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139章 昼食の準備

 ラーメンを食べられないことに、ユメカは落胆していた。

「醤油ラーメンを食べたかったよ」

 気落ちしている女性に対して、

「しょうがないよ。シオリ、ミナは子育てがあるんだよ」

 と、ココアがいった。こちらはラーメンを食べられないことに、理解を示していた。

 ラーメンを食べたがっている女性に、シオリがアドバイスを送る。

「3人で行けばいいんじゃないかな?」

 ミナも同じ意見だった。

「私たちのことは気にしなくてもいいから、ラーメンを食べに行ってきてよ。ラーメンを食べたら、感想を聞かせてほしい」

 シオリ、ミナの意見を聞いていると、3人で行くといった方がよかったのかな。5人で行きたいという、気持ちを優先させたことを悔やんだ。

 後悔の念に駆られていると、ココアが助け船を出した。

「5人で食べるからこそ、価値があるんだよ。3人だけでは、ラーメンのおいしさは半減だよ」

 ココアは別の観点から話をする。

「予定を急に変更したら、フタバさんたちが困るでしょう」

 フタバの話からすると、ラーメンの仕込みには、かなりの時間を要する。あとで訪ねたとしても、準備するのは厳しいと思われる。

「5人揃ったら、ラーメンを食べに行こう」

 ユメカは納得していなかったものの、ココアに歩調を合わせる。

「うん。わかった」

 気落ちしている女性に、ご飯の案内をする。

「みんな、昼食を食べよう」

 昼食として、「パン+++++」、「鶏肉+++++」、最高級の卵を使用した「目玉焼き」、「ヨーグルト+++++」などを提供する。五人分を作るため、時間のかからないメニュ
ーを選んだ。

 ユメカは瞳をウルウルとさせていた。先ほどまでの落ち込みは、どこにいってしまったのだろうか。彼女は気分屋なのかなと思った。

「アカネさん、ありがとうございます」

 ユメカを見ていると、ユラと重なる部分がある。プラスにとらえるなら自分に正直、マイナス
にとらえるなら空気を読めない女性といえる。

 日本の社会においては、こういうタイプは嫌われる。輪を乱さないために、空気を読むことを求められる。

「昼食は何ですか?」

 と、シオリから訊かれたので、

「パン、鶏肉、卵を使った料理、野菜炒め、ヨーグルトだよ。飲み物は、桃のジュースがあるよ」

 と答える。5人分ということもあり、すぐに作れるものを選択した。1人だけであったなら、手の込んだ料理にしたと思われる。

 食材を作るにあたって、栄養バランスを重視した。カルシウム、鉄分、ビタミンなどを取ることで、元気になってもらいたい。

 ジュースは桃100パーセントとなっており、濃厚な味わいを楽しむことができる。桃好きの人にはたまらない、一品となっている。

 砂糖、人工甘味料、保存料は使用していない。素材の味を楽しむことに、重きを置いている。糖分過多で太らないよう、配慮もなされている。

「料理の品数がすごいですね」

 と、ミナがいった。5品をすごいと感じるのは、彼女の食生活の貧しさを象徴している。値段は高級だとしても、品数は多いとはいえない。現実世界にいたときも、5品くらいの料理を食べ
ることはあった。

「鶏肉を調理するね」

 1人分ずつを焼いていたら、かなりの時間を浪費することになる。5人分の肉が焼ける、フライパンを使用する。

 フライパンに軽く油をひいたあと、鶏肉を乗せる。こうするだけで、肉を自動で焼くことができる。

 肉が自動で焼かれていることに対して、シオリ、ミナ、ユメカは驚いていた。

「肉が勝手に焼けるんですね・・・・・・」

「うん。最高に味に仕上げてくれるよ」

 ミナは感動で、涙がこぼれそうになっていた。

「すごいですね・・・・・・」

「そうかな・・・・・・」

 ユメカは声が震えていた。

「自動で焼くところを初めて見ました」

 ココアは一度見たからか、反応を示さなかった。二度目になると、反応は薄くなるのかな。

 鶏肉を焼いている間に、ヨーグルトの準備をする。段取りよく準備しないと、1時間、2時間も浪費することになる。無駄ななるべく減らすようにしたい。

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