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狩猟部門の増員要望 その1

 コンビニおもてなしの業務の中で、普段はあまり表だって目立っていないのですが、

 コンビニおもてなしの仕入れ的にも欠かすことが出来ず、
 周辺の辺境都市の方々や、商会の方々の役にもたっている。
 そんな業務があるんです。

 それが、コンビニおもてなし狩猟部門です。

 現在のメンバーは、本店店員扱いのイエロとセーテン、これに5号店店員扱いのグリアーナ、テトテ集落のコンビニおもてなし出張所を担当してくれているミミィ。
 この4人に加えまして、ルアの旦那さんのオデン6世さんの、総勢5名がこの部門を担ってくれています。

 この部門の主な仕事は、コンビニおもてなしがお店を出店している辺境都市などの近くに出没する魔獣を、コンビニおもてなしの食材として狩猟してくることなんです。

 幸いなことに、辺境都市ガタコンベからブラコンベにかけての一帯には、このパルマ世界の中でも非常に稀少で非常に味の良いお肉……僕の世界でいいますところのA5和牛相当といっても過言ではないお肉を有しているタテガミライオンが数多く棲息しています。

 狩猟部門の面々は、このタテガミライオンを中心にあれこれ魔獣を狩猟してくれている次第です。

 このタテガミライオン、確かに食材として超一流なのですが、魔獣としての危険度も特A級なんですよね。
 そのため、普通の冒険者や、ゴルア達辺境駐屯地の面々でもなかなか仕留めるのに苦労するんです。
 そのため、昔のブラコンベからガタコンベの一帯は、凶暴な魔獣であるタテガミライオンの生息域のため、荷馬車隊の交流があまりおこなわれていませんでした。

 それが、コンビニおもてなしが開店し、その仕入としてイエロとセーテン、そして当時がルアも加わった3人が、コンビニおもてなしのお弁当に使用する食材としてタテガミライオンを狩りまくってくれはじめたおかげで、あっという間に、街道周辺からタテガミライオンが姿を消したんです。

 何しろこの3人ってば、タテガミライオンをいとも簡単に狩りまくった次第なんですよね。
 まぁ、この3人がそれだけすごかったってことなんですけどね。

 そのおかげで、街道の往来が盛んになっていったんですよね。
 まぁ、今は定期魔道船が空を行き交っていますので、さらに安全になっているわけですが。

 その流れでですね、以前、イエロとセーテンがナカンコンベ周辺にまで出張していってですね、ここでデラマウントボアを借りまくったこともありました。

 このデラマウントボアはですね、1頭でちょっとした小山くらいあるでっかい魔獣でして、しかも凶暴なんです。
 そのため、こいつらが繁殖したせいで、ナカンコンベ周辺の治安が悪化していたのですが、ここにイエロとセーテンが出張しまして、このデラマウントボアまですごい数、狩猟してくれたもんですから、この一帯もすっかり安全を取り戻した次第なんです。

 ちなみに……

 イエロ達がデラマウントボアを狩猟しますと、料理にも使用出来ない部位であるその頭部を燻製風に加工してですね、コンビニおもてなし5号店東店の屋上に飾っていたのですが……今ではその数が50を越えていまして……最初の頃は
「あ、また頭が1つ増えた」
 とか言って、お客さん達も楽しそうに見てくれていたのですが、最近は数が増え過ぎたために、その威圧感がとんでもなくなってきていますので、そろそろ辞めようかな、と、考えている次第です、はい。

 と、まぁ、そんなわけで……

 ブラコンベーガタコンベの一帯と、ナカンコンベ周辺で、すごい実績を積み重ねているもんですから、最近はコンビニおもてなし本店の僕のところに
「あの、**に凶暴な魔獣が出現していますので、討伐をお願い出来ないでしょうか?」
「**地区にたむろっている凶悪魔獣を駆逐してほしいですです」
 そんな感じで、各地の冒険者組合や商店街組合から直々に依頼がくることも少なくなくなってきた次第なんです。

