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ララコンベ温泉祭りのその後

 辺境都市ララコンベとオザリーナ村で開催されました温泉祭りは大盛況のウチに幕を閉じました。

 美人店員コンテストを皮切りに、屋台街や、協賛したオザリーナ村との間を駅馬車でピストン輸送しての温泉めぐりなどを訪れたお客さん達は満喫。
 中にはそのまま延泊してさらに温泉を満喫なさっているお客様も少なくないそうです。

 コンビニおもてなしでいいますと、オザリーナ村に店舗を構えています6号店の売り上げがすごいことになりました。

 いままで、店長のチュパチャップを中心に頑張っていたものの、オザリーナ村の温泉の知名度不足による客足の伸び悩みもあって、売り上げが横ばい気味だった6号店なのですが……

 今回の温泉祭りをララコンベと共催したことで、客足が増加。

 僕の発案ではじまった「温泉巡りスタンプ」もお役にたてた感じです。

 この温泉巡りスタンプですが……

 ララコンベの商店街組合が配布していました温泉巡りスタンプの台紙、これクレジットカード程度の大きさで首にかけられるようになっています。それをもって、ララコンベ温泉郷にあります6つの温泉施設と、オザリーナ村にあります1つの温泉施設の合計7つの温泉施設を巡り、それぞれの温泉施設でスタンプを押してもらい、合計7ついっぱいになると温泉1回無料入浴券と交換出来るうえに、商店街組合加盟店舗から提供された豪華景品があたるというダブルチャンスがあったもんですから、結構な人気だったんです。

 ちなみに、コンビニおもてなしからはスアビール木箱で数箱提供しました。
 ……タクラ酒も一緒に提供しようとしたのですが『そっちはお気持ちだけで結構ですです』って商店街組合の蟻人さん達にやんわり断られたんですよねぇ……美味いんですけど、なぜか不憫なお酒です……

 で、そのスタンプを求めてオザリーナ村を訪れる人が結構増えたそうなんです。

 これに輪をかけて集客に影響を与えたのが、オザリーナ村で踊り小屋こと「シャラ&レイレイ移動酒場」を経営しているシャラが美人店員コンテストで優勝したことでした。

 優勝したシャラが、ステージ上でのインタビューで
「アタシ達の踊りも見に来てねぇ」
 って、言いながら、みんなで踊りを披露したのですが……その踊りがキレッキレですごかったんですよ。
 それが話題に話題を呼んで、ララコンベの温泉客のみなさんを、こぞってオザリーナ村へと向かわせたみたいなんですよね。

 そんな事が重なりまして、オザリーナ村は村設立以来最高のお客さんで賑わったわけです、はい。

 コンビニおもてなし6号店も、その恩恵にあずかりまして
「か、過去最高益を2倍近く更新出来ましたぁ」
 と、店長のチュパチャップが歓喜の涙を流していたほどなんです。

 その後、
「店長、良かったですね……って、うわぁ、また何もないところですっころんでしまいましたぁ」
 って、言いながら店員のアレーナがチュパチャップのスカートをズリ下げなければ、良い話で終わったんですけどねぇ……


 ただ、一方のチュパチャップも

「ひゃん!? さ、最近は新人店員のマキモさんばかりでしたのにぃ」
 って言いながらも、久しぶりにスカートおろしをくらったもんですから心なしか嬉しそうな表情を……

「ななな何を言ってるんですかぁ、そそそそんなことありませんよぉ」
「え? そう……いやぁでも……」
「でもじゃありません! 絶対ありません!」
 とまぁ、チュパチャップが顔を真っ赤にしながら否定していますので、まぁ、そういうことにしておきます、はい。

◇◇

 そんな中、思わぬ効果もありました。

 いえね、イエロが責任者として取り仕切ってくれている狩猟部門が人員不足に陥っていたため、求人を行っていたところなのですが……

「へぇ……このコンビニおもてなしさんで狩猟業務に従事できる冒険者を募集してるのか……」
「結構いい店だし……何より専属契約代金が結構高いな」

 といった具合でですね、温泉祭り目当てでララコンベをはじめて訪れた冒険者の方々が結構な数、狩猟部門の求人に応募してこられたんですよ。

 この方々は、早速イエロの元で研修を受けてもらっているのですが
「いやぁ、店長殿。今回の研修生達はなかなかでござるな。拙者も研修のやり甲斐があるでござるよ」
 イエロが、そう言って嬉しそうに笑っていた程ですので、これは期待出来るかもしれません。

