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「じゃあ、今日のおやつはケーキにしようか?」

「ケーキ!? ねぇ、それって美味しいの?」

「ああ、もちろんだとも。とくにチョコレートケーキなんか美味しいぞ」

「ボク、チョコレートケーキ食べたい!」

 ピノは聞いたこともないお菓子を食べたいと言って、両手をあげて無邪気に喜んでいた。

「わかった。じゃあ、今日はチョコレートケーキを一緒に食べようか?」

「うん! 早くおやつの時間にならないかな?」

 ピノはそう言って無邪気な顔で、おやつの時間を心待ちした。ローゼフはそんな彼を不意にぎゅっと後ろから抱きしめた。

「ロ、ローゼフ……?」

「お前は私にとって一番の贈り物だ…――」

「ほ、本当に……!?」

「ああ、お前がいなかったら私はずっとこのまま一人だった…――」

「ローゼフ、ボクも会えて凄く嬉しいよ! だってマスターは優しいから、ボクも大好き!」

 ピノはそう言って幸せそうな顔で振り返ると、彼の首に小さな両手を回して抱きついたのだった。


――翌日、彼は朝から用があり。大きな馬車に乗ると屋敷から街へと出掛けて行った。ピノは彼の部屋で大人しく待っていたが、空腹に襲われて我慢出来なくなった。彼に部屋から出ては駄目だと言われたが、ピノは言いつけをやぶると部屋からコッソリと抜け出した。そして、空腹に飢えながら屋敷の中をてくてくと小さな足で歩いた。ひょっとしたらどこかに食べ物があると思ったからだ。しばらく屋敷の中を探索していると広くて大きな居間に出た。そこはピノにとってみたこともないような広々とした部屋だった。いつも彼の部屋にいたので、見慣れない部屋を見ると自分の胸のワクワクが止まらなかった。居間には大きな絵画や、鎧の人形や、暖炉の上には大きな家紋が入ったレリーフが飾られていた。そして、天井には光輝くシャンデリアが照らされていた。ピノはそれらに魅せられると、大きな衝撃を受けながら居間の中を探索し続けた。

 部屋の中を探索しているうちに大きなテーブルが目に入った。そこには美味しそうな食べ物のがお皿の上に並べられていた。ピノはお腹を鳴らすと空腹に我慢出来ずに、テーブルの傍に置いてある椅子の上によじ登った。そして、そこからテーブルの上をキョロキョロと見渡した。僅かに見えたのはテーブルの上に美味しそうな料理が並んでいたことだった。ピノは初めて見る美味しそうな料理に衝撃を受けると、口からヨダレをたらして瞳を無邪気に輝かせた。そして、テーブルの上にクロワッサンがあることを発見した。

「あ、クロワッサンだ! やったー! あんなに一杯あるなんて凄いや!」

 ピノはクロワッサンを発見すると、その場ですぐにテーブルの上によじ登った。

「うんしょ、うんしょ。クロワッサ~ン♪ クロワッサ~ン♪ フワフワ美味しいクロワッサ~ン♪ なぜ美味しいのクロワッサ~ン♪」

 ピノは上機嫌になりながら歌を歌うと、テーブルの上によじ登ってクロワッサンが置いてあるところまで歩いた。大きなテーブルの上には、美味しそうな料理がズラリと並んでいた。その料理が彼のための食事とは知らずに、ピノはクロワッサンにかぶりついた。

「いただきまーす!」

 その時だった。クロワッサンを食べる直前に誰かが背後から、首のうしろの襟をグイッと掴んで持ち上げた。

「わ~ん! 降ろしてよ~!」

 ピノは首の襟を掴まれると、宙吊りにされたままそこでジタバタしながら暴れた。


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