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98章 ゴッドサマーがアリアリトウに戻る

 ゴッドサマーがやってきた。

「アカネ、今日の稼ぎは50万ゴールドじゃ」

 能力を持っているだけあって、稼ぎもよくなっている。ただ、ゴッドサマーの能力にしては安すぎるような気がする。彼の能力をもってすれば、100万ゴールドは稼げるのではなかろうか。

 ゴッドサマーのすごいところは、文句をいうことなく働くところ。仕事をしていれば、不満の一つや二つは必ず出てくる。

「48万ゴールドは、アリアリトウに送る食料代として使った」

 自分の手元に残るのは2万ゴールドか。食料代を差し引くと、「セカンドライフの街」の住民の所得とほとんど同じである。

「アリアリトウに大量の食料と水が届いたようじゃ。誰がやったのかのう」

「私だよ。1億ゴールドを使って、アリアリトウに食料を送っておいたよ。ちょっとくらいは足しになるんじゃないかな」

 スーパーを出たあと、果物店に足を運んだ。こちらではパイナップル、桃、メロン、リンゴ、バナナなどを購入し、1500万ゴールドを使用した。

 果物は腐敗しやすいので、量を減らしておけばよかったかな。日持ちのしない食材というのは、何かと不自由である。

 果物店の後は、米屋に足を運んだ。こちらでは、1000トンの米を購入し、5000万ゴールドを支払った。

 米は長期歴な保存がきく食べ物だ。アリアリトウの住民の保存食として、大活躍してくれそうな気がする。

 食べ物だけでなく、飲料水も届けることにした。こちらについては、ミネラルウォーターを販売している店で購入した。総額は500万ゴールドとなる。

 ゴッドサマーは大粒の涙を流していた。住民を本気で思っているのが、こちら側にも伝わってくる。

「アカネは優しい奴じゃのう」

「そうかな」

「大金を持っていたとしても、誰にも助けようとしない者ばかりじゃ」

「ゴッドサマーの頑張っているところを見たら、一人の人間として応援したくなったの」

 努力をしたからといって、報われるわけではない。そうだとしても、何かをやりぬこうとする姿勢は重要だ。途中で放棄してしまったら、人生はゲームセットとなる。

「アカネが生きているだけで、多くの人が救われる。おぬしは国の宝物じゃ」

 不老不死のスキルを持っているため、100年後、200年後も生きることになる。

「満足な食料を得たからか、帰還命令が出されることとなった。ちょっとだけ仕事をしたら、街に戻ろうと思う」

「ゴッドサマー、住民のために力を尽くしてね」

 ゴッドサマーは短く頷いたあと、

「アカネ、ありがとう」

 といった。感慨にふけっているのか、涙で声が滲んでいた。

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