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「盟約に託けてキスしただろ。散々文句言ってたくせに…」



 小突いてくるカイルに、ユーリが微かに頬を赤らめて髪を引っ張り返した。



「うるせぇんだよ、悪戯小僧」



 天上界のカイルの家。約束通り、ユーリの髪と瞳は銀色に戻った。



「どーするんだよ、また会いに行くのか?」



 カイルの問いに答える代わりに、ユーリは軽くパンチをお見舞いした。



 アリアは、いつまで俺のことを覚えているだろうか…。



 龍族の寿命は、約千年。その上四龍神ともなれば、その倍になることも。十年や二十年、たとえ百年経っても、人型の外見はほとんど変わらない。



 時を同じくして生まれた人間が、歳を経ていこうとも…。



「《四龍の集い》、絶対抜けてこいよ…」



「神龍様が見逃してくれたら、な」



 何でもお見通しで可愛がってくれてるお方だから、多分大丈夫だとは思うけど、とユーリは小さく吐息を吐いた。





 そして、二頭の寂しがり屋の龍たちの夜は更けてゆく。









            了

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