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スア製太陽光発電パネル再び その2

 スア製の太陽光発電パネルを利用した魔力の製造

 人工魔石の精製

 その人工魔石に太陽光発電パネルで製造した魔力をためる

 その人工魔石を使ってコンビニおもてなし各支店で使用している魔力をまかなう。

 これらの作業に無事成功したスアは、僕と打ち合わせていたように、次の作業に着手しました。

◇◇

 しばらく後……

 スアと僕は、コンビニおもてなし3号店があります魔法使い集落にいました。

 コンビニおもてなし3号店の裏手に顔を出した僕達の前には、魔法使い集落に住んでおられる魔法使いの皆さんの姿がありました。

「スア様、それに店長さん……私達にお願いがあるとのことですが……」
 この魔法使い集落の長的な役目をこなしてくれているエルフの魔法使いのヘリオミが、いつものように生真面目な様子で、スアと僕の前でピシッと気をつけしています。
「そうなんだ、折り入っておねがいしたいことがあってね」
 僕は、そんなヘリオミや、その後方に集まってくれている魔法使いのみんなに向かって話を始めました。

「実は、スアが作成した太陽光発電パネルが発電する魔力をためるための人工魔石の精製を手伝ってほしいんだ」
「人工魔石を、ですか……」
 僕の言葉を聞いた魔法使い達は一斉にその顔に嫌そうな表情をうかべました。

 それはそうですよね……
 人工魔石はただで儲けが少ない上に、それに魔石を補充するとなると、さらに大変になるわけです。

 魔法使いが、魔石に魔力を補充しようとした場合、自分の体内にある魔力を注ぎ込むしかないわけです。
 そこで、大量に魔力を吐き出してしまうと、その結果魔力枯渇に陥ってしまい、早くて数日、下手をしたら数年単位で立ち上がれなくなりかねないんです。

 そりゃ、嫌そうな顔をしてしまいますよね、普通……

「あ、聞いてほしいんだけど……人工魔石の原材料として必要になる骨人間はすべてこちらから提供させてもらいます。また、魔力の補充作業もこちらで請負いますので、皆さんは純粋に人工魔石を精製するだけでいいんです。
あ、その魔石をお店なんかに取り付けに行く際に、作業を手伝ってもらえましたら別途報酬を支給させていただきますので……」
 僕がそう捕捉説明をすると、魔法使い達は一斉に話合いを始めました。

 ざわざわと、仲間達と言葉を交わしている魔法使いの皆さん……場所によってはかなり白熱した話合いを繰り広げています。

 そして、数分後……

 みんなの意見をまとめてきたヘリオミが
「最初はお試しで、ということでさせてもらえるのであれば……」
 そう、言ってくれました。

 で、スアと僕は一度顔を見合わせて、頷き合った後
「ではそれでよろしくお願いします」
 そう返答させてもらいました。

 こうして、魔法使い集落で人工魔石の精製が行われることになりました。

◇◇

 コンビニおもてなし3号店がある建物は、以前僕が暗黒大魔導士を退治した恩賞として王都から賜った物です。
 元々貴族が所有していただけあって、かなり広いんです。

 で、その広大な建物内部を使用して、

 1階には、図書館並の広さを誇っている書籍コーナーを持っているコンビニおもてなし3号店を
 2階には、魔法使い戦隊キュアキュア5ランドと、テトテ集落の皆さんが作成した衣類の販売コーナーを

 それぞれ展開しています。

 そんな中、いまだに手つかずだったのが地下階層でした。
 とりあえず、その広大な地下の一部を倉庫がわりに使用していた程度だったのですが、今回、魔法使い集落の皆さんが人工魔石の精製作業を引き受けてくださったことで、この地下階層を作業場として提供することにしました。

 大部屋4つに区分けされている地下階層ですが、そのうちの3つを作業に使用してもらうことにしています。
 で、出来上がった人工魔石を、残りの一部屋に集める事にしています。

 で、コンビニおもてなし3号店の屋上にスア製太陽光発電パネルを設置しまして、製造された魔力を、地下の残りひとつの部屋にコードで送り込めるようにしてありまして、そこで魔法使いの皆さんが精製した人工魔石に魔力を充填することにしています。

 この、人工魔石に魔力を充填する作業は、扱う魔力量が大きいものの、作業そのものは単純作業です。

 そのため、スアが別途精製してるチュ木人形達をここに配属しまして、作業をしてもらうことにしています。

 材料になる骨人間達は、スアがパラナミオがこの建物の地下を1日1回訪れて、一緒に召喚することにしています。
 スアは、お茶の子さいさいでこなしていくのですが、パラナミオは
「今日は昨日よりも頑張ります!」
 そう、気合いを入れて毎日頑張っている状態でして、その頑張って召喚している様子が、魔法使いの皆さんにもいい刺激になっているそうです。

