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第6話 可愛い王様の嫉妬と怒り!(15)

 何度も何度も謝罪と嘆願、命乞いを繰り返すのだ。

「(私がでしゃばり過ぎました。閣下……。太后殿下様……。何卒……。何卒、私目を憐れな者。物だと慈悲深くお許しください。お願いします。女神さま……)」と。

 漆黒の衣を身に纏う間者の長は、更にジャポネ、二国の仮ではない本物の太后殿下へと謝罪と命乞いを付け加えながら。己の脳内からお願い。嘆願を繰り返すのだ。

 でっ、そんな彼女の怯える様、様子は傍から誰が凝視しても目に余るぐらいわかる。理解ができるから。

「シルフィー」と、二国の美少年王は、己の妃へと声をかける。こんな言葉も付け加えながら。

「僕に何か? 何か用事があった。あったのではないの? シルフィー」とね。

 それもさ? シルフィーの王子さまは、少しばかり不機嫌極まり顔、様子で彼女、己の妃さまへと声をかける。かけるのだよ。

 だって? 二国の美少年王健太。シルフィーの御主人さまは、間者の長から。自身の妃、妻であるアイカが、元彼、婚約者と優艶に戯れているから。このまま、放置すれば大変なことになる可能性が大だと聞かされて。二人の処置をどうするか? と、思案の最中だった。……だけではない。

 二国の男王である自分へと忠実な僕、下僕であり。肉人形、性玩具(おもちゃ)である彼女を脳内から傷つけていることが。健太にはわかる。わかっているから。シルフィーに対して、己の嫉妬心から性玩具(おもちゃ)を苛めるなと、彼は無言で不満を漏らしている。……ではない。己の妻に「(直ちにやめろ!)」、「(やめるように!)」と、命令。下知をくだしているのだ。

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