 また、屋台の方でですね、ちょっとしたイベントも開催されていたんです。
「屋台店員コンテスト」
 ってやつなんですけど、これは文字通りお祭期間中にララコンベの屋台街に屋台を出店していたお店の店員さんの中で、頑張っている・美人だ・格好いいなどなど、いいと思った店員さんがいたら、その店員を記名して商店街組合が設置している投票箱に投票する仕組みになっていたんですが……


 なんと、パラナミオが3位に食い込んでいたんです。

 屋台は全部で70近く出店していましたし、屋台で働いている人全員が対象でしたから、対象者は500人前後はいたはずなんですけど、その中の3位だったわけです。
「パパ! なんか嬉しいです」
 って喜びながら僕に抱きついてきたパラナミオ。
 僕としましても、期間中笑顔で元気な声を上げながらコンビニおもてなしの屋台を一生懸命盛り上げていたパラナミオが選ばれたもんですから、感慨もひとしおでした。

 ただ……

 そんなパラナミオの元に、
「よかったら、後で一緒に屋台を回らない?」
 とか言って、言い寄ってくる男性客が結構な数いたもんですから、父親としてこれはガードしておかねば……と、思っていたらですね、コンビニおもてなし本店の地下で、いつもは倉庫内を冷蔵してくれている冷製魔獣のシオンガンタとユキメノームが、すごい勢いで転移ドアをくぐって屋台まで直行してきまして、そういった輩をことごとく追い払ってくれたもんですから、なんかありがたかったんですよね。

 最近、どんどん大人になっている龍人でサラマンだーのパラナミオは、お腹の中にあるブレスを吐き出す気管が発達している最中のためか体が凄く火照るらしく、シオンガンタ達がいる地下倉庫で涼むのが最近お気に入りのようなんです。
 その時に、シオンガンタ達ともすごく仲良くなったみたいでして……その結果ってことなんでしょう。

 亜人の子どもの成長は早いってスアからも聞いていましたけど……パラナミオも短期間ですごく大人っぽくなったんですよねぇ……こうしていつかは、誰かのお嫁さんに


 ……うん、それは考えないことにしたいと思います


 僕が内心で固く決心していると、その後方でシオンガンタとユキメノームも大きく頷いてくれていました。

◇◇

 そんな中、ララコンベにありますコンビニおもてなし4号店にもちょっとした変化がありました。

 オザリーナ村にあります6号店同様に、過去最高益を売り上げたコンビニおもてなし4号店なのですが、その店員が1名増えました。


 さぁ、いらっしゃい~♪

  あなたの街のホットな~♪

    あなたのコンビニ~♪

 重低音ボイスでアカペラ歌唱しながら接客作業しているのは……誰あろう、ブロンディさんです。

 王都でもイケメン吟遊詩人として超人気なブロンディさん。
 たまたまララコンベの温泉に入りに来ていたそうなのですが、そこで4号店店長のクローコさんに一目惚れしてですね……なんと、そのままコンビニおもてなしに就職すると言い出したんですよ……

 ちょうど、4号店の人手が足りませんでしたので、簡単な実地研修だけでバイト扱いとしてお店に出てもらっているのですが……いやはや、これがなかなかすごいんです。
 簡単にしか研修していないにもかかわらず、

 挨拶はきっちり
 接客もばっちり
 レジも文句なし

 と、まさに完璧超人とでも言うべき状態なんです。
 ララデンテさんが
「ツメバより役に立つはねぇか」
 って言ったもんですから、ツメバが大慌てしながら気合いを入れ直していた程です、はい。

 まぁ、お祭効果が一段落しましたらコンビニおもてなしの新人研修係の魔王ビナスさんの元で新人研修を受けてもらうことになっているので、その際には一時4号店を離れることになるわけですが、

「ねぇ、クローコ店長~♪ それまでの間に、一度食事でも~♪」
「却下だし! そういうのはもっとお互いを知ってからだし!」
 とまぁ……それまでの間は、接客の合間にそんなやり取りが4号店の中で繰り広げられることになりそうです。

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