 で、僕は、その依頼をイエロ達にわたしまして、
「すまないけど、この辺りの魔獣の駆逐を優先してあげてくれるかな?」
 そう伝えます。

 で、それをうけたイエロ達が
「承ったでござる!」
 そう言って、早速討伐計画を立ててくれる次第です。

 依頼をイエロ達に渡すと、遅くても3日後にはそこに出向いて、討伐依頼のあった魔獣達を綺麗に根絶やしにしてくれるんです。

 しかも、ありがたいことに、駆逐依頼のあった魔獣って、だいたいそのお肉が絶品なんですよね。
 タテガミライオンとまではなかなかいきませんけど、少なくともタテガミライオンより1段劣っているだけ的な、十分美味しいお肉がたくさん収穫出来ている次第なんです。

 そのおかげで、コンビニおもてなしのお弁当もバリエーションを増やすことにも成功しておりまして、ホントに助かっているんです。

◇◇

 ちなみに、このメンバーの中では、グリアーナが技量的にかなり劣っているようなんです。

 まだ発展途上ということもありまして、イエロとセーテンがびっしびししごいてくれているそうでして、
「うむ、筋はいいでござるゆえ、すぐに一人前になるでござるよ」
 イエロも、そう言って嬉しそうにしていた次第です。

 ちなみに……

 依頼が多くなりまして、イエロ達が出向かないといけない地区がどんどん多く、かつ広くなっている次第です。

 そこで、イエロ達とも相談しまして冒険者の募集をすることにしました。

 これは、他の辺境都市などでもあるそうなのですが……

 食堂や商会が冒険者と専属契約を結びまして、その冒険者達にお店で使用するお肉の元になる魔獣を狩ってきてもらう仕組みがあるそうなのですが、
「そろそろ、そういう契約を冒険者達と結んでですな、狩猟部門の人員を増やしてほしいでござる。さすがに5人ではローテーションがそろそろきついでござるよ」
 そうイエロにお願いされたので、それに答えた次第です。

 これを受けまして、僕は早速求人募集のチラシを作りまして、コンビニおもてなし各本支店ならびに出張所と、各都市にある冒険者組合と商店街組合に掲示してもらいました。

 コンビニおもてなしの一般の店員募集を冒険者組合に依頼しようとしますと、
『店員募集はちょっとねぇ……』
 と、言って、チラシを貼らせてくれない冒険者組合なのですが、今回の求人が狩猟部門の店員募集だったもんですから
「そういう求人なら、むしろ喜んで掲示させてもらいますわ!」
 どこの都市の冒険者組合も、そんな感じで二つ返事でチラシの掲示に同意してくれたんですよね。

 冒険者組合には、各都市を訪れた冒険者達が情報収集のために、ほぼ確実に立ち寄りますからね。
 そこに掲示してもらえた訳ですから、僕もすごく期待していたのですが……

 はい、やはりその効果は絶大でした。

 チラシを掲示してもらった辺境四都市の冒険者組合から、わずか3日で合計10名の専属契約希望者が斡旋されてきました。

 その全員に、とりあえずコンビニおもてなし本店に集合してもらいました。
 
 その10名を前にした僕ですが……
 そうですね、みんなとてもいい体格をしています。
 中には、女性もいるのですが、そういう方に限ってすごくしなやかな痩せマッチョだったりと、皆さんなかなかな感じ……に、見えるのですが……

 残念ながら、僕には、そういった人々が本当に冒険者として優れているのかどうかを見極めるスキルとか技量はまったくありません。
 と、いうわけで……
「イエロ、みんなの契約テストをお願いしてもいいかい?」
 そう、イエロに試験管的な役割をお願いしてみたところ、
「うむ、任せるでござるよ!」
 そう言って、胸をドンと叩いてくれました。

 こうして、コンビニおもてなしで、狩猟部門担当者の専属契約をかけたテストが実施されることになりました。

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