第1話 【大脱出 其の1】
せかへい 外伝
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第1話
【大脱出 其の1】
サージュ村。小さな田舎だが、人々は支え合い生活をしている穏やかな村。
そんな村で息を切らせて、物陰に隠れている男がいた。
「おい、パト……何やってるんだ」
門番の仕事を終えたエスは、物陰に隠れているパトの姿を発見した。汗を流し、息が荒い。何かあったのだろうか。
「エス…………か……」
パトは自分の家の方向を一瞬見るがスガに目を逸らす。
「お前の家に誰かいるのか?」
「いや、……まぁ、…………」
なんだか、ソワソワして何かを隠している感じのパト。
エスはチラリとパトの家の方を見る。
すると、彼の部屋の窓からピンク色の帽子が見えた。あの特徴的な服装は……。
事態を察したエスはパトの方を向くと、
「……あれか、村長さんに怒られたのか」
とパトに話しかける。パトの部屋にいるのは村長ではないことは分かっている。
しかし、部屋にいる人物については知らないことにした方が、パト達のためだろう。
「そ、そうなんだよ! それで逃げてきたんだ……」
パトはそう言いながら家の方を見る。すると、パトの部屋にいた人物が動いた。
それを見たパトは焦り出す。
「……ま、まずい!!」
焦るパトを見て、エスはため息を吐くと、
「……俺も仕事終わったし、森にでも逃げるか?」
パトとエスは二人で村から出て森に行くことになった。しばらく時間を潰してから家に戻る。
「俺たちだけで村を出て大丈夫か?」
「もう俺たちは大人だぜ。昔みたいにモンスターは討伐できる。それに俺は門番だしな」
自信満々なエスは戦闘を歩く。しばらく進んでいると、エスは足を止めた。
「パト……止まれ」
「何がいるのか?」
「ああ、そこの木の影……」
エスは目線でパトに知らせる。
パトとエスは槍を取り出す。そして木の影の方を警戒する。
木の影に隠れている何かは、ゆっくりと姿を現した。
それは羽の生えたカエル。だが、普通のサイズのカエルではない。人間の腰くらいあるサイズのカエルだ。
「……こいつはデーモントード」
「どんなモンスターなんだ?」
パトが聞くとエスが答える。
「こいつはカエルを媒体としたモンスターで、家畜や子供を長い舌で丸呑みにする。さらには体液には毒性があり、皮膚に触れるだけで毒の体液が飛び散る」
「なんでそんな強いモンスターがここに……!」
「オルガさんの影響だろう。……パト、やれるか?」
エスはパトの顔を見る。
「ああ、いくぞ!」