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128 サーヤが寝ると何かが起こる

精霊樹の精様と泉の住人ご一行様、それから色々探索に出ていたおいちゃんとちびっこ同盟が帰ってきました。

『ただいま~』
〖おかえりなさい〗
『サーヤは~?』
〖まだお昼寝よ~〗
と、どちらも同じやり取りをした所で、サーヤを迎えに行こう!となりました。みんなでゾロゾロ移動してみると、寝室では…

〖フゥ、クゥどうしたのぐったりして〗
フゥとクゥがサーヤのベッドの両側で不自然な姿勢でぐったりしていた。

『助けてください』
『ず~っとこの姿勢で腰が…』
二人はベッドに手を着いて倒れないように不自然な姿勢でプルプルしていた。
〖はい?〗
なぜ、サーヤが寝るだけで何かが起こるのか?

『あ~さてはサーヤにやられたな?』
おいちゃんが納得したように言います。

『なぁに~?どういうことぉ?』
精霊樹の精様は訳がわからないと首をひねっている。

大人たちの会話などそっちのけで、ちょこちょことベッドに近づくちびっ子たち。低い目線から見上げれば
ぴゅい『あ~!』
きゅい『ここ~!』
『ほんとだ~掴まれてるよ~』
双子とハクがここ!と教えると、みんながしっかり捕まれたままの二人の服とサーヤの手を見た。

『まったく離してくれなくて』
『動けないんです』
こんな小っちゃなおててのどこにそんな力があるのか?フゥとクゥはもうへろへろだ。

『おやおや』
〖まったく、いつからその状態なの?〗
バートさんとジーニ様が可哀想なものを見る目で見てます。

『おばあちゃんみたいに、ぽんぽんしてって頼まれたんで』
『二人でぽんぽんしてたんです』
『割とすぐに寝付いたんですけど』
『その時にはもう掴まれてたみたいで…』
『サーヤを起こす訳にもいかないので』
『大声出して助けを呼ぶ訳にもいかなくて…』
はあ~とため息をついている。

それは、かれこれ二時間この状態なのでは…
〖それは…〗
『大変だったわねぇ~』
ジーニ様と精霊樹の精様の口の端がひくひくしてます。

二人はすがるような目で、
『二人でサーヤを潰さないように頑張ってたんですけど』
『もう限界です』
『『助けてください~』』うううっ
もう泣きそうである。いや、泣いてる?

『わははは キヨさんも時々やられてたなぁ』
おいちゃんが懐かしそうに言います。
『キヨさんて、おばあちゃんの名前かしらぁ?』
精霊樹の精様が気づいておいちゃんに聞くと
『そうだよ。あっ、あまり言わない方がいいのか?』
おいちゃんはそうだと答えるが、サーヤの記憶について思い出したのか、おばあちゃんの名を口にしない方がいいのかジーニ様に確認をする。
〖そうね。出来れば〗
申し訳なさそうにジーニ様が言う
『分かった気をつけるよ』
おいちゃんも、事情は分かってるからな。と、納得する。
〖ありがとう。悪いわね〗
おいちゃんにもキヨさんとの思い出があるのだ。辛くないわけがないのに…本当に申し訳ない。そして、なんでもない事のようにないように振舞ってくれるおいちゃんにジーニ様を初めみんなが感謝する。

『おう!それじゃあ、とりあえず』
おいちゃんはおもむろに、こちょこちょこちょ~っとサーヤの脇腹をくすぐりだした。すると、
「うひゃひゃひゃ」
と笑ってサーヤの手が緩んだ。
『ほら今のうちだぞ』
『『え、え?』』よろ…どすんっ
フゥとクゥは訳が分からぬまま慌てて下がって尻もちをつきました。よれよれです。
『は、離れた…』
『あ、あんな簡単に?』
愕然とするフゥとクゥは
『『うそだぁ~』』
と言ってそのまま
バタンッと倒れてしまいました。

ぴゅい『フゥ~』
きゅい『クゥ~』
ぴゅいきゅい『『だいじょうぶ~?』』
心配したちびっこたちが二手に分かれてフゥとクゥの周りに集まります。

『大丈夫じゃ』
『ないわ~』
二人しくしく泣いている。ベッドを挟んで両側に倒れてるはずなのに息ぴったり!

『あらあらぁ~』
『ご苦労だったな』
みんな同情の目で見ている。そりゃ、二時間我慢してたのにあんな一瞬であっさり。色んな意味でかわいそう…

『わははは!サーヤは脇腹と足の裏が弱点だからな。今みたいにくすぐればだいたい離すぞ。ただし、足の裏はやめとけ~蹴りが飛んでくるぞ』
おいちゃんがコツを伝授します。
『あ、ありがとうございます』
『次からそうします』
『おう!』
本当は次がないことが一番なんだけど…

『それにしても~』
ぴゅい『まだ』
きゅい『ねてるね~』
『『この騒ぎの中』』
『『『すごいよね~』』』
ちびっこ同盟が感心しています。

『でも、そろそろ起こさないとな~。今度は夜寝れないからな』
昼寝のし過ぎは夜に影響するからね。

〖そうね。サーヤ、起きて〗
ジーニ様がゆさゆさするが起きない。
『サーヤ~起きてぇ~』
精霊樹の精様もゆさゆさするが起きない。
『起きませんね』
『すごいな』
『そうですね』
変な感心をするバートさん、アルコン様、ギン様…

『ダメダメ。そんなんじゃサーヤは起きねぇよ』
そう言うと、サーヤの鼻をむにっとつまんで、
『サーヤ~起きろ~』
うりうりっと鼻を引っ張る
「ふにゅぅ~」
〖ちょ、ちょっと〗
ジーニ様が息ができないじゃないと止めようとすると
『大丈夫。サーヤ~早く起きないと、サーヤの分のおやつ、みんなで食べちゃうぞ~』
おいちゃんがわざとらしく言うと
「ふあっ?」
サーヤの目がパチッと開いた。
「らめ~!さーにゃにょ おやちゅ!」
おやつ!どこどこ?
〖え?〗
『ほらな?起きただろ?おはよう寝坊助。大丈夫、おやつはこれからだぞ』
『おあよ~。よかっちゃ~』
ふぅと汗を拭く真似をしている。

『え~』
『うそだ~』
『『あんなに苦労したのに』』
しくしく泣き出したフゥとクゥ。かわいそうに…
「どちちゃにょ?」
と、聞くサーヤに、
『『なんでもない…』』
と悲壮感漂うふたり。
「う?」
と首を傾げるサーヤ。

『サーヤ…』
〖残念すぎるわね〗
『さすがに今回はフゥとクゥが』
『気の毒ですね』
大人たちは更に同情の目を向ける
『『うううぅ』』
フゥ、クゥ、かわいそうに…

『寝ていてもサーヤのお腹の虫は優秀なんですね』
『バートさん、それはちょっと違う気がするがなぁ、まあ、サーヤだしな!わははは』
バートさんはサーヤのお腹の虫を気に入ったようです。

「う?」
なにかな?

ぴゅいきゅい『フゥ、クゥ』
『しっかり~』
『『よしよし』』
『『『がんばったね~』』』
ちびっこたち総出でフゥとクゥをなでなで。

『うぅぅ』
『みんな』
『『ありがと~』』しくしく
がんばれ!フゥ、クゥ!
このあとジーニ様が腰痛に苦しむ二人に回復魔法をかけてくれました。だけど心の傷までは治せない…


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