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135章 すごろく大会

 家でくつろいでいると、ドアをノックする音がした。

「アカネさん、こんにちは」

 ココアの隣には、3人の女性がいた。彼女の友達であると思われる。

 3人の身長は140センチほどだった。あまりに小さいので、小学生かなと思ってしまった。

「三人は同い年です」

 満足な栄養を取れなかったことで、身体の成長がスムーズにいかなかったようだ。バナナだけでは、身体は成長しないのかもしれない。

 笑顔を浮かべながら、四人を案内する。

「みなさん、いらっしゃい」

 ピンク色の髪の毛を纏った、女性が自己紹介をする。声優になれそうな、透き通った声をしていた。

「ミナといいます。よろしくお願いします」

 ミナは満足に食べられていないのか、かなりの細身である。指でつついただけで、骨が折れてしまいそうだ。

 ミナに続いて、紫色の髪の毛の女性が自己紹介をする。

「ユメカです。よろしくお願いします」

 ユメカも細身の体をしている。バナナ生活を継続したことにより、栄養失調に陥っているような印象を受ける。強風が吹いたら、流されるような気がする。

 左の方向から、やや強めの風が吹く。ユメカはこらえきれず、30センチほど流されることとなった。

「ユメカ、体重を増やした方がいいよ」

 ミナの発言に対して、ココアが首を縦に振っていた。彼女も同じことを考えているようだ。

「セカンドライフの街」では、さらに強い風が吹くこともある。そのときに、彼女は持ちこたえることができるのだろうか。 

「わかってはいるんだけど、食事が喉を通らないんだ」

 メンタル面の不調で、食事を食べられないのかな。これまでの話だけでは、原因を判別するのは難しい。 

「ユメカが生きていかないと、子供たちが路頭をさまようことになるよ」

 ミナの話から推察すると、旦那は他界している確率が高い。家族を守るために、極限の状態に
なるまで、労働をしていたのかもしれない。

 ココアが鼓舞する言葉を、ユメカにかけていた。

「子供たちの分まで、必死に生きていこう・・・・・・」

 ユメカという女性は、小刻みに頷いていた。

「うん・・・・・・」

 空を見上げると、変わった形の雲を見つける。普段はあまり見ないだけに、珍しいなと感じて
しまった。

 水色の髪の毛の女の子が、自己紹介をする。暗い話があったばかりだからか、声のトーンがやや小さくなっていた。

「シオリといいます。よろしくお願いします」

 ミナ、ユメカよりは肉がついているものの、細身であることに変わりはない。こちらも、充分
な栄養を取れなかったようだ。

 ユメカは胸の前で、腕を絡ませていた。

「アカネさんに会えるのを楽しみにしていました」 

 ミナが続いた。

「私も同じです。アカネさんに会えるなんて最高です」

 シオリという女性が、大きな欠伸をする。

「あまりに嬉しすぎて、3時間しか眠れませんでした」

 三人の話を聞いていると、ヒーローさながらの印象を受ける。普通の一般人だと思っているの
で、そのような扱いはやめてもらえるといいな。

「今日はすごろく大会を楽しみましょう」

 彼女たちの作るすごろくは、どのようなものなのだろうか。それを考えるだけで、子供のように心がワクワクしていた。

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