人の確保は大変なわけで その1
昨日の話合いで、オトの街のラテスさんとヨーコさんがクリスマスケーキならぬパルマ生誕祭ケーキの作成の手伝いをしてくれることが正式に決定しました。
あわせて、この2人がオトの街で販売しているロールケーキも、コンビニおもてなしの新商品として販売することになった次第です。
ちなみに、このロールケーキのブランド名をどうしようって話になったのですが、
「ラテスとヨーコさんが作っているんだからラテスーコでいいじゃない!」
テマリコッタちゃんがそんな意見を出してくれたものの……ちょ、ちょっとしっくりこないかな……といった具合でですね、あれこれ思案を重ね続けた結果、そのブランド名は、
『テマリコッタ』
に決定しました。
いえね、コンビニおもてなしで販売していますビールにはスアの名前が、サイダーの名前にはパラナミオの名前が、そしてスイーツにはヤルメキスの名前が、それぞれ入っていますしね……えっと、お酒には僕の名前が……って言いたいんですけど、リョウイチじゃなくてタクラって名前が採用されちゃっていますので、家族みんなってことになっちゃってますしねぇ。
まぁ、それはさておき、
「ならもう、「テマリコッタ」でいいんじゃないかな?」
僕がそう提案したところ、
「いい! すごくいいと思う!」
と、ラテスさん。
「私も賛成します!」
と、ヨーコさん。
2人の賛同を得てからテマリコッタちゃんにも確認してみたところ。
「す、すごく恥ずかしいけど……でも、ヨーコさんとラテスがそれでいいって言ってくれたんだし、いいわ、それで」
すごく恥ずかしそうにしながらも、最後には了承してくれたテマリコッタちゃんでした。
そんなわけで、近日中に、テマリコッタブランドのロールケーキがオトの街から届くはずです。
それに合わせて、ポスターでも作成しておこうかな……
昨日、3人の記念写真をデジカメで撮ってあるし、それを加工すればパソコンで簡単にできるはずです。
太陽光発電が生きているおかげでこうやってパソコン作業が出来るのってホント助かります。
試作が出来たら、それを持って許可をもらいにオトの街に行くことにするか。
そんなことをあれこれ考えていた僕でした。
◇◇
パルマ生誕祭ケーキの助っ人を、各店からも出してもらおうと思ってですね、希望を募る紙を配っているのですが、その紙はまだ正式には戻って来ていません。
ですが、すでに何人かは内々に参加可能の話を聞いています。
4号店からクマンコさんとチュンチュ
クマンコさんは子だくさんのシングルマザーですので料理がすごく上手なんですよね。
熊人ゆえか、少々豪快な料理が多い気がしないでもないんですけど……
子供さんのお弁当に、でっかいおにぎりの中におかずをドンドンドン!と詰め込んだ巨大海賊おにぎりとか作っていましたし……うん、あれはちょっとすごかったです……
チュンチュは、ツメバの奥さんで4号店のバイトです。
このチュンチュもとっても料理上手なんです。
クマンコさんとは逆に、すごく細かい料理を作ってる事が多い気がしないでもないんですけど……
お弁当のおかずすべてにツメバのイラストが描かれていたことがありましたし……えぇ、煮豆1つ1つにまで……あれはあれでなんかすごかったですね……
6号店からは店長のチュパチャップ。
チュパチャップは平社員時代からなんでもそつなくこなしてくれていましたし、いつも一生懸命がんばってくれていますのですごく頼りにしているんです。
ですが、チュパチャップは店長でもありますので、その点を考慮して従事時間は少し短めにしてあげないと、なんてことも考えています。
今のところ、内々の打診を受けているのはこの3人です。
どの店も忙しい日々ですので、今後はテトテ集落やティーケー海岸のアルリズドグ商会の皆さんにもちょっと声をしてみようかな、と、思ったりしている次第です。
◇◇
こうしてパルマ生誕祭に向けた準備をしているのですが……コンビニおもてなしでは少し問題も起きています。
少し前に雇用した新人さんが何人か辞めてしまったんですよね。
思っていた以上に忙しかったり、接客がうまく出来なくてストレスだったり……
せっかく研修も終えて正式に採用させてもらっただけに、
「勤務時間を短くしたり勤務日を減らしたり配慮するからさ、もう少し頑張ってみない?」
その店員さんが所属している店の店長と一緒に、個別に面談して慰留させてもらったですけど……ちょっと残念な結果になってしまった次第です。
特に、チュパチャップが店長を務めているコンビニおもてなし6号店に配属していた新人3人のうち2人が辞めてしまいましたので、ここはちょっと早急にどうにかしないといけないな、と思案している次第です。
ただ、そんな状態の中、
「おまかせください、このアレーナが他の人の分まで頑張ります!」
気合い満々の表情でそう言ってくれたのですが、次の瞬間には
「ひゃあ、すっころんでしまいましたぁ」
「きゃあ!? だからなんでわざわざタクラ店長さんの後ろにいる私のところまでやってきて、スカートをズリ下ろしながら転ぶんですかぁ!?」
……と、まぁ……コンビニおもてなし6号店において、チュパチャップをラッキースケベ要員化し続けているアレーナさん……
気のせいか、チュパチャップも悲鳴をあげながらも、どこか喜んでいるような
「喜んでません! ぜんっぜん喜んでませんからぁ!」
……そう本人は強く否定していますので、まぁ、そういうことにしておきます、はい。
◇◇
6号店の2人を含めて、今回コンビニおもてなしを辞めた新人さんはぜんぶで5名。
多少多めに雇用していたおかげで、すぐに悪影響は出ていませんが、どちらにしましても早めに対処しないといけません。
雇用するにしましても、魔王ビナスさんによります新人研修を受けてもらわないといけませんからね。
……っていうか……
「魔王ビナスさん、ウルムナギ5人娘はまだ研修が終わらないんですか?」
僕の言葉に、魔王ビナスさんも
「……そうなんですよねぇ……どうしてあの5人ってば、あんなに物覚えが悪いのでしょう……」
そう言って困惑の表情を浮かべまくっていた次第なんです。
そうなんです……
晴れて人型になることが出来たウルムナギ5人娘なんですけど、5人とも先輩にあたるルービアス同様にコンビニおもてなしで働く事を希望してくれているんですよね。
なので、さっそく魔王ビナスさんの研修を受けてもらって、実地訓練を経て各支店で勤務してもらおうと思っているのですが……
普通の研修期間の3倍以上の時間がかかっているのに、まだ魔王ビナスさんの許可が出ない状態でして……
で、5人にも話を聞いてみたのですが
「なんといいますか」
「私達ウルムナギ5人娘は」
「5人で1つの仕事」
「に」
「当たらないと本領を発揮出来ないといいますか……」
そんなことを言いながら、申し訳なさそうにしていた次第なんです。
それを受けて、5人1組にして本店で実地訓練をうけてもらったところ……その言葉通り見事に仕事をこなしてくれたんです。
レジ作業
袋詰め
商品補充
どれをとっても問題点が見当たりません。
……ですが
何をするにしても5人一緒に動くもんですから
通路は塞ぐし
レジでは自分達がつっかえるし
補充中の棚を倒しそうになるし
と、まぁ……
「うん……5人1組はちょっと困るかな……」
僕もそう言いながら苦笑することしか出来ませんでした。
そんなわけで、ウルムナギ5人娘の研修は、本人達にもやる気がありますので継続して行う事にして、僕は新たな店員募集のチラシを作成して各地の商店街組合に配布することにしました。
年末までに、いい人が来てくれるといいんですけどねぇ……