第3話 『魔王城を守りたい』
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著者:ピラフドリア
第3話
『魔王城を守りたい』
俺はリザードマンからの依頼で逃げ出した魔王の代わりに、魔王になる依頼を受けた。
しかし、逃げ出した魔王は自分の城をハーレムにするだけで何にも魔王らしいことをやっていなかった。
このままでは魔王としての威厳もなく。変態が勇者に討伐されるだけである。そのため俺はここから作戦を立てることにした。
残っているのは玉座にいる女性モンスターとリザードマン。そして部屋の前にいたモンスター達だけだ。
もう勇者はこのフロアに着く階段を登り始めている。だから時間はない。
しかし、その短い時間でやれることをやらなければならない。
「よし、そこのお前!!」
俺は半透明の女性モンスターを呼ぶ。彼女は幽霊のようで、身体が浮いている。そして身体が透けている。
「お前は俺のマントを持って、後ろで飛んでいろ」
幽霊女は言うことを聞いて俺のマントを靡かせる。
次に俺は火を吹けるモンスターを呼んで、俺の周りに火をつけさせた。
これで強そうに見えるはずだ。
後は外にいたモンスターを呼び戻して、周りに配置すれば強そうな魔王の完成のはずだ。
しかし、そうはいかなかった。
部屋の外にいるモンスターを呼ぼうとした時、扉の外から金属音が聞こえたと思ったら、何かが倒れる音がした。
「ま、まさか!?」
そう、そのまさかである。もう勇者が目の前まで辿り着いていたのだ。
「こうなったらやるしかない!!」
俺は覚悟を決めて椅子に堂々と座る。そうしていると、勇者一行が部屋に入ってきた。
だが、勇者一行を見た俺は驚愕する。
「お、お前もかー!!」
勇者パーティの勇者以外の全員は女性であった。しかも強さで選んだ感じではなく、とことん弱そうだ。
しかも全員勇者にくっついていて、イチャイチャしている。
「さぁ、魔王!! お前の悪事もここまでだ!!」
勇者はそう言って俺に剣を向けるが、全然威厳がない。剣を持ってる腕は隣にいる女性僧侶が支えているし、猛反対の隣ではお弁当を持った魔法使いが勇者に餌付けしている。
だが、こんなやつでも勇者は勇者。俺も魔王としての態度を見せなくては……。
「よくここまで来たな。勇者よ」
俺がそう言うと勇者は卵焼きを口に入れながら喋る。
「もうきょしょ、けっきょくをつけてやる」
もう食べながらだから何を言っているのかわからない。
「食べてから喋れよ!!」
「今日こそ、決着をつけてやる」
俺が怒ると同じことを二回言った。
そういうことじゃねー!!