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第10話 『我慢できなくなってきた!!』

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著者:ピラフドリア



第10話
『我慢できなくなってきた!!』




「つまり犯人は君だ!!」



 刑事さんは山田くんを指差した。



 山田くんはビックリしておどおどしている。そんな山田くんを見て、隣に立っていたおばさんが喋りかける。



「本当なの? 山田くん? ほら、怒らないから正直に言ってごらん」



 いや、殺人事件ですから……。そんな子供の喧嘩みたいな言い方やめろ!!



 山田くんは泣き出す。



「おで、やってないもーん!!」



 山田くんは大泣きする。刑事さんは自慢げに威張っている。



 山田くんは異論を唱えようともしない。そんな山田くんに刑事さんは手錠を投げた。



「ほら、自首しろ。そうすれば死んだパロプアンドロアガメーダ・佐藤も報われるだろう」




 いや、俺の名前どんな名前だよ!! 変な名前すぎだろ!!



 手錠を投げられても山田くんはずっと泣いて動く気配がない。隣にいるおばさんも「あらあら」とか言いながら何もする様子はない。



 そんな時である。俺の中で事件が起きた。



 仕事を受ける前に俺はコーヒーを飲んでいた。そしてそのせいで今ここであることをしたくなってしまった。



 トイレに行きたい!!



 俺は我慢をしようと踏ん張る。だが、やばい。やばいほど尿意がきている。



 しかし、今は仕事中でしかも死体役だ。こんなところで漏らすわけにはいかない。
 死体がおしっこをするのか? いや、するか? しないよな?



 だが、もう漏れそうだ。我慢の限界だ。



 その時、俺に良い案が浮かんだ。



 そうだ。幽霊になったことにしてトイレに行けば良いんだ。



 その時のことを振り返ると、自分でも馬鹿だったと思う。だが、刑事たちのアホらしい会話を聞いて、もう頭が狂っていたのだろう。



 俺はムクっと立ち上がった。それを見ていた三人が驚く。



「い、生き返ったーーー!!」



 俺はこの時幽霊のフリをする予定だった。だから、



「いえ、幽霊です」



 そう言ったのだ。しかし、そんなこと信じる人間はいるだろうか。



「あ、そっか」



 山田はそう言って信じた。バカである。しかし、俺がトイレに行こうとした時、山田くんに当たってしまった。



「あ、すみません」



 その時、山田くんは幽霊は実体がないから通り抜けると考えていたのだろう。



「お前生きてるなー!!」



 バレてしまった。それを見ていたおばさんも、



「きゃーーーー!! 生きてる!!」



 と叫んだ。結局この仕事は失敗に終わり、俺は二百円を支払ったのであった。




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