コンビニおもてなし、年内最後の営業日
マキモ達10人姉妹が新たに加わったコンビニおもてなしは、早速いい感じになっています。
特に、正社員が店長のチュパチャップと、働き始めてまだ数ヶ月だったアレーナさんしかいなくなっていた、オザリーナ村にあるコンビニおもてなし6号店への影響は大だった次第です。
何しろ2人以外は、スアが運営していますおもてなし人材派遣会社のチュ木人形だけで補っていたわけですからね。
このチュ木人形は、単純作業はこなせるのですが、話すことが出来ない上に複雑な作業をこなせないんです。
量産タイプゆえの不都合といいますか……
とはいえ、そういう単純作業の人手を必要としている商会や商店も数多いものですから、そういった現場ではみんな大活躍している次第なんですよ。
で、そんな6号店には、マキモと長女のユウモさんに加えて妹さんをあと2人の合計4人を配属したのですが……
「店長さん! マキモさん達ってばホントにすごいです! もういきなり戦力として活躍してくれているんです」
店長のチュパチャップが、満面の笑顔でそう報告してきてくれたほどなんです、はい。
それを受けまして、僕も早速みんなの働きぶりを視察に行ったのですが……
「うわぁ!? ま、また何もないところで転んでしまいましたぁ」
「はわわわわぅ!? わ、私のスカートはユウモ姉さんしか下げちゃ駄目ですぅ!?」
「ちょっとマキモさん、そういうスキンシップはしたことないと思いますけどぉ!?」
……僕の目の前では……
転んだアレーナさん
その弾みでスカートをズリ下ろされたマキモ
その声を聞いて真っ赤になっているユウモ
と、まぁ……そんな光景が展開されていたわけでして……
「ちょ!? て、店長さんが視察にこられた時になにやってるんですかぁ」
チュパチャップが慌ててみんなに駆け寄っていったのですが、
「アレーナさん、私以外の人のスカートを下げてはだめですってば」
混乱しまくっているためか、そんなことを口走っているチュパチャップ……
その言葉を前にして、すっころんだままのアレーナが
「へ!?」
と、いいながら目を丸くし、そんなアレーナの顔を見て、
「へぁ!? わた、わた、わたしってば何を言っているのでしょう!?」
真っ赤になって顔を押さえていくチュパチャップだったわけでして……
ま、まぁ、そんなことがありながらもですね、全員しっかり仕事が頑張ってくれていた次第です、はい。
◇◇
そんな感じで、一気に10人が加わったことで、コンビニおもてなしの人手不足も一段落した感じです。
ただ、以前には新人さんの一斉退社なんて想定外の出来事もあっただけに、今後も求人は続けていく予定にしている次第です。
……まぁ、その、なんと言いますか……ウルムナギ又の5人娘が一人前になってくれるのが一番なんですけど……これにはまだまだ時間がかかりそうといいますか……
◇◇
コンビニおもてなしは、週末の休日とこの世界の祝日は基本的にお休みです。
明日の年内最後の日が祝日のため、コンビニおもてなしの年内の営業は今日が最後ということになります。
そのため、コンビニおもてなしの本支店並びに出張所にはすごい数の行列が出来ています。
この行列なんですが……
この世界のお正月にあたりますオネの月の1日の祝日にですね、家でみんなで食べるオードブル、いわゆるおせち料理を予約してくださっていた皆さんが、それを受け取りにこられた行列なんです。
このおせち料理はですね、去年も実施したところ
「へぇ、こういうのもいいね」
「家事をしなくてすむし、美味しいし、最高ね」
といった感じで、大好評だったのを受けまして、今年も実施している次第なんです。
すでに実績があったおかげもありまして、今年は予約段階で昨年の倍近い注文を受けていた次第です。
それを受けまして……
パルマ生誕祭の予約品をさばき終わった僕と魔王ビナスさんは
「じゃあ、今度はおせち料理を頑張りますか」
「えぇ、そうですわね」
と、気合いを入れ直して頑張った次第なんです。
ちなみに、このおせち料理のメニューですが
エビランの塩焼き
タテガミライオンとデラマウントボアとデラマンモスパンの3種のお肉のステーキ
ジャッケの塩焼き
クッカドゥウドルの卵を使った伊達巻き
といった感じでですね、今年一年、コンビニおもてなしで販売したお弁当を彩った食材達をふんだんに使用した物になっています。
それだけに、料理をしているとなんだか感慨深い気持ちになっていった次第なんですよ。
ちなみに、デザートといたしまして、ララコンベにあります4号店の店員をしてくれています、思念体のララデンテさんがお店でいつも製造販売しています温泉まんじゅうもついています。
いつもは、
『ララコンベ温泉』
の文字を焼き入れしてあるのですが、今回は
『謹賀新年』
と、あえて僕の世界の文字を焼き入れしてもらっている次第です。
この世界……といいますか、辺境都市ララコンベ一帯では神様として崇められてもいるララデンテさんが作ったお饅頭ですしね、なんか効果ありそうじゃないですか。
本店では、通常のレジとは別に予約品を手渡すテーブルを設けています。
パルマ生誕祭の際には、ここをチュ木人形達に担当してもらっていたのですが……マキモ姉妹を各店に配置出来た関係で、今回はそんなマキモの姉妹達が軒並み予約品渡し係を担当してくれていた次第です。
そのおかげで、予約品を取りにこられた方々の数もすごかったのですが、それをすごい勢いでさばいてもらえた次第だったんです。
本店で対応してくれたナガミはですね
「いやぁ、これぐらいナガミ様にお任せ……って言いたいとこだったんだけどさぁ……いやはや、すっごい人でしたねぇ、もう私、ヘトヘトだよ」
そう言いながら、疲れた様子の笑顔を浮かべていた次第です。
「いや、でも、初めてでここまで出来るなんてホントすごいよ。ありがとう」
僕は笑顔でナガミにお礼を言いました。
それを受けて、ナガミもですね
「へへ、私の本領はまだまだこれからだからさ、期待しててよ」
頼もしい言葉を返してくれた次第です、はい。
◇◇
そんな感じで、コンビニおもてなしでは、本店だけでなく支店ならびに出張所でもとどこおりなく予約品の品物を渡し終えることが出来た次第です。
で
本店も無事就業時間を迎えました。
早速僕達は窓にカーテンをおろし、店内を掃除していきます。
僕が元いた世界では24時間営業していたコンビニおもてなしですが、一部の店舗を除きまして、日が落ちてしばらくくらいしか営業していませんからね。
なのでこうして、毎日閉店後と、開店前に掃除をしている次第です。
もちろん、この掃除の時間も時給に反映させていますよ。
「年末だし、掃除もいつもより少し気合いを入れて頑張ろうか」
僕の言葉に、店内にみんなも笑顔で返事を返してくれました。
今は、ブリリアンの姿もあるのですが、彼女は元々魔王ビナスさんの産休育休にともなう補充要員でしたので、年明けからは本来の業務である店舗検討部門へ戻ることになっています。
それに入れ替わるようにして、いよいよヤルメキスも復帰します。
いろいろあったコンビニおもてなしですが、その営業はこうして終了していきました。
さぁ、来年も……って、数日後なんですけどね、とにかく頑張っていかないと、と、気持ちを新たにしていた僕でした。