「パラナミオちゃんがあんなに頑張っているんですもの」
「私達も、負けるわけにはいきませんわ!」

 そんな感じで、スアとパラナミオが召喚した骨人間を使って、それを気合い満々な様子で人工魔石に仕上げてくれているんです。

 そんなわけで、人工魔石の精製が軌道にのったわけです。

◇◇

 人工魔石の精製が軌道にのったので、今度はそれをコンビニおもてなしとして販売しないといけません。

 コンビニおもてなしの各支店を、オール電化ならぬオール人工魔石化したのはあくまでもお試しだったわけで、そのためだけに人工魔石を精製しているわけではありませんからね。

 僕は早速
『あなたのお店やご自宅をオール人工魔石化してみませんか?』
 といったチラシを作成しました。

 これは、スアに実際に試算してもらったのですが……

 コンビニおもてなしの中で、一番魔石を使用していたコンビニおもてなし5号店西店……ここは、あれです、コンビニおもてなし5号店西店の階層と、マクローコが経営している美容室の階層を、時間帯によって魔石の力で入れ替えているもんですから、他の店に比べて魔石の使用量がずば抜けて高かったんです。

 ですが

 それをこの人工魔石化したところ、今までのように、小型の魔石だけで対応していた頃と比べて、およそ三分の一の経費で全てをまかなう事が出来るようになったそうなんです。
 しかも、すべてをこの人工魔石で一括管理することによって、魔石が切れるごとに、個々に交換しなければならなかった疎ましい作業からも解放されるわけです。

 チラシには、そういったことを宣伝文句として書いておきました。

 で、後はこのチラシをコンビニおもてなし各本支店並びに出張所に加えて、コンビニおもてなしの店舗がある辺境都市の商店街組合にも置いてもらった次第です。

 ちなみに、この店舗のオール人工魔石化に、コンビニおもてなし以外の店舗で最初に申し込みをしてくれたのはドンタコスゥコ商会でした。
「タクラ店長にも、スア様にも、ファラさんにも、いつも大変お世話になっていますしねぇ。それに、お店の必要経費が安く抑えられるのでしたらウチとしましても願ったりかなったりですからねぇ」
 ドンタコスゥコは、笑顔でそう言ってくれました。

 で、

 それを受けまして、早速スアが、魔法使い集落の皆さんが精製してくれた人工魔石を魔法袋に入れて作業に出向いてくれました。

 この作業には魔法使い集落のヘリオミをはじめ、集落の中でも特に魔力の強い魔法使いの皆さんが同行していました。
 これは、スアの作業を実際に見て勉強して、いずれは魔法使い集落の皆さんだけで、このオール人工魔石化作業を出来るようになってもらおうとの狙いもあるわけです。

 人工魔石は、基本的に店舗の地下に設置します。
 で、設置したマセキから店内の魔石で稼働している器具すべてに魔法の線を延ばし、人工魔石と接続していきます。

 人工魔石の魔力が減少した場合、当然再度補充する必要があるのですが、これは自動で行えます。

 店舗に設置した人工魔石と、コンビニおもてなし3号店の地下にある人工魔石精製場所とを魔法のケーブルでつないでいますので、コンビニおもてなし3号店の屋上に設置してあるスア製太陽光発電パネルが発電した魔力を直接店舗の魔石へ送り込んで充電していく仕組みになっているんです。

 で

 これを早速導入してくれたドンタコスゥコによりますと、
「いやぁ、確かに! チラシにありましたように経費をすっごく削減出来た上に、毎日行っていた魔石の確認作業をしなくてすむようになったのも大きいですねぇ」
 と、感動しきりの声を頂いた次第です。

 これを受けて、ドンタコスゥコが
「いや、コンビニおもてなしさんが最近始めたオール人工魔石化ですけどねぇ、あれはアリですねぇ」
 と、知り合いの商会さんに目一杯紹介してくれた結果、
 
「ウチの店舗にも導入したいんだけど」
「一度話を聞かせてもらえないかな」
 といった声がかなりの数寄せられているんです。

 まだまだ手探りで始まったばかりのこの事業ですし、正直スアにおんぶにだっこなところがかなり大きいのですが、魔法使い集落の皆さんが慣れてくれば、そんなスアの負担も少しずつ軽減されるんじゃないかな、と思っている次第です。

 ……ただ、僕としましては……

 スアに連れられたパラナミオが、3号店の地下で
「ふぬぬぅ!」
 と、気合いを入れながら頑張って骨人間を召喚している姿を見れることが嬉しかったりするんですけどね。

 まぁ、これも親馬鹿といいますか、子供の頑張っている姿を見れるのって、やっぱ嬉しいんですよ。

 そんな感じで、コンビニおもてなしによります新たな事業『オール人工魔石化』が無事始動した次第です、はい。

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