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130章 おもてなし2

 フライパンの上に、「セカンド牛+++++」を乗せる。こうしておくだけで、最高級の肉を焼きあげることができる。

「調理しなくても大丈夫なんですか?」

「うん、肉は自動で焼き上がるんだ」

「アカネさんの家は、設備がすごいですね」

「そうかな・・・・・・」

 自動ガスが当たり前だと思っていたので、すごいという実感はなかった。

「ガスだけでなく、全てのものが違います。一日でいいので、このような家で生活してみたいです」

 充分な所持金を持っていないため、自分の建てた家で生活する。家のランクとしては、かなり落ちると思われる。

 ココアはある方向を指さしていた。

「お風呂もあるんですか?」

「うん、とっておきのお風呂があるよ」

 入浴者の体温、代謝、体調などを総合して、もっともよいと思われる温度を計算する。最高のお湯に入ることで、リラックス効果も期待できる。

「家でお風呂に入れるのは、とっても羨ましいです」

「ココアさんの家には、お風呂はないの?」

「私の家にはありません」

「身体はどうしていたの?」

「水で濡らしたタオルで、簡単に拭いていました」

 高齢者施設、病院の介護で行われる手法で、お風呂に入れない人に行われる。入浴よりは劣るものの、身体をきれいにすることができる。

「タオルで拭いても、気分は上がりません」

 応急処置で、心を癒すのは難しい。大きな湯船に浸かってこそ、リラックス効果を得ることができる。

「ご飯を食べたあとに、お風呂に入ってもいいですか?」

「うん。いいよ」

「ありがとうございます。家のお風呂に入るのは、人生で初めてです」

 お風呂に入れなかったことが、彼女の生活の貧しさを物語っている。どんなに貧しくとも、お風呂には入っていると思っていた。

「お風呂を借りるお礼として、洗わせていたただきます」

「自動洗浄されるから、洗う必要はないよ」

 スイッチを一つ押すだけで、お風呂が自動で洗浄されていく。アカネの手を煩わせることはない 

「生活の次元が違いますね・・・・・・」

「そうかもしれないね・・・・・・」

「私もお金を得られるようになったら、生活レベルを上げていきたいです」

 付与金があるため、生活レベルは向上していくと思われる。これまで苦しい生活を送っていた人たちが、幸せと思える生活を送れるようになるといいな。

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