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136章 4人におもてなし

「すごろく大会の前に、一緒にご飯を食べよう」

「ご飯」という言葉に、ミナという女性が反応する。

「アカネさん、いいんですか・・・・・・」

「うん。たくさん食べてね」

 4人の女性のために、いろいろな食材を準備した。いいものを食べてもらうことで、元気になってもらえるといいな。

 ご飯の準備をしようとしていると、

「紅茶を飲んでみたいです」

 と、ミナからリクエストがあった。

「うん。いいよ」

「ありがとうございます」

 まろやかな紅茶を飲むことで、心に安らぎを感じることができる。リラックスしたいときには、うってつけの一品といえる。

「アカネさんは気前がいいですね」

 シオリの言葉に対して、小さな声で聞き返した。

「そうかな・・・・・・」

「はい。他人におもてなしをするのは、こちらではありえなかったです」 

 他人におもてなしをすれば、日々の食事に困ることになる。シオリの考え方は、まっとうとい
えるのではなかろうか。

 シオリの発言に、ユメカも同調する。

「他人にサービスすれば、自分が飢餓で苦しむことになります。命を削ってまで、他人をおもて
なししようとは思いません」

 細身の身体をしていることで、説得力が大いに増すこととなった。肥満体型の人間であったなら、飢餓という表現にうさんくささが生じる。

 ミナも話に同調する。 

「自分たちの食べる分ですら、確保するのは厳しい状況でした。他人にかまっているような、余裕はありません」

 自分に余裕があるからこそ、他人を助けようという発想になる。余裕がないときは、どんな手段を使ってでも、生きようとする。

 ミナはポケットに入れていた、小さな飴を取り出す。

「付与金が支給されたあとは、水、飴などをサービスするようになりました。お金をもらえたこ
とで、心に余裕ができたのだと思います」

 生活の基盤となるのはお金である。心にゆとりを持つためには、最低限のお金は必要となる。

 お金だけでなく、心が満たされていることも重要である。心が満たされていなければ、幸せな生活を送っているとはいえない。

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