていきます。

「ふああ?」
『はあ?』
どうして~?

『あららぁ、楽しそうにお手伝いはじめちゃったわねぇ?』くすくす
『そうですわね~』くすくす
『にゃはは。楽しそうにゃ~』

みゃ~ん『ココロも!ココロも~!』
『仕方にゃいにゃね~、ニャーニャも一緒にやってあげるにゃ』うずうず
ニャーニャにゃん、仕方ないと言いながら、おヒゲがうずうず動いてます。

みゃ~ん『わ~いにゃ』
『というわけで、さーやちゃん、タッチにゃ!』
みゃ~ん『たっちにゃ!』

どの辺が、『というわけで』なのか分からないけど
「あ、あい。たっち」
『いえーいにゃ』ぽふんっ
みゃ!『いえーいにゃ』ぽふんっ
なんだか分からない、肉球ハイタッチ!気持ちいいです。

『ココロ!行くにゃ~』
みゃ~ん『あいにゃ!ねぇね!』
わ~って二人も走って行っちゃいました。妖精さんたちと一緒にくるんくるんでんぐり返りしてます。
どうなってるの?


『お父さ~ん、楽しそうだよぉ 離してよぉ』
ぴゅいきゅい『『いや~ん はなちて~』』
ぴゅい『わたしたちも~』
きゅい『いくの~』
ぴゅいきゅい『『おとうしゃんのいじわる~』』
『フゥもはなしてよ~』
『クゥもはなしてよ~』
『『『あおばちゃんもはなして~』』』
外野では必死にちびっ子同盟たちが一緒になって遊ばないように押さえていた…

『ハク、今はダメだ!いたた!しっぽで叩くんじゃない!』ばしばしっ
『モモ、スイも今は我慢しなさい!いたた!噛むんじゃない!』あぐあぐっ
『『フライもフルーも暴れないで』』バタバタバタっ
『妖精トリオも我慢です。あっちょっと、みんなも手を貸して~!』
必死です・・・

きゅるる『みんなまだまだね
~』ふぅ・・・
きゅるるん『『『『『『『ん~ん~』』』』』』』ゴロゴロゴロゴロ

『絹さん、ようしゃないのぉ』
『子グモたち、見事な簀巻きじゃの』

外野は外野で、色々あったようです。

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お読みいただきありがとうございますm(*_ _)m

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